Wilderun「Veil of Imagination」: これぞOpeth meets Townsend!!自主制作の枠を超えた圧倒的音圧のシンフォニック・デスプログ!

こんにちは、ギタリストの関口です。

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本日はアメリカのバンドWilderunの2019年作をご紹介します。

Veil of Imagination / Wilderun


Veil of Imagination -Ltd-

Wilderun(ウィルドラン)はアメリカのプログレッシブ・メタルバンド。

来歴


2008年にアメリカのボストンで結成されたプログレッシブ・メタルバンドWilderun

ボーカルのEvan Anderson Berry、ベースのDan Müller、ドラムのJon Teachey、リードギターのJoe Gettler、そして彼らの特色であるオーケストラを担当するWayne Ingramの5人編成で、それぞれメンバーがメインパートと兼任してピアノやらキーボードやらも弾くと言った活動形態となっています。

バンドは2012年に『Olden Tales & Deathly Trails』でデビュー。

当時はまだギターのゲトラーはメンバーではないのですが、フィンランドのTurisasやWintersunなどヴァイキング/フォークメタルからの影響を取り入れ、とりわけボーカルであるエヴァンがアコースティックギターやマンドリンなども演奏する北欧贔屓なメタルバンドでした。

スタイルに変遷が見られたのは2015年の前作『Sleep At The Edge Of The Earth』

ゲトラーの加入により特徴の一つであったフォークサウンドを若干緩めることとなります。その代わり、彼らの影響の一つであるDavin Townsendのようなオーケストレーションをより強化

リードギターも加わりバンドとしての華が現れたことで、結果、田舎臭さが抜け良質なデス系シンフォニックメタルへと変貌を遂げます。

今日ご紹介する『Veil of Imagination』は前作から4年ぶりとなる3rdアルバム。

デスはOpethのように豪快かつ繊細に、オーケストラはDevin Townsendのようなボリューム感で、これがレーベル無所属の自主制作盤とは思えないほど豪華な仕上がりになっています。

アルバム参加メンバー


  • Evan Anderson Berry – Vocal, Guitar, Piano
  • Dan Müller – Bass, Synthesizer, Orchestration
  • Jon Teachey – Drums
  • Joe Gettler – Guitar
  • Wayne Ingram – Orchestration

その他参加ミュージシャン

  • Rob Berry – Piano on #8
  • Emily Thompson – Additional piano
  • Doug James – Spoken word

楽曲紹介


  1. The Unimaginable Zero Summer
  2. O Resolution!
  3. Sleeping Ambassadors Of The Sun
  4. Scentless Core (Budding)
  5. Far From Where Dreams Unfurl
  6. Scentless Core (Fading)
  7. The Tyranny Of Imagination
  8. When The Fire And The Rose Were One

オープニングは14分半の大作#1「The Unimaginable Zero Summer」。ゲストであるDoug Jamesの語りから、アコースティックギターとクリーンボイスが静かに導入していきます。フルートやストリングス、クアイアなど、持ち味であるフォークサウンドの静寂性+攻撃的なブラストビートと圧倒的オーケストレーションの波が対比を打つ完成度の高さ。

Joe Gettlerの叙情的なギターソロから感じるのはやはり北欧らしさで、デスボイスとサビでのクリーンのスイッチはまさにアメリカ製Mikael Åkerfeldtです。7:30〜は猛々しいコーラスにグロウルも被さり壮大なシンフォニックデスに溺れます。

#2「O Resolution!」は先行シングルになったナンバー。#1の延長線上にあるような壮大なシンフォニックにクリーンとデスメタルとの緩急を見事にコントロール。このうちクリーントーンは惚れそうなほど色っぽく、別のプロジェクトでこちらのボーカルをメインに活動して欲しいくらいです。

スリリングなピアノとストリングスから、静寂なクリーンをメインに壮大なコーラスで盛り上げていく#3「Sleeping Ambassadors Of The Sun」。3:45〜のギターとストリングスによるメロディックなテーマも聴きどころです。

#4「Scentless Core (Budding)」は3分半ほどのインタールード。舞い散る花びらかそれとも細かい水の粒かというくらいに煌びやかなピアノをメインにしたインストパートで、他にフルートやストリングス、後半盛り上がるに連れメタルサウンドにも展開しています。

8分半に及ぶ#5「Far From Where Dreams Unfurl」は序盤から大仰しいシンフォニック・メタルを展開。メロディックなギターソロやDevin Townsendを彷彿とする壮大で本格的なオーケストレーションが実に見事で、ドイツのCryptexとも肩を並べますね。

#6「Scentless Core (Fading)」は映画音楽のような荘厳な雰囲気に、粛々と歌い上げるボーカルのポテンシャルの高さを改めて思い知らされます。楽曲の重さは『Awake』時代のDream Theaterのようでもありますが、90年代のような暖かさもありながらモダンに仕上がっているのはさすがです。

#6から繋がる形で流れ込む9分の大作#7「The Tyranny Of Imagination」。緊迫感の溢れるプログレッシズムと緻密に練られた構成からアンビエントとシステム両面で攻められる最強の一曲です。#1で感じた衝撃をもう一度思い起こさせるエヴァンのデス&クリーンもやはり素晴らしい。

ラストとなる12分弱の大作#8「When The Fire And The Rose Were One」。深い森のような導入部は穏やかなピアノとストリングス、そしてボーカルによって叙情的に迎えられます。散々Devin Townsend meets Opethを言ってきましたがこの曲はまさにその代名詞で、途中古きディズニー映画のようなファンタジックなシンフォニーもありつつ最後まで気持ち良さを追求したデスプログ作品に仕上げています!

関口竜太

東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。

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