D’Virgilio, Morse & Jennings「Troika」: 夢のスーパートリオがついにデビュー!贅沢な大人のアコースティック・アルバム!

こんにちは、ギタリストの関口です。

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本日はD’Virgilio, Morse & Jenningsのデビュー作をご紹介します。現代のプログレッシブ・ロック界において最重要と呼べるトリオが集結したスーパーグループの1stアルバムです。

  • 純粋なアコースティック作品が聴きたいという方
  • 美しいコーラスに酔いしれたいという方
  • 演奏や歌に安心感を得たいという方

などにオススメできる作品です。それでは参りましょう!

Troika / D’Virgilio, Morse & Jennings


Troika

D’Virgilio, Morse & Jennings(ディヴァージリオ・モース・アンド・ジェニングス)はアメリカ/イギリスのロック・グループ。

来歴


イギリスのプログレッシブ・メタルバンド、Hakenのボーカルで知られるRoss JenningsSpock’s Beardの創設者でこのブログでもお馴染みのNeal Morse、そしてSBBig Big Trainなど数多くのバンド/プロジェクトで高い評価を得るNick D’Virgilioによる新スーパーグループ。

各メンバーのプロフィールについてはこちらの記事をどうぞ▼

【新スーパーグループ】D’Virgilio, Morse & Jenningsがシングル「Julia」を発表。デビュー・アルバム『Troika』は2022年2月25日リリース!

水面下で動き出したこの新プロジェクトの発端は2020年秋。未知の脅威と世界的ロックダウンというカオスな情勢の中、ニールは自身が書いた数曲のアコースティックナンバーから、“自分ではない別のシンガーが歌っている”インスピレーションを受けます。

ボーカルの人選は慎重に行われましたが、ここでニールは「ソングライティングにも関われるシンガーが3人揃えばそれこそがベスト!」という一つの結論に行きつきます。

そしてメンバー招集が始まるのです。

ロスの元にニールから誘いのメールが届いたのは、その年のクリスマスを過ぎたころ。ロスは、「僕は常にアコースティックでハーモニーを活かした音楽が好きなんだ。だから彼(ニール)からの誘いに返答するのは何の躊躇いもなかったよ」と後から語ったように二つ返事の「Yes」でした。

ニックとSB時代にライブ後のツアーバスの中でCrosby, Stills Nashを夜通し歌う間柄だったそうで、このプロジェクトにも打診があった段階から乗り気だったという順調ぶり。

こうして集まった3人は手元にあった楽曲を共有、お互いのアイデアを交わした結果、その自然なフィット感から多くの楽曲が生まれることとなります

そしてデビュー作品となる本作は『Troika(“3人体制という意味とも取れる)と名付けられ、2022年のブランニュー・アルバムとして世に放たれました。

アルバム参加メンバー


  • Ross Jennings – Vocals, Guitars
  • Neal Morse – Vocals, Guitars, Keyboards, Bass
  • Nick D’Virgilio – Drums, Percussion, Vocals

楽曲紹介


  1. Everything I Am
  2. Julia
  3. You Set My Soul On Fire
  4. One Time Less
  5. Another Trip Around The Sun
  6. A Change Is Gonna Come
  7. If I Could
  8. King For A Day
  9. Second Hand Sons
  10. My Guardian
  11. What You Leave Behind

プログレメタル界のトップシンガーとマルチミュージシャンと何をやらせてもこなしてしまうメンツですが、蓋を開けてみればほぼ全編アコースティックでボーカル主体となった純然たるフォーク作品です。

先行シングルとして公開された#1「Everything I Am」#2「Julia」はまさにシンプルかつ美しいリード・ソング。これらを聴いて、ほぼこの感じという認識でいいでしょう。

#1は来歴で触れた「手元にあった楽曲」と見て違いありません。#2も含め、3人のマルチな才能が交差したポップなアコースティック・ナンバーは、レトロな雰囲気と3人とも歌えるという強みをとことん生かし、全編で分厚く美しいコーラスを展開しています。

#5「Another Trip Around The Sun」は力強いギターと3人が得意とする多重コーラスを堪能できるナンバー。ロスがメインボーカルを務める一曲で、アコギの暖かさに加えスピード感と豊かなコーラスワークも楽しめるとあって注目すべきでしょう。

シングルが無作為に並べられたように聴こえる本作ですが、#6「A Change Is Gonna Come」はいくつかある政治的テーマの一つ。この曲はマーティン・ルーサー・キング牧師からの言葉からインスパイアされ歌われていて、静かな入りから徐々に盛り上がっていく、川のような音楽の流れについ身を委ねてしまうでしょう。

アコースティック曲が並ぶ中で唯一、ロック・ソングとして腰を据える#9「Second Hand Sons」。Jimi Hendrixを彷彿とさせるリフやAORなプログレ・スタイルを体現したナンバーです。

最後に


ここまで贅沢なアコースティック作品は一年を通してもそうそう生まれるものではありません。

一方で、ワーシップ・セッションシリーズを展開するニールや、2021年にシンガーソング・アルバムを出したロスとが邂逅しないわけもなく、遅かれ早かれこういうアルバムは出ていたことでしょう。

ファンとしては早々にチェックできてなんともお得感。まだまだ余談を許さない世界情勢の中、癒しの一枚としてしばらく側に置いておくことになりそうです。

関口竜太

東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。

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