Lufeh Batera「Luggage Falling Down」: ブラジル+アメリカの融合!高いポテンシャルを持つベテランドラマー渾身のプログレメタル作品!
by 関口竜太 · 2020-06-05
こんにちは、ギタリストの関口です。
本日はLufeh Bateraの最新作をご紹介します。
Luggage Falling Down / Lufeh Batera
Lufeh Batera(ルーフェ・バテラ)はブラジル及びアメリカのミュージシャン、ドラマー。
来歴
ブラジル出身のLufeh Bateraは1972年生まれ、現在48歳のベテランドラマー。
RushのNeil Peartなどから影響を受けドラムを始めると、これまでにOficina G3を初めブラジルの有名なバンドやアーティストのサポートに就くなどキャリアを積んでいきます。
2008年には初のソロアルバム『Drummer in Classics』をリリース。2014年、単身アメリカへ移り住むと、フロリダを拠点にKristo ReggaeやBig Pine Bansとの共演を果たします。
2016年にはラスベガスで行われたBlue Man主催のGroup Drum Offというドラマーコンテストで決勝にも出場。そこではベスト5に選ばれることとなります。
この2020年からはロスを中心に活動。近年ではYouTubeを通じてドラムのセミナーやレッスン動画を配信、SNSの活動も活発でフォロワーも多いほか、ディマジオのエンドーサーとして知られるロックミュージシャンKenny Shipmanの専属ドラマーとしても活躍しています。
本作『Luggage Falling Down』はそんな彼のルーツである祖国ブラジルと、RushやDream Theaterなどのプログレッシブなロック/メタルを主軸にした音楽性に立ち返り、Oficina G3のベーシストDuca Tambascoを初めとするフレンドシップなミュージシャンを中心に制作されました。
アルバム参加メンバー
- Lufeh Batera – Drums
- Dennis Atlas – Vocal
- Teo Dornellas – Guitar
- Duca Tambasco – Bass
- Gera Penna – Keyboard
楽曲紹介
- Find My Way
- The Unknown
- Doors
- Trial Of Escapade
- My World
- End Of The Road
- Escape
- The Edge
タイトルである『Luggage Falling Down』から察するに多忙なサポート業やアメリカでの生活から一旦荷を降ろしたというところがコンセプトでしょうか。自身の好きなプログレメタルに没頭しています。
オープニング曲#1「Find My Way」から疾走感溢れるメタルを展開。冒頭のダークな雰囲気や間奏での変拍子を絡めたキーボードリフなど典型的なDT系。ボーカルのDennis Atlasはアメリカで活動するプログレ系パフォーマーで、若干のB級感はあるもののメロディアスな楽曲に引っ張られ聴きやすく仕上がっています。
#2「The Unknown」のイントロでは歯切れのいいロックリフに70年代のテクニカルなキーボードをプラスしたようなプログレナンバー。3分半の中にテンポチェンジや展開をこれでもかというくらい詰め込んでいます。
メロディックなナンバー#3「Doors」。リードボーカルのカウンターに入るコーラスはMike Portnoy感たっぷり。そういう意味では90年代的である本作に2000年以降の風も感じられますね。
独特なタムロールから変拍子のイントロを織りなす#4「Trial Of Escapade」。存在感のあるベースに、空間系エフェクトのギターとエレピがオシャレなスパイスとなる良曲。
2:14〜はギターソロなのですが、本作で参加しているTeo Dornellasはブラジルで幅広い音楽をカヴァーする凄腕プレイヤー。非常に滑らかでインテリジェンス溢れるテクニカルなフレーズは世界的に見てももっと注目されていい存在です。
#5「My World」は繊細なバラードの様式を取りながらどことなくオリエンタルな雰囲気も漂う一曲。独特なコード進行に並走するヘヴィなギターや自由すぎるピアノ、テンポチェンジにベースソロ…とバラードにしては落ち着きない感じもしますが、中だるみしないテンポ感はドラマー主体の作品ならではでしょうか。
ファンキーなギターカッティングとフュージョンを思わすキーボードが印象的な#6「End Of The Road」。ルーツは確かにRush、Dream Theater系列かも知れませんが作曲の発想はMattias IA EklundhやFrank Zappaに近いかも。この突拍子のなさはまさにプログレという他なく、かつメロディックなボーカルパートも考慮した上で4分台にまとめているのだから超絶感が出て当然ですね。
アメリカン・ハードロックな#7「Escape」。ExtremeやRichie Kotzenのようなファンクな16分のノリとシャッフルビートを混ぜた変則的なリズムは、ジャンルの提示こそしっかりされつつもそこに奇妙な空気を生み出しています。
ラストとなる#8「The Edge」。ヘヴィかつバリバリとしたギターリフは近年のDjentの流れも汲んでいて非常にかっこいいです。そこに絡むキーボードやパワフルなドラムも新旧のプログレの融合と言った具合でこれを整えていけば、また世にすごい音楽が生まれるんじゃないかと予期させてくれます。
アルバム全体を見ても曲は短めで、そこへ展開を多く設けているのでいささかまとまりに欠ける印象。しかしながらルーフェのやりたいようにやるのが本作のコンセプトですので、いい意味で年齢相応じゃない若々しい音楽性を堪能できますし、王道のフリしてかなり実験的な部類ですので、スリルある音楽をお求めの方は是非どうぞ!
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関口竜太
東京都出身。 14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロギタリスト山口和也氏に師事。ロックやメタルに加え、ブルース、ファンク、ジャズなど幅広い演奏や音楽理論を学ぶ。 プログレッシブロック/メタルの大ファン。自身が企画するプログレッシブ・ロックプロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。
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関口竜太
東京都出身。 14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロギタリスト山口和也氏に師事。ロックやメタルに加え、ブルース、ファンク、ジャズなど幅広い演奏や音楽理論を学ぶ。 プログレッシブロック/メタルの大ファン。自身が企画するプログレッシブ・ロックプロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。