Morse/Portnoy/George「Cov3r to Cov3r」: 盟友トリオによる超本格ロックカヴァーアルバム第3弾がいよいよリリース!リスペクトたっぷりな曲と豪華なゲストにも注目!

こんにちは、ギタリストの関口です。

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本日はMorse/Portnoy/Georgeの最新カヴァーアルバム『Cov3r to Cov3r』のご紹介をします。

Cov3r to Cov3r / Morse/Portnoy/George


Cov3r to Cov3r

Morse/Portnoy/George(モーズ/ポートノイ/ジョージ)はアメリカのプログレッシブ・ロックバンド、及びカヴァープロジェクト。

来歴


アメリカ・カリフォルニア出身のマルチミュージシャンNeal Morseと、そのソロ活動を支える盟友Mike Portnoy、そしてRandy Georgeによるトリオ名義のロックカヴァープロジェクト。

毎度お馴染み、ニールの経歴から話すと、2002年に神からの啓示を理由として自身が中心のプログレバンドSpock’s Beardから脱退。ソロアーティストとして新たな道を歩み出します。

2003年にクリスチャン・ミュージシャンとしての1stアルバム『Testimony』をリリースしたニールは、その作品でTransatlanticから付き合いのあったドラマーのポートノイと、新たに知り合ったジョージと現在まで揺るがない関係を築き上げています

ニールとポートノイのソングカヴァー好きは広く知られていて、Transatlanticのボーナスディスクでは毎度多数のカヴァー曲を収録している他、ポートノイはDream Theater在籍時代もカヴァーライブを頻繁に行なっていました。

そして3人は2006年に自らが影響を受けて来た偉大なロックミュージシャンたちのカヴァーを収録したアルバム『Cover to Cover』をリリース。この時はあくまでNeal Morse名義でのリリースでしたが、何を隠そうこれが今回のMorse/Portnoy/Georgeの始まり。

その後ファンからの好評もあり2012年に第2弾アルバム『Cover 2 Cover』をリリース。この企画ではいずれのアルバムもPhil KeaggyやBill Hubauerなど、現在のニールにも繋がるゲストが多数参加しています。

それから8年の歳月を経て、この度カヴァー企画第3弾としてリリースされたのが本作『Cov3r to Cov3r』。ここに来て名義をMorse/Portnoy/Georgeとし、過去2枚のアルバムに関しても同様の名義でリマスター版が復刻しています。

アルバム参加メンバー


  • Neal Morse – Vocal, Guitar, Keyboard
  • Mike Portnoy – Drums, Percussion, Vocal
  • Randy George – Bass, Keyboard

その他参加ミュージシャン

  • Jon Davison – Vocal on #1
  • Pamela George – Chorus on #1
  • Jonathan Sindelman – Keyboard on #1
  • Melody Portnoy – Chorus on #5
  • Jim Hoke – Saxophone on #4, #7
  • Chris West – Horns on #5
  • Gideon Klein – Double Bass, Cello, Viola
  • Josée Weigand – Violin Viola

楽曲紹介


  1. No Opportunity Necessary, No Experience Needed
  2. Hymn 43
  3. Life On Mars
  4. Baker Street
  5. It Don’t Come Easy
  6. Baby Blue
  7. One More Red Nightmare
  8. Black Coffee In Bed
  9. Tempted
  10. Runnin’ Down A Dream
  11. Let Love Rule

さて、#1「No Opportunity Necessary, No Experience Needed」は言わずと知れたYesの『Time and a Word』に収録されたバンドの代表曲。基本的には原曲リスペクトのスタンスとなる本企画ですが、この曲だけやけに異質。

と言うのも、ゲストボーカルにはGlass Hammerで知られるJon Davisonが参加。彼はまた2012年からYesにも参加しており、本カヴァーではキーをシフトしています。キーボーディストにはニールの他、Mike Keneallyなど多くのミュージシャンとセッション経験のあるJonathan Sindelmanがゲスト参加。まさに本家級の豪華なオープニングに仕上がっています。

#2「Hymn 43」はJethro Tullの大ヒットアルバム『Aqualung』に収録された曲。本カヴァーではキーを落とし、さらにロックンロールな雰囲気へアレンジ。Ian Andersonnによるキリスト教の賛美歌がモチーフとなった歌詞から、ニールがこれを選曲する理由もわかりますね。

お次はDavid Bowieのカヴァー曲#3「Life On Mars」。1971年のアルバム『Hunky Dory』に収録され、後にシングルカットされたグラムロック界の名バラード。原曲のピアノはRick Wakemanが担当していることもあってその辺に選曲理由が隠れていそうです。

#4「Baker Street」はGerald Raffertyの1978年にリリースされた2ndアルバム『City to City』に収録されたヒット曲。ポートノイがやりたかった一曲で、そこにベースのランディが加わり、若干乗り気ではなかったニールもいつしかポートノイのフィーリングを感じられたと話します。

手数が多めになったドラム、スライドによるアーティキュレーション満載のギターソロも素晴らしいですが、何よりゲスト参加したサックス奏者Jim Hokeによるクールなリードテーマがとても印象的です。

#5「It Don’t Come Easy」はRingo Starrによるソロ曲のカヴァー。The Beatlesならではのポップさと優しいメロディが特徴で、George Harissonがプロデュースとギターの両面で参加したことも受けて大ヒットを記録します。

原曲に則りメインボーカルはポートノイが担当。彼の娘であるMelody Portnoyもコーラスに参加しており、コロナ禍による自粛生活で家族愛が深まった一家の温かみあるバックが垣間見れます

続いてイギリスのバンドBadfingerのカヴァー曲#6「Baby Blue」。個人的に未履修だったのですが2013年に「Braking Bad」という海外ドラマで使われてから人気が再燃した曲らしく、その回の放送終了後にダウンロード数が5300回にまで上ったのだとか。

曲はボーカルのPete Hamがディクシーという当時のガールフレンドとデートをした内容が歌われた爽やかなフォークナンバー。ニールのボーカルスタイルにも合っていますね。

#7「One More Red Nightmare」はKing Crimsonのアルバム『Red』に収録されたハードロックナンバー。『Red』は個人的にクリムゾンのアルバムで一番好きなのでこのカヴァーを知った時は興奮しました。

ギターはニールが弾いてるのですがしっかりRobert Frippのサウンドをトレースしているのがたまりません。なお、本プロジェクトの前作『Cover 2 Cover』では「Starless」のカヴァーも行なっています。

#8「Black Coffee In Bed」#9「Tempted」は、共にイギリスのポストロックバンドSqueezeのカヴァー。#8は1982年にリリースのヒットシングル(『Street from Sweets』 収録)、#9は1981年のアルバム『East Side Story』に収録された2ndシングルで、この2曲をシームレスに繋ぐ形で本作では収録しています。

サザンロックにしてアメリカ発ハートランド・ロックの代表格Tom Pettyのカヴァー#10「Runnin’ Down A Dream」。エッジの立った攻撃的なギターとニールのシブいボーカルがご機嫌に疾走するナンバーです。

ラストとなる#11「Let Love Rule」はアメリカのシンガーLenny Kravitzの1stアルバムに収録された同タイトルナンバー。いなたいブルースロックサウンドに響くオルガンとゆったりしたテーマがそのままSpock’s Beardを思い出させます。

以上11曲。メジャーどころでありながら程よくマイナーさもありプログレッシブ・ミュージシャンならでは選曲と言ったところでしょうか。これを機に過去2作品の紹介記事も書けたらと思いますので気を長くしてお待ちください。

関口竜太

東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。

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