V.A「MAGICAMI Original Soundtrack」: 前代未聞、ファンに望まれたソシャゲのサントラ!King Crimsonモチーフによる強烈なジャケットにも注目!
by 関口竜太 · 2020-07-10
こんにちは、ギタリストの関口です。
本日は先日届いたこちらのサントラをご紹介します。
MAGICAMI Original Soundtrack / MGCM
株式会社 Studio MGCM(エム・ジー・シー・エム)は日本のゲーム運営会社。
前代未聞、ファンに望まれたソシャゲのサントラ
この特異なアルバムを一体どう解説しようか僕自身悩んだのですが、いつもの形式に当てはめながら順を追っていこうと思います。
2019年の6月26日にStudio MGCMが制作、DMM GAMESからサービスが開始したブラウザゲーム「マジカミ」。
ギャルゲーというジャンルながら制作費や宣伝費に12億円を費やしたという触れ込みでネット広告のバナーでもよく目にしますね。
魔法少女という媒体をテーマにしながら、アーバンポップなセンスと「まどマギ」「シュタインズゲート」「ペルソナ」などミステリアスで荒廃的な世界観のストーリーが同居した本格的なRPGソーシャルゲームである本作。
根本的なところに18禁要素も織り込んでいるためそのゲーム性とブラウザ限定という扱いにくさ故、多額の宣伝費とは裏腹にニッチな立場を強いられてきたのかもしれませんが、先月6月11日に待望のスマートフォン向けアプリ版(健全版)がリリース。
僕はスマホゲームにそこまで詳しいわけではないですが所謂「プリコネ」「グラブル」「デレマス」「FGO」などと言った人気ゲームに名を連ねる形で現在話題沸騰中となっています。
このゲームのゲーム外の特徴の一つに、運営側がユーザーに大盤振る舞いをするというものがありまして、ジュエル(ゲーム内でガチャなど行うための通貨となる課金要素)の配布やユーザーを巻き込んでのコンテスト、それに伴った賞金や景品などの賞与に抜かりがないというのが挙げられます。
YouTubeやニコニコ動画の生放送を利用して、その大盤振る舞いをプロデューサー自ら発信するというのもソシャゲではなかなか見られない光景かもしれません(他のサービスがどんな運営をしているのか不明ではありますが…)。
何はともあれそんなキャンペーンのうち、本ゲームアプリの事前登録者数に応じてまたユーザーへの「感謝バック」があったのですがそのうちの一つが本作『MAGICAMI Original Soundtrack』の制作。
生放送で発表され直後に500枚限定で販売されたのですが、翌日には完売してしまい買えないファンが続出…という事態を受け、その後完全受注生産というラストチャンスをもって概ね行き渡ったという現状です。
僕がこのアルバムをまとめようか否か迷ったのはそこで、現状すでに手に入らないんですよね。
再販の目処も立っていないのですが、あくまでゲームのサントラ。なのですが、プログレッシブ・ロックをメインに扱う本ブログにおいてこのKing Crimsonをパロディしたジャケットに変な使命感が沸いたのと、情報として残しておくのもブロガーの勤めかなということで本日ご紹介させていただきました。
すでにダウンロード配信されているGANG PARADEによるゲームOPと挿入歌の他、それも込みで音楽プロデュースにはクリエイターチームSCRAMBLESが担当。非常に幅広いジャンルを網羅しつつハイクオリティな楽曲が揃っています。
クレジット
- GANG PARADE (メンバーは別記事に記載) on #1,13,19,25
- SCRAMBLES – All Musics
楽曲紹介
- 本当に僕が生きたかったのはこんなんじゃ無え!
- White Room
- ダラカラッ
- CAUTION!
- Look at me!
- BUMP
- SUPER GALACTICA MAGIC
- Popcorn pops like a rebellion
- like Baskin-Robbins more than Häagen-Dazs
- Frisky
- That’s silly
- Are you ready?
- fxxk your disco
- So excited!
- Just curious!
- Nervous
- The worl is weird
- UMD
- 体emotion
- Bummer
- Black despair
- the Long and Slow Darkness
- Punishment
- 女の子を守るもんなんだよ!
- Daylight
- Sabbathhhh
- Yabbathhhh
- All I need is you
- 本当に僕が生きたかったのはこんなんじゃ無え! (Inst Version)
- fxxk your disco (Inst Version)
- 体emotion (Inst Version)
- Daylight (Inst Version)
#1「本当に僕が生きたかったのはこんなんじゃ無え!」、#13「fxxk your disco」、#19「体emotion」、#25「Daylight」に関しては先に述べたGANG PARADEによるゲームのオープニング曲とゲーム内挿入歌。
これについては別記事に書いてありますのでそちらを参考にしていただければと思います。
GANG PARADE「THE MUSIC AND THE GAME CREATES MAGIC」: 21世紀のアバンギャルドアイドルグループ、ゲームとリンクした配信型EPが傑作!
他はサントラらしく基本1分半程度のゲーム内BGMが並びますが、戦闘ゲームのため中にはロック/メタルな楽曲も多く含まれています。
メニュー画面での#4「CAUTION!」やクエスト画面での#12「Are you ready?」などはその典型。#22「the Long and Slow Darkness」や#27「Yabbathhhh」といったシリアスシーンや敗北シーンで見られるダークなメタル曲もあり、半音移調による緊張感などはしっかりとセオリーに則った造りです。
他にはライトロックな#6「BUMP」、#1をサビだけループさせた#7「SUPER GALACTICA MAGIC」、クエストクリアの象徴であるファンキーな#14「So excited!」、ピアノ/シンセサイザーとロックな3/3/2の刻みが特徴的な#24「女の子を守るもんなんだよ!」、対人要素のサバトで勝利した際などに流れる#26「Sabbathhhh」などフックの効いた楽曲も並びます。
プログレ視点ではシリアスなシーンにおけるピアノ曲の#16「Nervous」、機械音で実験的なアンビエントを醸す#17「The worl is weird」や#23「Punishment」、さらにキーがスイッチするミステリアスな#18「UMD」など楽曲を担当したSCRAMBLESのクリエイティビティが溢れる場面も多々。
そしてジャジーな雰囲気のピアノ曲#28「All I need is you」は一際異彩を放ちます。こちらは所謂「ご褒美シーン」での曲なのでアプリ版の方はどうぞPC版でプレイしてみてください。
まぁそんな感じでとにかくボリューミーな本作。ソシャゲのサントラってそもそも出ないケースがほとんどだと思うので、このゲームの注目度やユーザーの積極性が伺えますね。
個人的にはOP曲と挿入歌のインストバージョンが収録されていたのがありがたく、聴き取れなかったギターのフレーズなどもこれで一発です。メルカリやヤフオクなどでもすでに出回っているようですが、高額で取引されていたりそれでも売り切れていたりするので再販を望みながら買う際はどうぞ慎重に。
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関口竜太
東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。
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