Haken「Vector」: 感染が拡大し続ける英プログレメタル注目の5th。最新作を直前に控えた予習すべきマスト盤!

こんにちは、ギタリストの関口です。

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本日はHakenのVectorをご紹介します。

Vector / Haken


Vector

Haken(ヘイケン)はイギリスのプログレッシブ・メタルバンド。

来歴


2007年のロンドン、マルチプレイヤーであるRichard Henshall、ギタリストMatthew Marshall、ボーカルRoss Jenningsの3人によってHakenは結成されました。

バンドの本格始動時には、メンバーにドラムRaymond Hearne、ベースThomas MacLean、キーボードPeter Jonesが加入。このトーマスとギターのリチャードは以前よりTo-Meraというプログレメタルバンド結成していた間柄。

精力的なライブ活動を行い2008年にはデモ作品『Enter the 5th Dimension』を発表。同時にオリジナルメンバーであるギタリストのマーシャルとキーボーディストジョーンズが脱退してしまいますが、後任にギタリストのCharlie GriffithsとキーボーディストDiego Tejeidaが新加入することで危機を脱します。

この6人に目を付けたアメリカSensory Recordsによって2010年、デビューアルバム『Aquarius』と2011年の2ndアルバム『Visions』がそれぞれリリース。

その後Sensoryを離れた6人は新たに名門Inside Out Recordsと契約し、2013年9月に3rdアルバム『The Mountain』をリリースします。

70年代UKの伝統的なプログレのエッセンスとDream TheaterやMetallicaなど息の荒いヘヴィメタルサウンドを展開し人気を勝ち取る一方、この作品を最後に6年在籍したベーシストのマックレーンが脱退、新たにConner Greenが加入をしています。

2016年、4thアルバム『Affinity』において初めて日本盤デビュー。AI(人工知能)や機械と人間との関係をそれぞれの世界観で描いたコンセプト作で随所にUKの香りとDream Theaterリスペクトの背景を散りばめた傑作となりました。

本作『Vector』はそれから2年後の2018年にリリースされた5thアルバム。前作までの完成度を引き継ぎつつも、最新作『Virus』のリリースを間近に控えその序章とも言うべき内容になっています。

アルバム参加メンバー


  • Ross Jennings – Vocal
  • Charlie Griffiths – Guitar
  • Richard Henshall – Guitar
  • Diego Tejeida – Keyboard
  • Conner Green – Bass
  • Raymond Hearne – Drums

その他参加ミュージシャン

  • Miguel Gorodi – Flugelhorn on #2, #6
  • Peter Jones – Drum programming
  • Pete Rinaldi – Guitar on #4, #6

楽曲紹介


  1. Clear
  2. The Good Doctor
  3. Puzzle Box
  4. Veil
  5. Nil By Mouth
  6. Host
  7. A Cell Divides

全体を通しても7曲46分というのは異例のコンパクトさで、70年代のまだレコードで出回っていたようなアルバムの形態。曲も#1〜4と#5〜7という風にA面とB面を意識していなくもない雰囲気が読み取れます。

#1「Clear」はシンセサイザーを使用したノイジーなイントロ。怪しげで緊張感のある空気が#2「The Good Doctor」への助走となっています。

そんな#2はギターのシーケンスや打ち込みのドラムがなかなかにクールなメタルナンバー。ところどころに病院を思わせるSEが使用されていたり、半音でぶつけるギターリフに不安な心情をリンクさせたりとギミックが細かい一曲。長尺が苦手なプログレ初心者の人にも聴きやすいコンパクトさはもちろん、ボーカルのRoss Jenningsは本作でも絶好調ですね!

ヘヴィなブラストのキメによって一気にHakenワールドへ誘い込む#3「Puzzle Box」。ミドルトーンに抜ける伸びやかなサビと特有のコーラスがとにかく彼ららしいシンボル。ある意味でDream Theaterよりもアスリートな演奏やUKプログレらしいデジタルノイズのインターバルなど詰め込まれた情報量を処理していくだけでも多幸感ある一曲。

12分超えで唯一の長尺曲となる#4「Veil」。ゲストには前作のラストでもアコースティックギターを披露してくれたオーストラリアのギタリストPete Rinaldiを迎え、ドラマ性に富んだプログレッシブ・メタルを展開。荒々しいギターリフに神秘的なタッチのキーボード、それらによる息を飲むほどのユニゾンや、後期Pink Floydのような叙情型のギターソロなどとにかく素晴らしいの一言

デジタルシーケンスから超絶ヘヴィなリフへと展開する#5「Nil By Mouth」。このドラムのプログラミングが顕著な本作ですが、担当しているのはイギリスのマルチミュージシャンPeter Jones。インストであるこの曲はDream Theaterからの影響をもろに感じさせつつそんなデジタルで耳を引くプログレメタルのトイボックス。

#6「Host」は本作におけるバラード枠。再び登場のピートに加え、ジャズトランペット奏者であるMiguel Gorodiも参加。Opethを彷彿とさせる陰鬱でダイナミクスに溢れる雰囲気で冷たく重い空気にゲスト二人の存在感が発揮されています。

ラストナンバーとなる#7「A Cell Divides」。近年のDjentにも引けを取らないヘヴィで歯切れのいいリフ。変拍子で奏でるクリーンのアルペジオ上でも平気で歌い切るロスの底知れぬポテンシャルを感じる一曲です。タイトな前半とシンセストリングスからのスローテンポな後半まで、6分間の中にも表情豊かなドラマ性を見せてくれます。最後は擦り切れたテープから流れるような不安げなギターとナレーションのSEでアルバムを締めています。

本作の含みを持たせた終わり方は、同時に制作していた6thアルバム『Virus』へと持ち越されます。事実、「Vector」は感染症の媒介者のことですしね。本作のクレジットには最後に「Keep Spreading the Virus(ウイルスを拡散し続ける)」と書かれており、これからリリースされる『Virus』にて、明確に本編へと突入していきます。

 

関口竜太

東京都出身。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロギタリスト山口和也氏に師事。ロックやメタルに加え、ブルース、ファンク、ジャズなど幅広い演奏や音楽理論を学ぶ。 プログレッシブロック/メタルの大ファン。自身が企画するプログレッシブ・ロックプロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。

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