Lonely Robot「Feeling Are Good」: 英マルチプレイヤーJohn Mitchell率いるロックプロジェクト最新作!人の感情を探る内省的ネオプログレ作!

こんにちは、ギタリストの関口です。

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本日はLonely Robotの2020年最新作をご紹介します。

Feeling Are Good / Lonely Robot


Feelings Are Good -Ltd-

Lonely Robot(ロンリー・ロボット)はイギリスのプログレッシブ・ロックプロジェクト。

来歴


1980年代にイギリスで勃興したネオプログレッシブ・ロック

Marillionを筆頭にPendragonやIt Bitesなど70年代とは違う新世代のプログレッシブ・ロックとして多くのバンドが登場しました。

そんなネオプログレバンドの一つで1997年にデビューを飾るArenaのギタリストとして活動していたのが、本日ご紹介するLonely Robotの発起人John Mitchell

Jeff BeckやDavid Gilmourから影響を受けたミッチェルはギタリストとしてだけでなく自身も歌を得意とし、他に様々な楽器に精通している点からプログレ界隈のマルチプレイヤーの一人に数えられます。

先述したArenaは現在まで新譜をリリースし続ける息の長いバンドであり、2005年からはMarillionのPete Trewavasと結成したKino、2006年からはイギリスの音楽家Jem GodfreyからオファーされFrost*にも参加。

他にもPendragonのClive NolanやレジェンドJohn Wettonのサポートも行い、一時はIt Bitesにも参加しますがこちらは現在活動休止中。いずれにしてもミッチェルが参加することでバンドは活気付きその寿命が伸びる、創作現場や精神面でのカンフル剤とも言える存在です。

そんなミッチェルでしたが、これらの活動を通じて、これからは自身のプロジェクトにて表現していくことも重要だという決断に至ります。そして2014年に発足したのがLonely Robotです。

このLonely Robotではギターとボーカルを初め、ベースやキーボードもミッチェルが演奏するというのが主なコンセプト。1stアルバム『Please Come Home』ではそこへCraig Blundell(Steven Wilson, Frost*)、Nick Beggs(Kajagoogoo, Steven Wilson)、Nik Kershaw、Steve Hogarth(Marillion), Heather Findlay(Mostly Autumn)Jem Godfrey(Frost*)と言った豪華なゲストが参加しています。

音楽性の傾向はArenaやKinoに近いものではありますが、作曲や演奏、プロデュースを含めすべて自分で管理した音楽である点においてそれらとは根本的に違ってきます。

本作『Feeling Are Good』はそんな多忙なスーパープレイヤーミッチェルによるLonely Robotの4thアルバムです。

アルバム参加メンバー


  • John Mitchell – Vocal, Guitar, Bass, Keyboard, Production & Mixing
  • Craig Blundell – Drums

楽曲紹介


  1. Feelings Are Good
  2. Into The Lo-Fi
  3. Spiders
  4. Crystalline
  5. Life Is A Sine Wave
  6. Armour For My Heart
  7. Suburbia
  8. The Silent Life
  9. Keeping People As Pets
  10. Army Of One
  11. Grief Is The Price Of Love
  12. The Silent Life (Orchestral Version)
  13. Crystalline (Orchestral Version)

ミッチェルはここ数年でかなり内省的かつ感情的な音楽制作を行って来ました

その中で、Lonely Robotの過去の作品がいずれも宇宙をテーマにした広義の作品であったところ、本作ではもっと人の内面を捉えた狭義の作品になっているのが最大の特徴です。

#1「Feelings Are Good」はデジタル処理されたハーモニーで幕を開ける小曲。まさにロボットを象徴するようなその音とタイトルの「Feelings」というコントラストが絡んでいますね。

#1から繋がるリードナンバー#2「Into The Lo-Fi」。名パートナーCraig Blundellのパワフルなフィルからタイトル通りフィルタリングされたボーカルパートへ。「This is my life and it’s killing me now. Rewind. Rewind. Rewind」という歌詞の通り、ミッチェルの過去を振り返る楽曲で、フラットな感じではありますがFlying Colorsなどにも近いかもしれません。

#3「Spiders」はイントロからホラーテイストで謎の緊張感が包みます。ヘヴィなギターリフに感情的な歌詞や不穏な進行、変拍子などがPorcupine Treeを思わせます。3:15〜はダイナミクスたっぷりの展開を活かしたギターソロを堪能できます。

#4「Crystalline」はイントロからそのタイトル通りキラキラとした透明度の高いバラード。穏やかなピアノと芯のあるボーカルが特徴的ですが、後半ではストリングスに交えてディレイ+トレモロでの感情的なソロも披露しています。内容としてはクリスタルのように繊細な一面とそれに伴うある種の痛みを歌ったものですがミッチェルは「そんな痛みもアートに変えていくんだよ」と述べています。

先行シングルとしてMVが発表されていた#5「Life Is A Sine Wave」は80年代のGenesisを思わせるシンセサイザーが印象的なネオプログレナンバー。6/8と5/8のタイミングを交互に繰り返すプログレッシブさとポップかつニューウェーブな香りも漂うフックの効いた一曲です!

6曲目は#6「Armour For My Heart」。何かが迫ってくるのを感じさせるベースとドラムのイントロ、そこからシンセパッドで提示されるコードの上でミッチェルが物語の語り部となります。歌詞は哲学的な内容が意図されたものですが、それよりも開放的で美しいメロディを持つサビに心揺さぶらずにはいられません。3:12〜のギターソロはクリーントーンによる繊細なタッチで、4:12〜のセカンドソロは伸びやかなサスティンと供にリードサウンドで弾きまくっています。

#7「Suburbia」はアップテンポで爽快感のあるロックナンバーとして内省的な本作ではリスナーのメンタルを戻す重要な一曲。粒の細かいシーケンスのピアノと開放的なサビ、ブランデルの抑えきれないツーバスのビートなど日本のビートロックに近いニュアンスがありますね。

#8「The Silent Life」はバラードソングとなりますが、後にオーケストラバージョンが収録されていることからも、そのストリングスワークに耳を傾ける必要があります。イントロの柔らかなピアノとチェロの優しい旋律、そしてミッチェルの切ないボーカルも丁寧に歌われます。バンドインしてからも曲の雰囲気を第一にしたリズム隊と#6を思わせる繊細なギターソロが素晴らしいスイートペインな一曲です。

デジタルシーケンスから展開するブレイクビートのハードロック#9「Keeping People As Pets」。近年問題となる虐待、社会的支配、個性の消失など人間関係で起こるトラブルへの警告を歌った曲で、冷静に歌い上げるミッチェルとは裏腹に演奏はハードで攻撃的なものとなっています。

ブーツの行進音がそのままBPMに適応される#10「Army Of One」。反戦歌とも取れるこの曲は#9同様怒りに満ちた攻撃性が特徴。ヴァースはシンプルな伴奏のピアノで物悲しく歌っているものの、サビやポルタメントのチョーキングを多用した5:14〜のギターソロでは粘り強く感情に訴えるミッチェルの個人的な爆発が形に見えます。

本編ラストとなる#11「Grief Is The Price Of Love」わずか1分20秒で締めくくる小曲。アコースティックギターと#1と対になる一本のボーカルがアルバムのエンディングとして綺麗にまとめています。

そして、#12「The Silent Life (Orchestral Version)」#13「Crystalline (Orchestral Version)」はそれぞれ#8と#4のオーケストラバージョンです。オーケストラバージョンというよりはミックスからドラムなどのバンドサウンドを除いたオーケストラフィーチャーバージョンですね。本編を終えたあとにその余韻として楽しめるミッチェルからの嬉しいプレゼントです。

関口竜太

東京都出身。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロギタリスト山口和也氏に師事。ロックやメタルに加え、ブルース、ファンク、ジャズなど幅広い演奏や音楽理論を学ぶ。 プログレッシブロック/メタルの大ファン。自身が企画するプログレッシブ・ロックプロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。

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