Magenta「We Are Legend」: フェミニンなUKプログレの伝道師!大作を濃縮した3曲入り12thアルバム!

こんにちは、ギタリストの関口です。

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本日はイギリスのバンドMagentaの『We Are Legend』をご紹介します。

We Are Legend / Magenta


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Magenta(マジェンタ)はイギリスのプログレッシヴ・ロックバンド。

来歴


イギリス出身バンドの中でも珍しいウェールズで1999年に結成されたプログレッシヴ・ロックバンド。

プロのソング・ライターとしてテレビ番組や映画に楽曲を提供していることで知られるピアニストRob Reedと、そのロブの活動の中で最も成功したと言われるバンドTrippaを動かしていた女性ボーカルChristina Boothを中心に活動を始めます。

Renaissance、Genesis、Mike Oldfield、Yes、Björkなどの影響からイギリスの伝統的な70年代プログレッシヴ・ロックを基盤とし、スリリングな演奏とアコースティカルなサウンド、そしてクリスティーナのフェミニンなボーカルが麗しいスタイルで2001年、1stアルバム『Revolutions』をリリースします。

全5曲のうち20分前後の曲を4つも抱えた2枚組アルバムで、ギターには正式加入したChris Flyの他、Frost*やIQで知られるマルチ・プレイヤーAndy Edwardsも参加する力作となりました。他にはドラムのTim Robinsonが参加し2ndアルバム『Seven』までバンドを支えますが現在は脱退しています。

このように、典型的な大作志向であるというのもMagentaの特徴ですが、組曲とはしておらずも楽曲内で明確にシーンやテーマを分けることで結果シングル・カットを行ったベスト・アルバムにも繋げています。

本作は2017年にリリースされた12thアルバム。ファンの間でも人気作となる前作『The Twenty Seven Club』より5年の歳月を経てのリリースとなりました。

アルバム参加メンバー


  • Christina Booth – Vocal
  • Chris Fry – Guitar
  • Rob Reed – Keyboard, Guitar
  • Dan Nelson – Bass
  • Jon ‘Jiffy’ Griffiths – Drums

楽曲紹介


  1. Trojan
  2. Colours
  3. Legend

26分にも及ぶ大作ナンバーと10分を超えた2曲の、計3曲のみを収録した大胆な一枚。3曲入りアルバムと聞くとYesの『Close to the Edge』を彷彿とさせますね。

さて、スペーシーなシンセサイザーのフェードから始まる大作#1「Trojan」。煌びやかなピアノとシンセリードによる雰囲気たっぷりの導入から、コードのテンション感を存分に味わえるリードギターとそのイントロが登場します。ギターのクリスは浅めのゲインと堅実なプレイが特徴で、ハード・ロックの気概はあるものの普段あまり派手なプレイには走りません。しかしながら、本イントロではピック・タッピングを使用した大味なアプローチも行っていたりと、本作にかける情熱は人一倍強いように感じます。

タイトなロック・リフの後に登場するクリスティーナのボーカルも力強さが感じられます。Magentaというバンドを聴く理由の一つに彼女の歌声があげられますが、バンド・アンサンブルに合わせて抑揚やトーンを変化させたり、色気のある表現を随所に聴かせてくれます。

曲は前半11分をピークに盛り上がりを見せ、その後は独特の緊張感を保ちながらもアコースティックなセットを中心としたバラード構成。そして22分半ごろに元のテーマへ戻り大団円を迎えます。若干平坦ではありますがプログレッシヴ・ロックの伝統的なセオリーは押さえていますしこれがMagentaらしさなのでしょう。

#2「Colours」はユニヴァイブのギターが生み出すうねりが特徴的な10分の楽曲。ヴァースからサビへの流れが自然で#1よりは力を抜いて聴いて入られそうです。途中、フルートやグロッケンなどシンフォニックでキャラクターの強い楽器も多数登場する、モダンなサウンドの中でもヴィンテージ感の光る一曲です。

SE的な導入から、哀愁漂うリードギターでラストを飾る#3「Legend」。前半はメロディアスなテーマにシリアスでクールな雰囲気を纏い、後半はKing Crimsonのようなカオスで破壊的なアンサンブルと、ブルージィで繊細な雰囲気を持つバラードへと変化。壮大なサウンドではありますがあっさりした印象でアルバムを締めています。

なお、ジャケット裏にはPink Floydの『Animals』を思わせる工場、そして狐が描かれておりこちらはGenesisの『Foxtrot』を想起させます。3曲入り、表に描かれた3人のソルジャーが印象強いのでおそらくもう一つくらいモチーフがありそうですが、見つけ次第追記しておきます。

関口竜太

東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。

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