Jason Kui「Absence of Words」: アジアを牽引するハイブリッド型ギタリストのデビュー作!ペトルーシorティモンズ、どちらかでも好きなら聴いておくべし!

こんにちは、ギタリストの関口です。

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本日は香港のギタリストJason Kuiの1stアルバムご紹介します。

Absence of Words / Jason Kui


Absence of Words

Jason Kui(ジェイソン・クイ)は中国・香港のミュージシャン及びギタリスト。

来歴


香港を拠点として活動するテクニカル系ギタリストのホープJason Kui

10代のころにEdward Van Halen、John Petrucci、Andy Timmonsなどに触発された彼は、そこから得たインスピレーションを武器に自らインストゥルメンタル楽曲を制作。

23歳の頃からは、サポートギタリストとしても活動し香港で絶大な人気を誇る歌手Eason Chanのツアーサポートに同行、そこで2年間のワールドツアーを成功させたり、中国のテレビ番組「I Am A Singer」の専属ギタリストとしても活躍しました。

主な機材はAristides Guitars、Novo Guitars、Tom Anderson、そしてMesa Boogieアンプなどを使用。

モダンなDjent寄りのタイトな演奏や、抜群のタイム感から出てくる表情豊かなアーティキュレーションなど、筋金入りのギターキッズを具現化したような多様なロックスタイルで近年注目のギタリストです。

本作『Absence of Word』は2017年にリリースされた自身の1stソロアルバムをリリースします。ドラムにはMarty FriedmanやArch EnemyのギタリストJeff Loomisで知られるAnup Sastryが参加し、Josh Smithをゲストに招きギタリストとして自らの認知を高めることとなります。

アルバム参加メンバー


  • Jason Kuib – Guitar, Bass, Keyboard
  • Josh Smith – Guitar on #6
  • Rafa De La Garza – Guitar on #3
  • Anup Sastry – Drums

楽曲紹介


  1. Polarized
  2. Reactive Impulse
  3. Morning Breeze (featuring Rafa De la Garza)
  4. Dance of Awakening (The Spirit)
  5. Squeaky Switch
  6. Now! You! Know! (featuring Josh Smith)
  7. Moving On

彼自身が尊敬するギタリストである、John PertrucciとAndy Timmonsの中間にあるような王道ギターインスト作品で、それぞれの特徴やスタイルも汲んだオマージュとしても強めな一枚

#1「Polarized」はもっとも彼らしさが現れた爽やかなDjent系メタルナンバー。クランチによる心地よいカッティングに追従するようなタイトなリードプレイと、緩急のあるパッセージの数々が非常に音楽的。ワーミーを使ったソロやヘヴィなリフの展開など、サウンドのバリエーションにも一工夫されていて飽きない構成になっています。

#2「Reactive Impulse」は4つ刻みのシンプルなコードリフからドラマティックに展開していくハードロックナンバー。情熱的なサビのフロウからAndy Timmonsの「Pink Champagne Sparkle」を想起させました。

Rafa De la Garzaがゲスト参加した#3「Morning Breeze Rafa De la」。アコースティックな倍音を散りばめ、煌びやかなクリーンのアルペジオとクランチ気味のリードプレイで聴かせるバラードです。

ゲストのラファという人物は、メキシコとアメリカから成るプログレ系インストバンドKaguuのギタリスト。クリーントーンによる繊細なタッチを得意とし、主に任天堂楽曲のカヴァーを行なっています。ポップで可愛らしいジャケットも特徴ですね。

#4「Dance of Awakening (The Spirit)」は本作でも随一のプログレッシブナンバー。エスニックなイントロに加えモードを意識した理論派の楽曲で、めまぐるしい構成や変拍子を存分に楽しめます。2:41〜のハーモナイズプレイや3:32〜のソロなどもJohn Petrucciを大いに意識していますね。

#4から続く形で訪れる7弦プログレメタル#5「Squeaky Switch」。こちらも全編を通してJPオマージュな一曲。メインリフのチャカッというブラッシングもクールですが、弦跳びが印象的なサビのメロディなどは「Tunnel Vison」も彷彿とさせますね。

#6「Now! You! Know!」はJosh Smithが参加したブルース&ファンクなナンバー。歯切れのいいカッティングやムードたっぷりのエレピなど楽曲のプロファイリングもハイクオリティです。タイトルから何か悟れないかと考えましたが、Jeff Beckの1stアルバムに収録された「You Know What I Mean」が元ネタなのかなと勘ぐっています。2:26〜のノイジーなギターソロもJBっぽいです。

そしてラストとなる#7「Moving On」はブルーなバラードソングなのですが、まんまAndy Timmonsの「Falling Down」です笑 これに関しては疑いようがないというか、イントロから完全にそれですしリードプレイにおける表情の付け方もそっくり!しかしながらそんなオマージュっぷりにニヤけつつも、コードを混ぜたメロディプレイや繊細なタッチにおけるプレイイングの素晴らしさには拍手を送るしかないほどクイの巧さがにじみ出ています。

非常に愛に溢れたプレイイングを感じさせつつ適度にオリジナリティも挟んでくるとても上質なギターインスト作品でした。アルバム全体のコンパクトさも相まって何周も聴けてしまう一枚です!

関口竜太

東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。

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