【最強】2020年プログレッシブ・メタルアルバムBest10
by 関口竜太 · 2020-12-20
こんにちは、ギタリストの関口です!
今年も一年の総決算として2020年のプログレ作品で特によかったものをランキングにまとめました!
今回はプログレッシブ・ロック部門とプログレッシブ・メタル部門の2部門を用意したのですが、こちらのブログではプログレッシブ・メタルのランキングをお届けします!
例によって独断と偏見ですが最後まで楽しんでいただけると嬉しいです。
動画はこちら▼
よろしければ評価、チャンネル登録もぜひよろしくお願いします!
10-4
10位 The Long Dream / Ebonivory
第10位はオーストラリア出身のプログレッシブ・メタルバンドEbonivoryの最新作です。
Ebonivoryは2014年に結成された新生バンドで、オルタナロック、ポストハードコア、モダンパンク、そしてDjentなどの要素を独自に蒸留したスタイルで人気です。
本作は2部構成となる構想の第一幕にあたり、メリハリのついたタイトなアンサンブルと、Chalie Powlettによるクリーンとデス、そしてハイトーンを混ぜたモダンなボーカルが際立った一枚になっています。
9位 I Wonder / Teramaze
第9位はこちらもオーストラリアのプログレッシブ・メタルバンドTeramazeの5thアルバム。
前作までおよそ二人のボーカルを取っ替え引っ替えしながら活動していたのですが、本作ではリーダーでありギタリストのDean Wellsが担当。
いわゆるDream Theater的な王道スタイルに立ち返り、哀愁漂うメロディラインとワイドレンジな展開、そしてデジタルサウンドへの開眼も見込めそうな新境地に踏み入れています。
8位 Palimpsest / Protest The Hero
Palimpsest
カナダのプログレメタルバンドProtest The Heroの最新作『Palimpsest』が第8位。
Protest The Heroは元々政治批判の強いハードコアパンクバンドとして活躍していましたが、2005年の1stアルバム以降、その演奏技術を武器にメタルコアやマスロックといったプログレッシブな方向性へ変化してきました。
最新作はアメリカ経済や大恐慌、飛行事故など歴史的なドキュメンタリーを主題に置いた、悲劇を歌うコンセプトアルバムとなっています。
7位 Panther / Pain Of Salvation
第7位はスウェーデンのプログレッシブ・メタルバンドPain of Salvationの新作『Panther』。
過去に脱退したギタリストJohan Hallgrenがバンドに復帰し、プロデューサーにIn FlamesやMesshuggahで知られるDaniel Bergstrandを迎えた強力タッグによる最新作です。
ヘヴィメタルとデジタルな音との融合を極限まで突き詰めたようなインダストリアルなサウンドで、テーマの難解さも含め思わず感嘆の息が漏れるほどの芸術作品に仕上がっています。
6位 The Phoenix / Derek Sherinian
元Dream Theater、現在はSons Of ApolloやSimon Phillipsとのユニットで大活躍しているキーボーディストDerek Sherinianのソロ最新作が第6位。
ドラムはフィリップス、ベースにErnest Tibbsというフュージョン系プレイヤーを加えた3ピースを基盤として、Billy SheehanやZakk Wylde、Steve Vai、Ron Thal、Kiko Loureiroなど豪華なゲストも参加しています。
アルバム自体はフュージョンをベースなためインスト作品としては比較的アダルトですが、緻密に構成された楽曲に的確なゲストを迎え入れたハイレベルな作品に仕上がっていました。
5位 Long Day Good Night / Fates Warning
第5位はアメリカで80年代中期から活動する元祖プログレッシブ・メタルバンドFates Warningの最新作『Long Day Good Night』。
90年代〜2000年代にかけては実験的な音楽性を提示していたバンドも、2010年を境に本来のパワー溢れるヘヴィメタルへと回帰、近年ではPorcupine TreeやThe Pineapple Thiefといったプログレバンドのエッセンスも取り入れてより芸術性の高い作品を生み出しています。
最新作は全体的にゴシックかつアコースティックな作風に仕上がっているのが特徴で、ゴリゴリのパワーメタルを期待するというよりは、知的でプログレ本来のアンニュイな雰囲気をメタルサウンドと共に味わえる、贅沢で大人なプログレメタル作品になっています。
4位 City Burials / Katatonia
シティ・ベリアルズ[耽美派ダーク・プログレッシヴ・メタル・バンド/CD(日本語解説書封入/歌詞対訳付)]
第4位はこちらもベテラン、スウェーデンのプログレッシブ・メタルバンドKatatoniaの最新作『City Burials』です。
2000年以降、概ね3年〜4年のスパンでコンスタントにアルバムをリリースしているKatatonia。前作『The Fall of Hearts』からより芯のブレないゴシックな音楽性に特化、その一方でデジタルなスパイスやパーカッションを積極的に取り入れたり、珍しくテクニカルな演奏も聴けるなどの点で注目の一枚です。
3-1
3位 Terminal Velocity / John Petrucci
第3位はDream Theaterのギタリストにして崇高なプログレッシブ・メタルプレイヤーJohn Petrucciの2ndアルバム『Terminal Velocity』。
オフィシャルサイトからのみ購入可能だった前作『Suspended Animation』から15年ぶり、ファン待望のソロアルバムを3位に選びました。
ドラムにはかつての盟友Mike Portnoy、ベースにはG3でサポートを務めたDave LaRueによる完全トリオのギターインスト作品です。
この15年でその音楽性にアソビが減った分、よりシンプルに洗練されてきた印象を受けるペトルーシのギター。そのトーンもかなり個性的な領域にまで達してきましたが、それだけに本作は上辺だけのテクニカルでない年季が感じられる王道インスト作品になっています。
2位 Rise Radiant / Caligula’s Horse
第2位に選んだのは、オーストラリアのプログレッシブ・メタルバンドCaligula’s Horseの最新作『Rise Radiant』。
2011年にボーカルJim GreyとギタリストSam Vallenによって結成されたCaligula’s Horseは、当時でまだ黎明期であったDjentのサウンドに目をつけ、Devin TownsendやFrost*といったメロディアスなプログレの様式にも手を伸ばした、現在大注目のメタルバンドです。
新体制となったニューアルバムは、Djent特有のタイトな刻みにスピード感溢れるリードギター、大自然を感じさせるアルペジオやフォークな展開に、表現力豊かなボーカルが乗るハイクオリティのオージープログレとなっています。
1位 Virus / Haken
そして第1位はイギリスのプログレッシブ・メタルバンドHakenの最新作『Virus』。
UKの伝統的なプログレのエッセンスとDream TheaterやMetallicaと言ったヘヴィメタルサウンドを併せ持ち、アプローチは王道でありながら卓越したセンスと演奏力で場を支配するモダンメタルバンドです。
2018年にリリースした『Vector』の続編として、心を媒体に繁殖するウイルスのような概念を、フロイト理論や心理学、哲学の側面から紡いだコンセプトアルバムです。
単なる優等生に収まらない爆発力がとにかく凄まじく、特に5部構成17分に及ぶ組曲では、如何にもプログレッシブ・メタル然とした高速リフやブレイク、またメランコリーな展開から70年代を感じさせるユニークな不気味など、めまぐるしくも理路整然と展開していきます。途中過去の曲のセルフオマージュも仕込まれているので歌詞カードを見ながら聴くとニヤリとすること請け合いです。
というわけで2020年にリリースされたプログレッシブ・メタルアルバムの個人的ランキングトップ10でした!
同時に「2020年のプログレッシブ・ロックアルバムトップ10」の記事もよかったら見てみてください!今後何か新たな音楽を開拓する手助けになれればと思います。
2020年ベスト・プログレッシブ・メタルTOP10 – イメージは燃える朝焼け
- Virus / Haken
- Rise Radiant / Caligula’s Horse
- Terminal Velocity / John Petrucci
- City Burials / Katatonia
- Long Day Good Night / Fates Warning
- The Phoenix / Derek Sherinian
- Panther / Pain Of Salvation
- Palimpset / Protest The Hero
- I Wonder / Teramaze
- The Long Dream / Ebonivory
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タグ: Caligula's HorseDerek SherinianEbonivoryFates WarningHakenJohn PetrucciKatatoniaPain Of SalvationProtest The HeroTeramaze
関口竜太
東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。
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