Pinnacle Point「Symphony of Mind」: 米丁のユニットによって紡がれる21世紀の”ネオ・カンサス”。ヴァイオリンの生々しさが増した待望の2ndアルバム!

こんにちは、ギタリストの関口です。

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本日はPinnacle Pointの2020年最新作をご紹介します。

Symphony of Mind / Pinnacle Point


Symphony of Mind

Pinnacle Point(ピナクル・ポイント)はマルチナショナルのプログレッシブ・ロックバンド。

来歴


アメリカのシンガーJerome Mazzaと、デンマークのギタリストTorben Enevoldsenを中心に2015年に結成されたのがこのPinnacle Point。

マッツァは、元Kansasにして全盛期を築いたSteve Walshのラストアルバム『Black Butterfly(2017)』に参加し、その美声を披露したことで一躍注目が集まったボーカリスト。

対するトーベンはデンマークのメロディックハード/ヘヴィメタルバンドFateで活動しているテクニカル系ギタリストで、再結成後2011年からのバンドを支えていると言っても過言ではない存在です。

そんな二人が織りなす音楽は、クラシカルなハードロックとイギリスを中心としたプログレッシブ・ロックを融合したもので、マッツァの声からしても“ネオ・カンサス”と言って差し支えないスタイル。

2017年には1stアルバム『Winds of Change』をリリース。こちらは二人のマルチな才能の他にトーベンの盟友であるDennis Hansenをドラムに招き制作。日本版は未発売でしたがプログレッシブファン界隈では期待の新人と話題になります。

本作『Symphony of Mind』は2020年にリリースされた待望の2ndアルバムで、前作とは違う多数のゲストを招いて制作されました。特に注目したいのは日本のプログレッシブ・メタルバンドSPiRiTRiALのベーシスト伊藤威明さん。さらにヴァイオリニストValeria Pozharitskayaにより、元々アメリカン・プログレ・ハードの強かった彼らの音楽をよりリアルなAORに仕上げています。

アルバム参加メンバー


  • Jerome Mazza(ジェローム・マッツァ) – Vocal, Keyboard
  • Torben Enevoldsen(トーベン・エネヴォルドセン) – Guitar, Keyboard
  • Rich Ayala(リッチ・アヤラ) – Guitar, Backing Vocal
  • Valeria Pozharitskaya(ヴァレリア・ポザリツカヤ) – Violin
  • Mark Prator(マーク・プレイター) – Drums
  • Takeaki Itoh(タケアキ・イトウ) – Bass
  • Howard Helm(ハワード・ヘルム) – Keyboard, Organ, Synthesizer
  • John F Rodgers(ジョン・F・ロジャース) – Piano, Strings

その他参加ミュージシャン

  • Tommy Denander – Guitar, Keyboard on #2
  • Jim Morris – Guitars
  • Dennis Atlas – Piano, Organ
  • James Rosco – Piano

楽曲紹介


  1. Ascent to the Point
  2. So Alive
  3. Weight of the World
  4. Hero
  5. Never Surrender
  6. In the Wake of Hope
  7. Shadows of Peace
  8. Beyond
  9. Nothing at All
  10. Prodigal
  11. Symphony of Mind
  12. Dangerous Times

まず#1「Ascent to the Point」はこのプロジェクトのイメージと方向性を確立させるオープニングインスト。オルガンのグリッサンドからクラシカルなヴァイオリンの降下、パターンで打ち込まれるドラムにギターとベースの重低音なリフが響きます。総じてYesや70年代のプログレッシブな雰囲気を一心に炙り出したナンバーです。

#2「So Alive」は本作のリードナンバー。ピッツィカート的なピアノとギターのリフにRushのGeddy LeeやSpock’s BeardのTed Leonardも彷彿とさせるマッツァのボーカルが響きます。3:42〜はアーティキュレーション豊かなシンセリードやギターソロも楽しめますが、キーボードソロはゲストのTommy Denanderによるものかなと思います。

先行シングルとなった#3「Weight of the World」。ギターのスクウィールによる導入がなんとも印象的ですが、中身はDeep Purpleなどを思わすストレートなハードロック。2:27〜のトーベンによるフルピッキングソロも痛快です。

#4「Hero」は哀愁たっぷりのピアノ、ヴァイオリン、アコギから展開するオリエンタルなバラード。全編で存在感を放つヴァレリアのヴァイオリンが印象的です。

続く#5「Never Surrender」はポリリズム的な変則リズムやブレイクでフリーキーさを演出しているナンバー。さらに#6「In the Wake of Hope」では一層Kansasらしさが感じられ、叙情的なメロディはもちろん、絢爛なストリングスやアップライトピアノ、変拍子など演奏面においてもタイトに仕上がっています。

スリリングで情熱的なイントロから始まる#7「Shadows of Peace」。ヴァースでのピアノとボーカルのデュオや、セクション終わりのコード進行など丸々Kansasで笑ってしまうんですが、それくらい類似した音楽です。

なお、ヴァイオリニストのヴァレリアですが最近になって自動車事故に遭いました。現在は回復中で、この曲のMV撮影に臨んでいるそうです。

#8「Beyond」はここまでの流れを組んだミディアムナンバー。続く#9「Nothing at All」はオルガンを初め鍵盤の特色を活かしたロックバラードです。

重たいシャッフルビートにヴァイオリンがユニゾンに混ざったオリエンタルナンバー#10「Prodigal」。アルバムでも指折りのプログレッシブさで、ヴァイオリンによる上品な美しさは残しながらどこか民族的でもある独特のテンションを生んでいます。

タイトルナンバー#11「Symphony of Mind」は堅実さを追求した王道なメロディックロックバラード。3:30ごろのベースフィルが真正面に出てきたりクロージングでトーベンソロがあったりと聴きどころはありますが、基本は#4や#8などの方向性を汲んだバラードです。

このまま綺麗に終わるのかと思いきや、ラストとなる#12「Dangerous Times」では今一度ハードな演奏で出迎えてくれるプログレハードのフリークソングです。メロディやアレンジに古臭さはありますが、元よりクラシカルを歌っているためそこに焦点を当てて聴きたい人にはぴったりの作品かもしれません。

関口竜太

東京都出身。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロギタリスト山口和也氏に師事。ロックやメタルに加え、ブルース、ファンク、ジャズなど幅広い演奏や音楽理論を学ぶ。 プログレッシブロック/メタルの大ファン。自身が企画するプログレッシブ・ロックプロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。

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