多才でセレブ!妻、息子、娘、甥っ子……プログレメタルの頂点に立つドリーム・シアターと、その華麗なる一族!
by 関口竜太 · 2022-10-15
こんにちは、ギタリスト・音楽ライターの関口です。
早速ですがこちらをご覧ください。
こちらはDream Theaterのギタリスト、ジョン・ペトルーシ(John Petrucci)が10月から行うソロ・ツアーの日程になります。
ペトルーシはですね、2020年におよそ15年ぶりのソロアルバム『Terminal Velocity』をリリースしまして、これにはドラムにかつての盟友マイク・ポートノイ(Mike Portnoy)が参加し話題になりました。本ツアーでも、アルバムと同じラインナップでポートノイと、ベースにデイヴ・ラルー(Dave LaRue)が参加する形になっています。
先日、このツアーのトレーラー動画も公開になりましたが、ツアー自体はアメリカを回るものなので、日本ではそこまで関心の高いニュースではないかもしれませんね。
で、気になるのはその下にある「With Special Guest」のMeanstreakです。こちらは一見一世代前のガールズメタルバンドのようですが、Dream Theaterと深く関わりのあるバンドなんです。
ということで本日は「ドリーム・シアターと華麗なる一族」
というテーマでDream Theaterメンバーの家族・親族についてお話していこうと思います。
それぞれの家族もメンバーに負けず多方面で活躍しているので今日はそんなところを探っていきます。ちなみに、普段Dream Theaterのメンバーをセカンドネームで呼ぶことが多いのですが、今回家族を扱う上でセカンドネームが同じポートノイだったりペトルーシだったりしてややこしくなるので、各家族紹介のときはファーストネームで呼ぶことにします。
動画はこちら▼
Meanstreak
まずは冒頭でもお話ししたMeanstreakについてお話します。
こちら、1985年~1994年まで活動していた女性スラッシュメタルバンドになります。
メンバーは5人。
アルバムは1988年の『Roadkill』1枚のみなんですが、それ以降はデモ音源を2枚、そして’93年に『Dangerous Women』という、ガールズメタルバンドを集めたコンピレーションアルバムに参加しています。
メンバー
- Rena Sans – Guitar
- Marlene Apuzzo Portnoy – Guitar
- Lisa Martens – Bass
- Yael Rallis – Drums
- Bettina France – Vocals
そしてそのメンバーですが…ちょいちょい見たことある字面が並んでいますので、勿体ぶらずにお話すると、このバンド、ギタリストのレナ、マレーネ、ベーシストのリサは、それぞれジョン・ペトルーシ、マイク・ポートノイ、ジョン・マイヤングの奥さんになります。
一つのバンドでDream Theaterに関係のあるメンバーが3人も在籍しているのはなかなか興味深いですが、面白いのは、バンドを結成した後にDream Theaterメンバーとそれぞれ結婚していることですね。結婚後に奥様方で集まってバンドを結成したわけではないんです。
今回のツアーにスペシャルゲストとして参加したのも、他ならぬ、このメンバー構成が理由となっているわけですね。
さて、一応バンドをもう少し深堀りすると、先ほど言ったようにツインギター編成ですね。
マレーネとレナの2人のギタリストによって結成、ボーカルにベッティーナ・フランス(Bettina France)が加入してからはリサがベース、ダイアン・ケイサー(Diane Keyser)がドラムを務めました。
ケイサーはアルバムレコーディング後に脱退、その後はロサンゼルス出身のオルタナメタルバンド、My Ruinのドラマー、ヤエル・ラリス(Yael Rallis)が参加しています。
James LaBrie’s Family
続きまして、Dream Theaterのボーカル、ジェイムズ・ラブリエ(James LaBrie)の家族でミュージシャンといえば、息子のチャンス・ラブリエ(Chance LaBrie)ですね。
カナダで活動するエクストリームメタルバンドFalsetでドラムを叩いているチャンスは、父ジェイムズの影響で音楽に興味を持ちドラムを始めました。
そこはなんでボーカルじゃないのという声が聞こえてきそうですが、ジェイムズは元々ドラマーだったんですよね。そこから現在のようにボーカルに転向したと。
なのでそんな父の姿を見てドラムなのかもしれませんし、単純にリズム感やグルーヴを養わせたくてドラムを与えられたのかもしれません。
そこのところは不明ですが、彼は今年リリースされた父ジェイムズのソロアルバム『Beautiful Shade Of Grey』にドラマーとして参加しており、念願の親子共演を果たしています。
John Myung’s Family
続きまして、ベーシストのジョン・マイヤング(John Myung)の家族ですね。
彼の奥さんはMeanstreakのベーシスト、リサ・マーテンズ(Lisa Martens)です。
このリサさんについて、マイヤングは『Awake』収録の「Lifting Shadows Off A Dream」という曲で、彼女とのパートナーシップを歌っています。内容は少し哲学的で、悲しみと絶望に暮れる男を救い、また立ち返らせる存在を「彼女」としているもので、ここで登場する彼女がリサさんだとすると、普段は無口でストイックなイメージのあるマイヤングの内省を少し覗けたような気分になりますね。
Dream Theaterにとって明確なラブソングに当たるこの曲は本当に名曲だと思います。
Jordan Rudess’s Family
続いてキーボーディスト、ジョーダン・ルーデス(Jordan Rudess)の家族についてですね。
ジョーダンについては奥さんのダニエル・ルーデス(Danielle Rudess)さんが挙げられます。
彼女はミュージシャンではないのですが、ジョーダンのソロアルバムのプロデュースを行っていています。
全てではないんですが、’93年の2ndアルバム『Listen』から有名なアルバム『All That Is Now』、それとペトルーシとのデュエット・アルバム『An Evening with John Petrucci and Jordan Rudess』においても、ジョーダンが担当した数曲のプロデュースは彼女によるものですね。
Mike Portnoy’s Family
続いて初代ドラマー、マイク・ポートノイです。
マイクはMeanstreakのギタリスト、マレーネさんと1994年に結婚。左上の写真が結婚式のものですね。
なお、式には当時のDream Theaterメンバー全員が招待されています。
実はMeanstreakでDream Theaterメンバーと結婚した3カップルは、結婚した時期もかなり近くて、3人の結婚式全員に同じメンバーが出席しています。
息子のマックス・ポートノイ(Max Portnoy)は現在、父親の背中を追いかけドラマーになっています。この夏Download Japanに出演したCode Orangeでサポートドラムを叩くなど若手メタルシーンでも活躍していることが伺えます。
そしてメロディ・ポートノイ(Melody Portnoy)(↓画像左)という娘さんもいまして、これといって表立った活動をしているわけではないのですが、Morse, Portnoy & Georgeのカヴァーアルバムをリリース時に収録曲の中でコーラス参加しています。ファミリーの温もりといえば聞こえはいいですが、父親の娘を出したい我を感じますね。
そして忘れてはいけないのがハワード・ポートノイ(Howard Portnoy)。マイクの父親にあたる人物で、Dream Theaterのバンド名は彼の言葉から生まれたと言っても過言ではありません。残念ながら闘病の末2009年に亡くなっているのですが、「The Best Of Times」にてマイクからの思いが綴られています。
それと「華麗なる」というタイトルとは違うのですが、一応Dream Theaterにも登場する人物として、『Train Of Thought』収録の「Honor Thy Father」という曲を挙げておきます。
これはマイクの継父にあたる人物を歌った曲で、彼はマイクと非常に仲が悪かったんですね。タイトルは直訳すると「父を讃えよ」になるのですが、歌詞はその「継父」と対話形式で言い争いをするというもので、中には汚い言葉による罵倒などもあり、マイク自身が継父と血がつながっていることを後悔していると言った内容も存在します。
マイクは「おそらく俺がこれまで書いた歌詞の中で最も怒りに満ちている。俺の家族の一人に対する、容赦なく激しい攻撃なんだ。その人物は俺と他の家族を酷く傷つけた。歌詞というのは時にセラピーの役割を果たすというけど、吐き出したいことを吐き出したこの歌詞こそがそれだった」とインタビューで語っています。
John Petrucci’s Family
最後はギタリストジョン・ペトルーシの家族ですね。
先ほど言ったレナ・サンズ(Rena Sans)が奥さんなんですが、彼女はMeanstreakを解散後もギタリストとして精力的に活動していて、近年ではジューダスプリーストのトリビュートバンド「JUDAS PRIESTESS」にも参加しています。使用しているギターは夫ジョンのモデルであるMusicMan JPですね。
なお、Dream Theaterの「Endless Sacrifice」やジョンのソロ曲「Lost Without You」はレナのための曲になります。
ジョンとレナの間には3人の子供がいて、上二人は双子、そしてその下にキアラ・ペトルーシ(Kiara Petrucci)がいます。
キアラは現在モデルとして活動しているのですが、Liquid Tension Experimentの動画にてお話しした、2ndアルバム制作時に奥さんが急な破水をしてジョンがスタジオから病院に向かったエピソード、そのとき生まれたのがこのキアラですね。この時の出来事はのちにLTEのアルバム『2』にて「When the Water Breaks」として収録されています。
そしてこれは結構有名ですが、ジョンの甥っ子であるジェイク・ボーウェン(Jake Bowen)ですね。
ジェイクはアメリカのDjentバンドPeripheryのギタリストとして世界的に活躍しています。どの媒体か忘れてしまいましたが、Peripheryのインタビューで「小さい頃から親戚の叔父さんにギターを教えてもらった」っていうジェイクの発言から、その叔父さんがジョン・ペトルーシだったいう事実が知れ渡ることとなります。
なお、Peripheryの2ndアルバム『II』ではそんな叔父のジョンがギターソロにてゲスト参加しています。
最後に
いかがでしたでしょうか。
ファミリーバンドという言葉はありますが、Dream Theaterは本当のファミリーも各方面で活躍する、タレント一家の集まりなんですよね。
今回紹介できなかったメンバーやその家族も、表立っていないだけで実は…ということはあると思います。もしそんな情報を仕入れる機会があればまたまとめたいと思います。
この記事には動画があります。YouTubeチャンネル「せっちんミュージック」では、Dream Theaterを中心に、プログレッシブ・ロック、プログレッシブ・メタル、そしてたまにJ-POPも扱って情報発信していますのでよろしければチャンネル登録していただけると嬉しいです。
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タグ: Dream TheaterJohn MyungJohn PetrucciJordan RudessMike Portnoy
関口竜太
東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。
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