【Twitter連動】「#私を構成する16枚のプログレアルバム」一気にご紹介!
by 関口竜太 · 2020-07-22
こんにちは、ギタリストの関口です。
ほぼ毎日プログレについてブログを更新しているわけですが、その僕が普段から目を通しているブログやニュースサイトももちろんあります。
中でも僕が最も信頼を置いているのが「プログレの種」さん。
定番のUK70年代プログレから2017年ごろまで、管理人さんのおすすめアルバムを紹介しているブログです。
音楽を言語で紹介すると、どうしても長文がぎっしり詰まった感じになりがちなのですが、こちらはレイアウトも綺麗で見やすい上、表現の幅も広く言葉も丁寧。関連アーティストや似たような音楽が例えとしてさらっと出てくるところに豊富な知見と愛を感じます。
そんな「プログレの種」さんをTwitterでもフォローさせてもらっているのですが、先日こんなハッシュタグでツイートされてました。
#私を構成する16枚のプログレアルバム
いつも一読、いいね、などありがとうございます。
おすすめ、名盤、評判を聴いた結果、辿り着いた「私的な16枚」何枚か限定し選ぶのは難しいですね。
※枚数で選んでしまう者ですが、「素敵なプログレの1枚」を紹介したい。https://t.co/PkIVEgtHa3へぜひ。 pic.twitter.com/HhOBWBeQSS— プログレの種[プログレおすすめ紹介] (@prognote_net) July 19, 2020
「#私を構成する16枚のプログレアルバム」ということで、よくある「自分を構成する」シリーズのタグです。
ですがポイントはプログレアルバムに絞っていることと選抜が16枚ということ。9枚っていうのはよく目にしますが16枚はなかなか選び甲斐があります。
というわけで今日はTwitterと連動させ、日頃から勝手に勉強させていただいてる感謝の気持ちと、プログレがもっと一般にも広まるその願いを込めてこのハッシュタグをやっていきます。
ツイートでは上記の形式に則って画像を貼り付けるだけですが、本記事ではどんなアルバムを選んだのかリンクも含め解説していきます。
①Octavarium / Dream Theater
まずは当ブログでもお馴染み、アメリカのプログレメタルバンドDream Theaterの『Octavarium』。
個人的にモストと言っていいほど大好きなバンドで、本当なら何枚も挙げたいところでしたがそこはあえての一枚。悩みました。
音楽におけるオクターブが黄金比の5:8からなっていることに注目し、あらゆる観点からガチガチにテーマを固めたコンセプトアルバムの究極系。定番の超絶技巧メタルはもちろん、24分に及ぶタイトル曲はプログレの大御所バンドや名盤たちを大胆にオマージュしたリスペクトの強い一曲となっています。
Dream Theater「Octavarium」: 「0〜8」は無限へと…新時代「令和」の幕開け!
②Red / King Crimson
お次はイギリスのプログレッシブ・ロック界でその時代を作ったKing Crimsonの『Red』。
Robert Fripp、John Wetton、Bill Brufordという当時最強の3人が集まった第3期クリムゾンの作品です。
メンバーである3人の仲は史上稀に見る険悪なものでしたが、闇に消えていくバンドの最終作として1stに劣らない(個人的には超えてる)名盤の一つです。
King Crimson「Red」: 全盛期と名高い第3期クリムゾン!「泣けるプログレ」の名盤。
③Leftoverture / Kansas
続いて70〜80年代にアメリカン・プログレ・ハードという派生ジャンルを築き、2020年にも新譜をリリースした生けるレジェンドKansasの4thアルバム『Leftoverture』。
大ヒット作であるこのアルバムはヒットシングル「Carry On Wayward Son」を初め、アメリカ文化が起こさせるメロディアスさとひたすらに突き進むプログレッシブさが同居した可能性の塊。
実はブログを始めた当初にちらっと触れただけでまだしっかりとした記事を書いていないので近々まとめようと思います。
④Fragile / Yes
UK五大プログレバンドYesの代表作にして崇高なるメンバー編成時代のアルバム『Fragile』。
Yesのアイコンとして名高い「Roundabout」と「Heart of the Sunrise」を収録しており、その間をグラデーションのように彩る小曲たちがまた濃密で、非常に美しい球体のような作品。
このアルバムも記事にした当時はまだ細かく突っ込めていなかったのでいずれ加筆するかもしれません。
Yes「Fragile(こわれもの)」: 祝ブログ一周年!タイトルの元ネタが収録された’71年の名盤を解説!
⑤深海 / Mr.Children
J-ROCK、J-POP界で不動の地位に君臨するMr.Childrenの5thアルバム『深海』。
この頃のミスチルはボーカル桜井和寿さんがバンドの多忙や自身のプライベートで悩んでいた時期であり、死のうとまで考えていたというのはアルバムの歌詞からも読み取れます。
そのくらい深海のように暗く深い本作はミスチル随一のコンセプト作にしてPink Floydからの影響をもろに反映した造りとなっているのが特徴です。
Mr.Children「深海」: ミスチル随一のプログレに込められた想いと「脱出」。
⑥Anima / Spheric Universe Experience
フランスのプログレッシブ・メタルバンドSpheric Universe Experienceの2ndアルバム『Anima』。
全然プログレに知見がないころ「Dream Theaterに近い」というポップを鵜呑みにして買ったピュアセレクトなアルバム。
実際、エネルギッシュなスピード感を持ったメロディアスな楽曲とヘタウマな演奏の作品でしたが、それから13年経つ現在もたまに聴くくらい自分にとって必要なアルバムになってくれました。
思い出補正もありますがトータルバランスでバンドの完成形にもっとも近いのはこれなんじゃないかなと思います。
Spheric Universe Experience「Anima」: 希少なフランス産DT系プログレメタルの2nd。シンフォニックかつ多言語の語りも採用した挑戦的アルバム!
⑦Picture At An Exhibition / Emerson, Lake & Palmer
EL&Pが行なった伝説的カヴァーライブを収録した『Picture At An Exhibition』。
そのあとにリリースされた『Tarkus』と、僕の中では二択だったのですが上記のSUE同様プログレに精通した先輩に勧められて聴いた思い出補正があり、実際ギタリストがいないのにここまで聴けるライブ盤は稀有なので選びました。
この記事を書いた時はジョジョアニメの最終回後で、少々余談がすぎるのですがおヒマでしたらどうぞご覧ください。
Emerson, Lake & Palmer「Picture At An Exhibition」: ジョジョ第5部のテーマから考察する「芸術」と「魂」の形。音楽に「運命の石」は存在するのか。
⑧Kaleidoscope / Transatlantic
Neal Morse、Mike Portnoy、Roine Stolt、Pete Trewavasという米英欧の四賢人が集結した大作プログレのスーパーグループによる4th作『Kaleidoscope』。
超絶的なソロはないものの、このバンドの特徴であるジャムセッションから生まれたライブ感とGenesis、King Crimson、Jethro Tullなどのテンプレートをうまくまとめ込んだ隠れた名盤だと思います。
Transatlanticはどのアルバムも好きですが30分を超える大作であるタイトル曲の衝撃がすごいのでこちらを選びました。
Transatlantic「Kaleidoscope」: 米英欧スーパークグループが繰り出す四手目!超大作に溺れる万華鏡幻想!
⑨Foxtrot / Genesis
UK五大プログレの一角Genesisの4thアルバム『Foxtrot』。
社交ダンスのステップパターンであるフォックストロットと狐を掛けた様子がジャケットに描かれているユニークな一枚。
「Watcher of the Skies」や大作「Supper’s Ready」など英国紳士的な気品溢れる作風で、現在まで続く構築プログレの元祖的な存在でありながら本当に72年作なのか疑わしいほど色褪せない名盤です。
Genesis「Foxtrot」: プログレ最盛期を少し振り返る、その1。現代メタルにも通用する1972年の名盤!
⑩Procol Harum / Procol Harum
プログレッシブ・ロックがまだ確立する前の草分け的バンドProcol Harumの1stアルバム。
The Moody Bluesとも比べられる当バンドですがポップなメロディやフォークサウンドが明るく親しみやすい印象。オリジナル盤には大ヒットシングルである「A White Shade Of Pale 」が収録されていないのですが新装盤以降は収録されてるので買い求めるならこちらがオススメです。
Procol Harum: ユーミンにも深く影響を与えたプログレッシブ・ロックの始祖!これを聴くことでJ-POPとプログレの親和性が濃くなる!
⑪Moving Pictures / Rush
カナダのプログレハードバンドRushの名盤『Moving Pictures』。
80年代のプログレ冷遇期をものともせずキャッチーなメロディと嫌味のない明るさ、そしてテクニカルな演奏技術は発売から40年近く経った現在でも色褪せません。
今年の初め、ドラマーのNeil Peartの訃報を受け、生前一度もRushを見られず終わってしまったのは心残りでしかないです。
カナダのRushの話。3ピースの気骨が産んだプログレハードの頂点。
⑫One / Neal Morse
Neal Morseはソロアーティストとしては現在ダントツで好きなのですが、こちらはクリスチャン・ミュージックに開眼してからの2ndアルバム(トータルでは4th)『One』。
往年の由緒正しきプログレッシブな流れを汲んだハードサウンドで、ゲストにPhil Keaggyなども起用した濃密なシンフォニック作品です。
これ以降、テクニカル系のリードギタリストをゲストに呼ぶことが増えますが、本業はキーボーディストであるニールの堅実なギタープレイも結構好きだったりします。
Neal Morse「One」: ファンにも人気の高い代名詞的プログレアルバム!(試聴あり)
⑬Affinity / Haken
続いてイギリスのプログレッシブ・メタルバンドHakenの4thアルバム『Affinity』。
UKの伝統的な構築プログレとそのアプローチを引き継ぎながら、デジタルな流れも汲んだ最新鋭のプログレメタル。コンセプト作でありながらアラカルトとして聴いても問題ない柔軟性がバンドとしての完成度を物語っていますしアルバムとしても究極です。
本作は初めて日本盤が発売された作品でもあったためかなり話題になりました。
Haken「Affinity」: 日本初上陸の超名盤!キングダムから出でし最先端のプログレメタル!
⑭In a Perfect World / Karmakanic
お次はスウェーデンのネオプログレッシブ・ロックバンドKarmakanicの『In a Perfect World』。
KarmakanicはThe Flower KingsのベーシストであるJonas Reingoldを中心にそのファミリー・ツリーを代表するバンドの一つ。
キャッチーなメロディとラテンなどのアレンジも取り入れたバラエティに富んだ作風で、とにかくアクセスしやすい印象の一枚。媚びてると言われるとそれまでですが現代では特に聴きやすさというのは重要なパラメータだと思います。
これも近々しっかりとした記事を書きたいです。
今熱い北欧プログレを知らないともったいない。多彩なバンドKarmakanicをレビュー(試聴あり)
⑮Lover’s End / Moon Safari
2000年以降のプログレでとりわけ人気を博すのがスウェーデンのMoon Safari。本作『Lover’s End』は2010年の3rdアルバムになります。
このアルバムの記事を書いたときは「卓越したテクニックはない」と言っているんですが実際はめっちゃうまいです。このアルバムしか知らなかった浅はかな見聞への戒めも込めています。
とにかく美しいコーラスと北欧らしいメロディラインに自身への影響とか忘れてうっとりしてしまいますね。まだ実物を見れていないので、(情勢が大変だけど)また日本に来て欲しいです。
Moon Safari「Lover’s End」: 美しいコーラスワークが沁み渡る北欧ニューカマー2010年の名盤。
⑯Blackwater Park / Opeth
ラストはスウェーデンのプログレッシブ・メタルバンドOpethの5thアルバム『Blackwater Park』。
最後にどぎつくデス系バンドを持って来てしまいましたが、本作でのプロデューサーはあのSteven Wilsonが行なっていることもあって、深淵なるダークな世界観の中にも儚げな美しさや切なさが込められた芸術性の高い一枚です。
Opeth「Blackwater Park」: 2001年名盤紹介!そしてニューアルバムが2パターンの言語で今秋リリース!
…というわけで単にお気に入りでもあれば、作曲において影響を及ぼしているレベルのものもあるそんな16枚を選んでみました。
今回全て別のアーティストやバンドで選抜しましたが自身を構築していれば同じバンドから複数枚選んでも面白いかもしれませんね。
各アルバムの紹介記事や関連記事も一緒にリンク貼っておきましたが、意外に再編集したいものが多くこれは今後の課題です。どうぞ気を長くしてお待ちください。
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タグ: Dream TheaterEL&PGenesisHakenKansasKarmakanicKing CrimsonMoon SafariMr.ChildrenNeal MorseOpethProcol HarumRushSpheric Universe ExperienceTransatlanticYes
関口竜太
東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。
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2020-07-27
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初めまして、あーさーと申しますGENESISを久々に聞いていて、レビューを調べていたらこちらに導かれました。16選が何とも自分好みでしたので、思わずコメントいたします。色々なグループの来日公演は見てきましたが、Transatlanticとニール・モースはいつまで待っても来てくれないですね、、
初心者でも分かりやすい丁寧な解説で、とても参考になります。まだ聞いていないグループもたくさんありましたので、これからも拝見いたします!
p.s.
こちらのページで、展覧会の絵の後にタルカスが発表されたという記述があるので気になったのですが、調べてみたらアルバムのリリース順としてはタルカスが先ですが、展覧会の絵の方が先に録音されていたのですね。初めて知りましたが、彼らの音楽性の変遷を考えると、しっくり来ました。