Dizzy Mizz Lizzy「Alter Echo」: あの”ポートノイ”がフェイバリットに選んだデンマーク産オルタナハードの最新作!耳にこびりつくメロディックさと大作組曲の超力作!

こんにちは、ギタリストの関口です。

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本日はDizzy Mizz Lizzyの最新作ご紹介します。

Alter Echo/ Dizzy Mizz Lizzy


Alter Echo

Dizzy Mizz Lizzy(ディジー・ミズ・リジー)はデンマークのオルタナティブ・ハードロック・バンド。

来歴


デンマークの首都コペンハーゲンで1988年に結成されたDizzy Mizz Lizzy

ギターボーカルのTim Christensenを中心にベーシストMartin NielsenとドラマーSøren Friisからなる3ピースバンドです。

結成から5年後の1993年。デンマークのロックバンドDM I Rockが主催するコンテストに優勝し、そこで得た賞金で4曲入りのデモトラックを作成。なお、バンドは前年度も出場していますがその時は準決勝での敗北でした。

出来上がったデモトラックがラジオで頻繁に流れたことで注目を浴びると、翌1994年にはバンドタイトルの『Dizzy Mizz Lizzy』でデビューを果たします。

1990年代初期のNirvanaやPearl Jamといったグランジ/オルタナティブ・ロックブームの流れにも乗り、アルバムはデンマーク国内で22万枚のセールスを記録。この記録がデンマークでどれほどの価値かは定かではありませんが、当時のMetallicaを押さえ込んだというのですからかなりパワーがあったことと察します。

1996年には2ndアルバム『Rotator』を発表しますが、多忙なスケジュールに疲れを見せたバンドは充電期間と称し1年間休んだあと、結局1998年に解散

ティムがソロ活動など動きを見せる中、2006年にはトリビュート・コンサートのため一夜限りの復活を果たしたり、2010年にもデンマークや日本でライブツアーを行うため再結成をします。が、いずれもコンサート/ツアーが終了するたび解散しています。

流れが変わったのは2015年。

年明けにシングル「I Would If I Could But I Can’t」をリリースしその年のLOUD PARK 15に出演したことで、翌2016年には待望の3rdアルバム『Forward In Reverse』をリリース。

ティムは「過去のように多忙なスケジュールに振り回されることなく、ソロ活動とも並行し無理なく活動できるよう決めた」と話しており、20年近い期間は彼らにとって必要な時間であったことを物語っています。

本作『Alter Echo』は前作から4年ぶりとなる4thアルバム。元Dream Theaterで現在はThe Neal Morse BandやSons Of Apolloで活躍するドラマーMike Portnoyが早くも2020年のフェイバリットに選ぶほど話題の新作です!

アルバム参加メンバー


  • Tim Christensen – Guitar, Vocal
  • Martin Nielsen – Bass
  • Søren Friis – Drums

楽曲紹介


  1. The Ricochet
  2. In the Blood
  3. Boy Doom
  4. The Middle
  5. California Rain
  6. Amelia – Part 1: Nothing They Do They Do for You
  7. Amelia – Part 2: The Path of Least Existence
  8. Amelia – Part 3: Lights out
  9. Amelia – Part 4: All Saints Are Sinners
  10. Amelia – Part 5: Alter Echo

オルタナティブ・ハードロックという体でありながら、哀愁を感じさせるメロディや変拍子でプログレッシブ・ロックとしての側面も持ち合わせているのが本バンドの特徴。

#1「The Ricochet」のフェードインするイントロに誘われバンドインしていく#2「In the Blood」。重厚感のあるリフ、パワフルで芯の真っ直ぐなドラムはメタルファンにも受け入れやすいサウンドで、これを3ピースでやっているのだから驚き。

そこへこれまたクリアなティムのボーカルが入ってくるのですが、溢れでるカリスマ性、リフに追従するかのようなヴァースのメロディもプログレッシブな流れがあり非常に好印象です。

続く#3「Boy Doom」も#2の流れを汲むヘヴィナンバー。ファジーに歪んだボーカルとパーカッシブな上物のきらびやかさとのコントラストが見事なサビに聞き応えを感じる一曲です。

アルバム発表に際し、先行で公開された#5「California Rain」という曲があったのですが、これがタイトルとは裏腹にアクティブに攻めるグランジナンバーだったため、個人的印象としてはその前に収録された#4「The Middle」こそが本来の「California Rain」なのではと思わせてくれる節がありました。

イントロから湿っぽいギターのアルペジオ、重く地を這うベースと霧のように上空を覆うシンセサイザーとの帯域の棲み分けがまさに雨の日のそれです。切ないグロッケンとティムのファルセットが狂おしいほど憂鬱に響くバラードで、インターバルにおけるアコギからのギターソロもエモーショナルな逸品。歌詞の「I’m in the middle」も「雨のミドル」と聴こえるのもポイント高め。

そしてそんな雰囲気を一瞬で壊しにかかるヘヴィチューン#5「California Rain」でアルバムの前半を締めくくっています。聴いた感触はヘヴィながら、この曲も隠し味にアコギを混ぜていますね。

後半、そしてラストに待ち構えるのは#6-10まで5パート23分に及ぶ組曲「Amelia」

アルペジオやメロトロンを主体にしたアンビエントの#6「Part 1: Nothing They Do They Do for You」から、一転してヘヴィなリフへと変貌する#7「Part 2: The Path of Least Existence」。こちらでは変拍子やワウを使ったギターソロなどエクストリームな一面と、2:56〜から見せる壮大なテーマとの絡みが最高です。

再びアコースティックパートへ移る#8「Part 3: Lights out」。3連を基調にマイナーワルツもの切ない雰囲気と伸びやかなボーカルで聴かせる4分間。

#9「Part 4: All Saints Are Sinners」ではここまで溜め込んだ感情がバースト。テーマのリプライズをかき鳴らされるギターを主体に感情の限り訴えてきます。

アルバムタイトルにもなった最終パート#10「Part 5: Alter Echo」。Pink Floyd的な空間エフェクトのエレキとアコースティックギターによるアルペジオ、パート1へ帰還していくような幽玄なアンビエントで最後は静かに締めています。

あくまでプログレではなくオルタナやグランジをルーツに持つバンドのスタイルですが、変にオルタナぶったプログレバンド作品よりこちらの方がよほどプログレッシブ。ポートノイがハマるのにも納得の一枚です!

関口竜太

東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。

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