Dream Theaterがぶ○ギレしたベテランバンド!あのマイク・ポートノイも呆れたその全容とは!?【動画あり】

こんにちは、ギタリスト/音楽ライターの関口です。

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せっちんミュージック、動画を更新しました!そして今日はその内容について、改めてお話ししていこうと思います。

動画はこちら▼

はじめに


まず毎度主役のDream Theater。The Majestyから換算するとその活動は今年で37年になります。今日までの長い歴史で少なからずメンバーチェンジもありつつも、メンバー間の仲は比較的良好ですね。

しかし、時には商業的成功を望むレーベル、プログレの古参ファンによる批判、メンバー間での衝突なども一通り経験していて、特にプログレメタルというニッチなジャンルだからこそ、彼らを取り巻く環境はいつも渦を巻いていました。

今日はその中でも、2003年に起こったできごととして、Dream Theaterとある大物バンドとのいざこざについてお話ししていきます。

テーマは人間関係です。

今日、グラミー賞を獲得するようなバンドが、今より発展途上だった時期とは言え、ある程度地位を獲得した後に、しかも言わば同業者から頭を悩ませる出来事を押し付けられるという、普段の我々と何も変わらない人間関係というのがこのトップ・バンドにもありました。

特に前職のドラマーのMike Portnoyは、2010年までバンドのブレインであり続けた結果、そうした弊害によるストレスに晒され続ける立場にあったわけです。

他にもギタリストのJohn Petrucciもオリジナルメンバーであり、バンドの曲を多く手掛けるソングライターでもあるので、感情的なそれらの出来事は、時にDream Theaterの曲となって収録されることとなります。

そして今回、彼らのエネミーとして取り上げるバンドはこちら、Queensrÿcheです。

プログレ・メタル界で知らぬ者はいないというこのベテラン・バンドと、Dream Theaterとの関係についてお話していきます最後までよろしくお願いします。

Queensrÿcheについて


Queensrÿche(クイーンズ・ライク)は1982年から続くアメリカのメタル・バンド。

全世界で2000万枚以上のセールスを記録しており、プログレメタル界では文句なしに成功したバンドと呼べます。

音楽性は初期のUKメタルやNWOBHMをベースにしたUSメタルで、ハイクオリティの楽曲とスルメ感の強いメロディをミドル〜スローくらいの重厚なサウンドで聴かせる、じっくり系のメタル・バンドになります。

代表作は1988年の『Operation: Mindcrime』と1990年の『Empire』

特に『Empire』はアメリカでトリプルプラチナ(300万枚)のセールスを記録している大ヒット作です。

同国同世代のFates Warningと共に、ヘヴィメタルにプログレッシブな要素を取り入れた、言わばプログレッシブ・メタルの草分け的存在になります。

ちなみに、かつて日本ではクイーンズ・ライチと呼ばれていましたが、今はネイティブな発音のライクが一般的です。しかしそこは今でもライチで通しているファンも多いのであまり気にするところではないのかもしれません。

ダブル・ヘッドライナー・ツアーに「うんざり」


2003年6月。

このとき、Queensrÿcheは『Tribe』というアルバムを出していました。そして、そのアルバムのツアーにDream Theaterとダブル・ヘッドライナーとして回ることとなったわけです。

このツアーは『The Art Of Live』というタイトルで、のちに音源化・映像化までされる大きなイベントになります。

一見すると、プログレッシブ・メタルの両巨頭が共演するというスペシャルなツアーに思えるのですが、このツアー中、Dream Theaterは先輩バンドであるQueensrÿcheとのいざこざがあってかなりのストレスを被っていたわけです。

その中のエピソードを一つお話しします。

当時Queensrÿche側にMike Stone(マイク・ストーン)というギタリストがいました。彼がJohn Petrucciにツアー中、色々とアドバイスをしていました。

例えば、

もっとこういう演奏を心がけなさい


とか

君たちの音楽はこうだから、もっとこういうのを書いたらいいよ

 

といったようなことですね。アドバイスといえば聞こえはいいんですが、実際のところ、これは先輩からのありがたいお言葉として受け取れる範疇を超えていました。そもそもその時のDream Theaterは『Metropolis Pt.2』や『Six Degrees Of Inner Turbulence』にてすでにスタイルを確立しています。そしてこれがツアー中続いてたわけなので、ペトルーシからするとかなり鬱陶しかったのは想像に難くありません。

さらに、Queensrÿcheには当時ボーカルのGeoff Tate(ジェフ・テイト)という人物がいました。

彼は結成から30年間、Queensrÿcheのボーカルとして務めて、訳あって2012年に脱退しているのですが、ジェフはこのダブル・ヘッドライナー・ツアーに入るまでDream Theaterの音楽を一切聴いてなかったのです

さらにMike PortnoyやDream Theaterに対しても常に批判的な発言を繰り返していて(「このバンドはテクニックだけでハートがない」といったもの)ツアー中ずっとこの両者がバチバチだったんですね。

のちにポートノイは、このツアーについて一言「うんざりすることの連続だった」と振り返っています。

ありのままの俺たちで


という具合でストレスいっぱいのDHLツアーだったわけですが、冒頭で「そういった感情的な出来事は、Dream Theaterの曲となって収録される」と説明しました。

この事件にペトルーシがインスパイアされて書き上げた曲が、そのすぐ後リリースされることとなります。

それが7thアルバム『Train Of Thought』収録の「As I Am」です。

ちなみにペトルーシは自身の実生活や実体験を歌にすることが多いことで知られています。

この曲についても明確に「(Queensrÿcheのとは言わないまでも)反抗的な歌」としていて、

僕たちがミュージシャンとして、ソングライターとして、自分達に忠実であり続けるグループとしてキャリアを築いてきたことを歌っている

と語っています。

そんな「As I Am」、曲の歌い出しはこのような歌詞になっています。

Don’t tell me what’s in

Tell me how to write

Don’t tell me how to win

This fight isn’t your life

It isn’t your right to take

The only thing that’s mine

ざっと説明すると、

「書かれたものの中に何が入っているのか言わないでくれ

これはお前の戦いでも人生でもない

俺からそれらを奪い取る権利もない」

と言った内容ですね。今まで自分たちが出してきた曲を目の前のほじくり返されて分析される、先述のストーンから受けた「アドバイス」を痛烈に揶揄している歌詞になっています。

さらにブリッジでは、

Takin’in the view from the outside

Feeling like the underdog

Watching through the window, I’m on the outside

Living like the underdog

「外部から言われたことを取り入れてかませ犬になった気分だ

そんな自分を俯瞰していると さらに弱者のように感じる」

といった感じで、かなり肩身の狭い思いをしていたことがわかります。

なお歌詞のunderdog 、これがかませ犬という役に当たりますね。

そしてタイトルの「As I Am」というのは「ありのままの私で」というような意味になるわけですが、今までQueensrÿcheというバンドを尊敬してきたけど、だからと言って大切な楽曲たちを指摘される筋合いまではなく、こんなふうに上から縛り付けられても俺は変わらないぞ、今まで通り俺たちを理解してくれる人たちの手を取るし、これからもそのままの俺たちを表現させてくれという、ペトルーシからの強いメッセージが込められていますね。

Dream Theaterはツアー前に、この『Train Of Thought』のためのデモを作って、いざレコーディングに入る前にQueensrÿcheとのツアーに出てしまいました。そしてそこからのAs I Amなので、ツアー後のレコーディングは相当気合が入ったと思われます。

Two-faced douche bag


ツアーは終わり『Train Of Thought』も出して、この一件は終わったかに見えました。しかし2006年4月、ここでまたDream TheaterとQueensrÿcheとの問題は爆発します。

2006年の4月というと、4月1日にDream Theaterがニューヨークのラジオシティ・ミュージック・ホールでライブを行っていました。これはただのライブではなくて、20周年記念ライブの『Score』に当たる公演になります。つまりDream Theaterにとっては本人たちにもファンにもめちゃくちゃ大切な日だったんです。

そしてこの時期、先ほどいったボーカルのGeoff Tateが、Queensrÿcheの『Operation: Mindcrime II』というアルバムのプレスのためにニューヨークにいました。

当然ジェフの耳にはDream Theaterのライブ情報も入っているわけです。そこで3月31日、つまりアニバーサリー・ライブの前日、ニューヨークのラジオ番組に出演したジェフは冗談で「Dream Theaterのライブに乗り込むかもな」という旨の発言をしました。

ラジオでそれを聞いていたDream Theaterファンがすぐさま、ポートノイのウェブサイトにあるフォーラムに投稿。

ファン「ジェフが出るって言ってますけど、どうなんですか?」

ポートノイ「勘弁してくれ」

まあ、こうなりますよね。

ポートノイは続けて「Geoff Tate is Two-faced douche bag」つまり裏も表もうざいやつということも言ったそうなので2003年のライブやその後の関係も本当に嫌だったんだろうということが伺えます。

ジェフはこのニューヨークにいる間、一貫してDream Theaterやポートノイを批判しまくっていました。もちろん理由は不明ですが、やはりプライドとか自分達より指示されだしているのが気に入らなかったと予想できます。

結局ポートノイとジェフ、敷いてはDream TheaterとQueensrÿcheは非常に仲の悪いバンドになってしまいました。

ただ、このジェフに対してはそれなりの制裁もあります。先述の『Operation: Mindcrime II』の次の作品くらいから、バンドのセールスがガクッと下がってしまうんですね。

さらに元々ジェフは自分の家族をマネージャーにしたりファンクラブの運営など重役に就かせていたところがありました。2012年にバンドの会議(ジェフ不在)で業務の不適正が発覚したことで、バンドはこの妻と娘を解雇します。それに激昂したジェフも暴れて、バンドメンバーが怪我してしまったことでジェフ自身も解雇されてしまうという事態にまで発展する、まさに修羅場となってしまいます。

その後ジェフはソロ・アルバムを出すものの、専門家による評価は最低のものになってしまうという結末でした。

Queensrÿcheは現在、ジェフも、マイクもバンドを脱退し、セールスは少しずつ回復してきています。

最後に


このエピソードはDream Theaterファンの中でも有名なものですが、実際この一連の出来事をまとめた記事というのは少なく、Dream Theaterサイドを調べ、Queensrÿcheサイドを調べ、2003年と2006年ごろの記事を調べ、曲の歌詞を読み解き…という感じでした。

またコンプライアンス的観点からも、大手メディアが大々的に名前を公表してまとめるわけにはいかなかったんだろうと推察できます。そうした部分も含め、今回ブログ・YouTubeでまとめられて良かったと思います。

最後に、今回サムネ用で怒り顔を撮りましたが、普段怒らない僕にはとても難しかったです…笑

関口竜太

東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。

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