Rendezvous Point「Universal Chaos」: ノルウェー南部最強!Leprousのドラマーが描く、最新アート系プログレッシブ・メタルバンド!
by 関口竜太 · 2020-12-23
こんにちは、ギタリストの関口です。
本日はRendezvous Pointが2019年にリリースした2ndアルバムご紹介します。
Universal Chaos / Rendezvous Point
Rendezvous Point(ランデヴー・ポイント)はノルウェーのプログレッシブ・メタルバンド。
来歴
ノルウェーの最南ヴェスト・アグデル県の都市クリスチャンサン。1641年にデンマーク王4世にて商業目的として作られ、現在では毎年クアルト祭という国内最大規模の音楽祭も催されるこの都市で、2010年に結成されたのがこのRendezvous Point。
ノルウェーのプログレメタルバンドとして近年大人気のLeprousのドラマーBaard Kolstadを中心に、彼が所属するICS VortexからギタリストPetter Hallaråkerが参加。他にはボーカルのGeirmund Hansen、キーボードNicolay Tangen Svennæs、そしてベースのGunn-Hilde Erstadという5人編成バンドとなります。
LeprousとOpethのような尖ったセンスを織り混ぜ、そこから難解すぎる要素を適度に削ることで、より聴きやすさに特化したアート系プログレメタルバンドとして活動を開始すると、2012年には例の音楽祭にて最も有望なバンドとして選ばれ、地元交響楽団とのコラボコンサートも開催されました。
2015年には1stアルバム『Solar Storm』をリリース。こちらではゲストにヴァイオリニストのNora Madelaine Aanonsenを迎え、壮大でファンタジックな、北欧らしいプログレメタルを展開します。
本作『Universal Chaos』は、そんな結成からわずか数年で同界隈のラインナップに加わった新生バンドの2ndアルバム。ゲストは設けていませんがよりボリュームアップした最新のユーロメタルを堪能できます。
アルバム参加メンバー
- Geirmund Hansen – Vocal
- Nicolay Tangen Svennæs – Keyboard
- Petter Hallaråker – Guitar
- Gunn-Hilde Erstad – Bass
- Baard Kolstad (Leprous) – Drums
楽曲紹介
- Apollo
- Digital Waste
- Universal Chaos
- Pressure
- The Fall
- The Takedown
- Unfaithful
- Resurrection
- Undefeated
サウンド的にわかりやすさを重視しながら、LeprousやSteven Wilsonのようなアート・ロックにも着手した一枚。
オープニングは#1「Apollo」。MVも作られたこの曲は、デジタルシーケンスとヘヴィにチューニングされたバンドサウンド、そしてハンセンによる伸びやかで表情豊かなボーカルが特徴的なRendezvous Pointの音楽性を体現しています。
#2「Digital Waste」はピアノによるディミニッシュ系の怪しげなコードアルペジオに喉仏を震わせた渋いボーカルの導入、そしてそこからスローながら前に突き進むアグレッシブな曲へと変貌していきます。
裏で鳴るトランスティックなキーボードも、重たいバンドサウンドを中和させつつ、自身もそのダークさに貢献するという素晴らしいバランス。この曲ではギタリスト・ペッターによるテクニカルなソロも聴くことができます。
前曲のギターソロから引き継ぐように入る#3「Universal Chaos」。フィルで強烈な存在感を放つシンセサイザーとプログレッシブ・メタル御用達のタイトな刻みが特徴で、音数の多さとボーカルのハイトーンとのコントラストが実に見事。こちらの曲ではキーボーディスト・ニコライによる粒のようなキーボードソロも用意されています。
#4「Pressure」は7拍子+変則的なリズムのアプローチで一際前衛的な雰囲気を持った一曲。ポップ・ロック的な雰囲気とサビでは4/4に戻るテンションの緩急が非常に魅力的。ベースのエルスタッドによるラインも思わず追いたくなる中毒性があります。
このブログの読者であれば、Steven Wilson系と言えば概ねイメージするサウンドにズレはないと思いますが、#5「The Fall」はまさにそんなデジタルなアンビエントと吹き消えそうなほどの繊細さで積み上がったナンバーです。儚げで美しく、それでいて芯のあるリズムセクションに終始安定して身を任せることができます。
アルバムの中でも特に形容しがたい難解さがあるのが#6「The Takedown」。薄いディレイによるピアノのアルペジオは深い森の奥へと聴き手を誘うよう魅惑のアンビエント。その後の激しさと切なさが同居したヘヴィなアンサンブルにどっぷり浸れる6分間です。
ダウンチューニングによるヘヴィなギターはこのバンドの特色でもあるわけですが、とりわけ#7「Unfaithful」に関してはPanteraのようなスラッシュや、Nickelbackのようなグランジ、オルタナのダーティなニュアンスを感じ取れると思います。
#8「Resurrection」はハンセンのクリーンなボーカルが特に沁みるバラード。ミックスではピアノがフィーチャーされ、サビ前のブレイクやそのサビにおけるコーラスもキャッチー。それでいてどこか芸術性が垣間見えるのは、やはりこのバンドのアピールすべきポイントなんだろうなぁというのを強く感じます。
ラストナンバー#9「Undefeated」は淡々とした展開から波のように押し寄せるエンディングが魅力的。最後まで幻想的でいい意味での冷ややかな空気が漂うプログレッシブ・メタルを突き通しており、やはりLeprousに通ずるセンスと世界観に溢れています。
個人的に今後さらに伸びていくであろう、大注目のバンドでした!
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タグ: プログレッシブ・メタルLeprousRendezvous Point北欧プログレ
関口竜太
東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。
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