Magenta「Masters of Illusion」: ウェールズ発女性Voプログレの最新作!暗黒の世界を演じた名俳優たちの人生観に迫る!

こんにちは、ギタリストの関口です。

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本日はMagentaの2020年最新作をご紹介します。

Masters of Illusion / Magenta


Masters of Illusion -CD+DVD-

Magenta(マジェンタ)はイギリスのプログレッシブ・ロックバンド。

来歴


イギリス出身バンドの中でも珍しいウェールズで1999年に結成されたプログレッシブ・ロックバンド。

プロのソングライターとしてテレビ番組や映画に楽曲を提供していることで知られるピアニストRob Reedと、そのロブの活動の中で最も成功したと言われるバンドTrippaを動かしていた女性ボーカルChristina Boothを中心に活動を始めます。

Renaissance、Genesis、Mike Oldfield、Yes、Björkなどの影響からイギリスの伝統的な70年代プログレッシブ・ロックを基盤とした、麗しき女性ボーカルスタイルで2001年、1stアルバム『Revolutions』にてデビュー。

全5曲のうち20分前後の曲を4つも抱えた2枚組アルバムで、ギターには正式加入したChris Flyの他、Frost*やIQで知られるマルチプレイヤーAndy Edwardsも参加する力作となりました。他にはドラムのTim Robinsonが参加し2ndアルバム『Seven』までバンドを支えますが現在は脱退しています。

以降は基本2年以上のスパンを待たずにアルバムをリリースしていくこととなるMagenta。

コンセプト作品や大作傾向にある作風で、27歳で亡くなったミュージシャンたちを扱った9thアルバム『The Twenty Seven Club』や、3曲50分に及ぶ10th『We Are Legend』も話題となりました。

2019年には、2016年と2017年のファンイベントを贅沢に収録したライブアルバム『Acapela2016 & 2017』をリリースしています。

アルバム参加メンバー


  • Christina Booth – Vocal
  • Chris Fry – Guitar
  • Rob Reed – Keyboard, Guitar
  • Dan Nelson – Bass
  • Jon ‘Jiffy’ Griffiths – Drums

ゲストミュージシャン

  • John Mitchell – Vocal
  • Peter Jones – Saxophone
  • Troy Donockley – Uileann Pipes
  • Karla Powell – Oboe

楽曲紹介


  1. Bela
  2. A Gift From God
  3. Reach For the Moon
  4. Snow
  5. The Rose
  6. Masters of Illusion

コンセプトアルバムの覇者Magentaが、今回選んだのは有名なフランケンシュタイン映画やドラキュラ映画でその名を馳せた名俳優たち。

キーボーディスト・ロブの兄弟であり、作詞家でもあるSteve Reedのお気に入りホラーから選出された俳優をテーマに手がけた本作は、各名俳優たちの人間性や人生について掘り下げています。

オープニング曲となる#1「Bela」は、アルバム発表に際して先行でMVも配信された曲。タイトル通り伝説的なドラキュア俳優Lugosi Belaがテーマとなっていて、スリラーを思わせる映画的なシンフォニックのイントロから、変拍子で紡ぐヴァース、メロディックなリード楽器などMagentaの特性を生かしきったサウンドスケープです。

#2「A Gift From God」はロード・オブ・ザ・リングやスターウォーズシリーズでも人気を博したChristopher Leeがテーマ。Karla Powellの奏でるオーボエのイントロから、クリスティーナの美しい歌声が静かに響くバロック的シンフォニック曲。この透明な世界観はかつてミュージカルパフォーマーになりたいというリーの望みを反映したなんとも皮肉のバラード。

叙情的なテーマからメロウに展開していく#3「Reach For the Moon」。月を目指すということはすなわち成功への憧れであり、この大きなテーマに当てはめられたのはLon Chaney Jr。彼は4大ホラーのうちミイラ男、フランケンシュタイン、ドラキュラ、モンスターの全てをこなした俳優で、人生を地を這うモンスターに捧げた視点からこの曲を聴くとなんとも胸を締め付けられる切なさがあります。

曲はロブのピアノを基調にアコースティックギターやストリングス、管楽器で丁寧に紡がれたオーケストレーションが魅力。ゲストであるPeter JonesのサックスソロやGenesisライクなキーボードソロなどインストパートにも注目すべき一曲です。

#4「Snow」はIngrid Pittがテーマのジャズフリーな楽曲。ロブのピアノはQueen的なコードの刻みで曲をリード、バンドインするサビでは伸びやかなクリスティーナの声が疾走しつつも優しく響きます。ピットもまた、女性ながら数々のホラー作品に出演してきた名女優で、映画での恐ろしさとは裏腹なポップなメロディから女性らしさを感じます。

Peter Cushingをテーマにした#5「The Rose」。12弦ギターのきめ細かなアルペジオからメロウでふくよかなサビへと流れていきます。SAW系リードのオブリやシンフォニーを表現したギターのハーモナイズ、そこからハモンドオルガン、シンセリード、サックスとの掛け合いによるインストパートに打ち込んだりと、音色と演奏両面で意思の高さを思わせるプログレッシブ曲です。

ラストとなる#6「Masters of Illusion」。16分半に及ぶ大作での締めくくりとなりますが、この曲の題材に選ばれたのはVincent Price。彼が経験に基づいた人生の哀歌であるこの曲は、長さだけではなく実に映画的であり視覚的であり、そしてもちろん音楽的にプログレと呼べる数々のアプローチに溢れています。

序盤からエモーショナルに飛ばすクリスティーナの歌。そこからハモンドの刻み、3連を意識したGenesis系シンセリード、叙情的なクリスのギターソロというインストパートへ。4:30〜はあの「Roundabout」をオマージュしながら別の進行へシフトしていく様子に思わずニヤリとしてしまいます。

Transatlanticにも近い曲の雰囲気と構成で壮大に駆け抜けるこの曲のラストは、ボーカルも加えたバンドアンサンブルのキメにて堂々のクロージングを迎えて終幕します。

コンセプト作でありながらシングル的な手のつけやすさも健在なのはさすが。それでいて大作志向な趣もMagentaらしさいっぱいで安心感のある作品です。

関口竜太

東京都出身。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロギタリスト山口和也氏に師事。ロックやメタルに加え、ブルース、ファンク、ジャズなど幅広い演奏や音楽理論を学ぶ。 プログレッシブロック/メタルの大ファン。自身が企画するプログレッシブ・ロックプロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。

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