Big Big Train「Common Ground」: この10年の最高傑作!現代に生きる自然豊な英国トラッド・プログレ!

こんにちは、ギタリストの関口です。

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本日はBig Big Trainが2021年にリリースした『Common Ground』をご紹介します。

Common Ground / Big Big Train


Common Ground

Big Big Train(ビッグ・ビッグ・トレイン)はイギリスのプログレッシブ・ロック・バンド。

来歴


イギリスのボーンマス、ドーセット、イングランドの3都市で1990年に結成したプログレッシブ・ロック・バンド。

ボーカルMartin Road、ギターにGreg Spawton、ベースAndy Poole、ドラムスSteve Hughes、そしてキーボードにはIan Cooperというオリジナルメンバー5人は、’90年代由来のプログレッシブ・ロック・バンドとして、Yes、Genesisより伝わる英国情緒溢れる王道プログレを展開。温かみのあるボーカルと豊かな演奏技術で、イギリス本土やヨーロッパの雰囲気を曲に乗せ、壮大な旅やストーリーを感じさせるシアトリカルな楽曲が特徴です。

メンバー変遷は少なくないものの、2009年に加入したボーカル&マルチ・インストゥルメンタリストのDavid LongdonとドラムのNick D’Virgilioによって、バンドは一気に頭角を現していきます。

2012年と2013年にはイギリスの産業革命をテーマにしたコンセプト作『English Electric Part One』と同『Part Two』をリリース。

翌年にはスウェーデンのプログレッシブ・ロックバンドBeardfishやソロ・プロジェクトも運営するギター/キーボーディストのRikard Sjöblomが加入したことで、より豪華絢爛なサウンドスケープの獲得にいたりました。

その後も1、2年スパンでコンスタントに作品をリリースし続け、ファンを待たせない実力派バンドであり続けています。

本作『Common Ground』は2021年にリリースされた13thアルバム。製作前にロングドン、ニックと共に加入したギタリストのDave Gregory、2013年からキーボード/ベースを担当していたDanny Manners、そして2014年からバンドのサウンドメイクを支えるストリングス奏者のRachel Hallが脱退しており、ゲストミュージシャンを迎えて製作されています。

アルバム参加メンバー


  • David Longdon – Lead vocals
  • Gregory Spawton –  Bass
  • Rikard Sjöblom – Guitars, Keyboards, Vocals
  • Nick D’Virgilio – Drums, Vocal

その他参加ミュージシャン

  • Carly Bryant – Keyboards, Vocals
  • Dave Foster – Guitars
  • Clare Lindley – Violin, Vocals
  • Aidan O’Rourke – Violin

楽曲紹介


  1. The Strangest Times
  2. All The Love We Can Give
  3. Black With Ink
  4. Dandelion Clock
  5. Headwaters
  6. Apollo
  7. Common Ground
  8. Atlantic Cable
  9. Endnotes

リードナンバー#1「The Strangest Times」はBBTらしいポップなロック曲。Elton John風のピアノと気持ちのいい8ビートに、アコースティック・ギターが形作る爽やかなサウンドになっています。MVではリカルドのギター・ソロに乗せて、ロンドンの街並みや自然豊かな情景が映し出されます。

歌詞はコロナによる封鎖、家族や愛する人との分離、長期に亘る時間の経過、そして知人の死といった、ロングドンからのメッセージが読み取れます。

#2「All The Love We Can Give」はBostonやAsia、Kansasなどアメリカンの風を思わせるミドル・ナンバー。フリーキーな8分間には印象的なギターやキーボードのソロ、そして絢爛なコーラスが配置され、インターヴァルではプログレッシブな曲展開もある本作でも重要曲になっています。

12弦ギターが印象的な#4「Dandelion Clock」#5「Headwaters」は共に、彼らの持ち味である美しさを追求したバラード。実はここでアルバムの一幕と二幕が分かれており、#5はこのあとの#6のイントロとしても機能しているという、面白い試みを魅せています。

#6「Apollo」は6/8をベースに前作『Grand Tour』を思わすユーロ・サウンド。スリリングなヴァイオリンとギターのユニゾンを含み、#5とは対照的なバンドとしてのプログ・インストとなっています。

そしてタイトルナンバーの#7「Common Ground」から本作は一気にメッセージ的なまとめへとさしかかります。#7は多重ボーカルとGenesis的サウンドスケープが例外なく心を癒しへと導くBBTのプログレ・スタイルです。

身近な人とのコミュニケーションを映像に映し出し、それがCommon Ground=共通点としている本作。BBTがただ孤独なひとり旅をしていたわけではなく、世界とはすなわち人と人との営みであるという意思を再認識できる内容です。そして、この「Common Ground」が古代から続く人類の営みはその前に「Apollo」=「宇宙計画」へと繋がっています。

スパウトンが書いた15分の大作#8「Atlantic Cable」。イントロは100秒間に亘る鍵盤パート、続いてバンドインから、スリリングなリズムの応酬とテーマを含んだエピックな5分弱はかなり満足感が高いです。ボーカルパート及び中盤のインターヴァルも、GenesisやTransatlanticのような質感を伴いながらテクニカルかつ叙情的に展開します。

ラスト・ソングでありアルバムのテーマである3部構成を飾る#9「Endnotes」はストリングスと管楽器、そしてボーカルのミックスがたまらないバラードに仕上がっています。

最後に


これを2022年の今書いていることについて非常に心苦しいのが、アルバムリリースからもうすぐ4ヶ月という2021年11月に、ボーカルであるロングドンが事故で急死してしまった事実です。

彼の死はBBTのメンバー、家族、ファンの誰もが悲しみ胸を痛めるものです。それだけに本作でより磨かれたバンドの結束性やイノベーティブな姿勢を感じずにはいられないし、より浮き彫りになったとも言えるでしょう。

どこを切り取ってもBBTという身近な存在でありながら、壮大なテーマへ挑戦をやめない本作は、「現代」を肌で感じている人こそ聴いてほしい名盤として語り継がれるでしょう。

関口竜太

東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。

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