Caligula’s Horse「Rise Radiant」: 大都市から帰化しそうな自然溢れるDjent!新体制での豪州プログレメタル最新作が話題必須!

こんにちは、ギタリストの関口です。

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本日はの2020年最新作をご紹介していきます!

Rise Radiant / Caligula’s Horse


Rise Radiant (Bonus Tracks Version)

Caligula’s Horse(カリギュラス・ホース)はオーストラリアのプログレッシブ・メタルバンド。

来歴


オーストラリアの東海岸沿い、先住民アボリジニーで有名な街ゴールドコーストから北西に行ったところに位置している街、ブリズベン。

この街で2011年、ボーカルJim GreyとギタリストSam Vallenによって結成されたのがCaligula’s Horse。当初メンバーはこの二人のみで、サムがギターの他ベースやドラムを演奏することで音源制作を中心とした活動を行なっていました。

結成からわずか数ヶ月、制作活動の結晶『Moments from Ephemeral City』をリリースしデビュー。その際二人の他に、初期メンバーとなるベースDave Couper、ギターGeoff Irish、ドラムZac Greensillの三人が招集されここCaligula’s Horseは5人体制となります。

彼らの音楽性はMeshuggahやPeripheryなど現代的なDjentのサウンドメイクを基盤としつつも、Devin Townsend、Porcupine Tree、Frost*といったメロディアスなプログレの様式Karnivool、Pain Of Salvationなどのゴシックなエッセンスも取り入れて発展していきます。

2013年には『The Tide, The Thief & River’s End』、2015年に『Bloom』、2017年『In Contact』とコンスタントにアルバムをリリース。タイトな刻みとダイナミクス溢れる曲展開、それでいて”歌える”仕様の楽曲は国内でも大きな人気となっていきます。

3rdアルバムリリース後の2017年、デビューに際し加入したデイヴ、ジョフ、ザックの3人が脱退。新たにAdrian GolebyDale PrinsseJosh Griffinを迎えさらなる音楽の成長期を迎えています。

本作『Rise Radiant』はこれまで2年周期で来た彼らにとって新体制による3年ぶりのニューアルバムとなります。

アルバム参加メンバー


  •  Jim Grey – Vocal
  • Sam Vallen – Lead guitar, Vocal
  • Adrian Goleby – Guita
  • Dale Prinsse – Bass, Vocal
  • Josh Griffin – Drums

その他参加ミュージシャン

  • Lynsey Ward – Keyboard, Vocal

楽曲紹介


  1. The Tempest
  2. Slow Violence
  3. Salt
  4. Resonate
  5. Oceanrise
  6. Valkyrie
  7. Autumn
  8. The Ascent
  9. Don’t Give Up (Peter Gabriel Cover) (Bonus Track)
  10. Message To My Girl (Split Enz Cover) (Bonus Track)

今回、キーボードにはイギリスのプログレッシブ・ロックバンドExploring Birdsongで中核を担うLynsey Wardが全編で参加。重くなりがちなツインギターに彩りを添えています。

#1「The Tempest」は本作のアナウンスと同時に発表されたリードナンバー。

新体制による心機一転作ですが、彼ららしいタイトな刻みと霧のように高音域を埋めるシンセサイザー、荒涼で煌びやかなクリーンギターのアルペジオなど、完成されたカリギュラス・サウンドが今一度蘇ってきます。

こちらも先行配信が叶ったナンバー、#2「Slow Violence」。メロウで叙情的な側面を押し出した曲で、オルタナティブ・メタルを思わせるヴァースにシンコペーションで複雑に聴かせるリフが特徴的。

サビはコード感たっぷりにジムのファルセットが切なく響きます。ノルウェーのCircus Maximusを彷彿とさせ、ボドムの効いたリフからギターソロまで無駄のない展開でコンパクトに仕上げています。

#3「Salt」はスピード感溢れるリードギター、さらに続く強烈な刻みのイントロを有しながら、ヴァースではそのテンションを一気に落としサビに向けてエネルギーを充電するダイナミクスさが特徴。

この曲がもたらす幽玄な雰囲気はノルウェーで同期として活躍するLeprousのエッセンスも感じます。中盤に置けるアルペジオとウィスパー的ボーカル、TPOを弁えたインテリジェンスなソロは本作でも必聴すべきシーン。

Steven Wilsonからの影響を感じる#4「Resonate 」はシンプルな構成を持つエレクトリカルなバラード。

その余韻から爆発的に開花させた#5「Oceanrise」は相変わらずコード感あるタイトな刻みにオクターブ奏法を用いたメロディの提示はお手の物。3:24〜のサムによる流暢で粒立ちのいいギターソロはJohn Petrucciを彷彿とさせますね。

リリース直前になって先行で公開された#6「Valkyrie」は、イントロからまさにDjent成分満載のメタルナンバー。

プログレッシブ・メタルの中ではメタルにパラメータを割いている本バンドですが、単にゴシックなもので固めず、サビのボーカルやキーボードでしっかりと叙情性に富んだメロディラインを展開。終始タイトに決めつつもアクセシブルに拘っている点は、他のDjentバンドにない個性です。

7分を超える#7「Autumn」は70年代のトラッド・フォークに中期Opethの要素を含んだ大作バラード。本作でも随一のアコースティックなアプローチを聴くことができます。

比較的コンパクトな作品形態でも10分を超すエピック#8「The Ascent」。本編はこの曲がラストナンバーとなります。イントロからメタリックに飛ばしボーカルの入りに際してトーンをグッと落とす基本的な構成は変わらず。この曲ではさらに中盤で#7の流れを汲むユーロプログレのフォークパートも入れ、彼らの音楽性を損なうことなく大作へと発展させています。

ボーナストラックとなる#9「Don’t Give Up」#10「Message To My Girl」はそれぞれPeter Gabrielとニュージーランドで活躍したバンドSplit Enzのカヴァー。

いずれも80年代における名曲ですが、ちゃんとCaligula’s Horse流に消化しています。#9の女性ボーカルはキーボードを担当したLynsey Wardです。

関口竜太

東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。

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