Eric Gillette「The Great Unknown」: John Petrucci好きなら知らないとヤバイ!21世紀のプログレメタルを支えるアカデミックギタリストの2ndアルバム!

こんにちは、ギタリストの関口です。

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僕の好きなギタリストの一人にEric Gilletteがいますが、以前彼についての記事を書いた際にそこで”ついでに”紹介してしまったアルバムを本日は紐解いていこうかなと思います。

The Great Unknown / Eric Gillette


The Great Unknown

Eric Gillette(エリック・ジレット)はアメリカのミュージシャン、ギタリスト及びマルチインストゥルメンタリスト。

来歴


アメリカで生まれ育ったEric Gilletteが初めてギターに触れたのは12歳の頃。

それ以前に4歳からピアノを習い音楽に親しんでいたため、彼のルーツであるSteve Vai、Joe Satoriani、John Petrucci、Eric Johnson、そしてMetallicaなどに触発されギターに関心を持つこともごく自然な流れだったことでしょう。

高校卒業後エリックは音楽大学へ進学。そこで音楽に対するビジネスとレコーディングの技術を学び卒業後にはプロとしてそのキャリアをスタートさせます。

ギターやボーカルだけでなくキーボードやドラムなど多くの楽器演奏が可能で、オーケストレーションにも精通する彼は、近年ではドラムの教則DVDのリリース、オンラインDTMレッスンなどプロ志向ミュージシャンの育成にも当たっています。

そんなマルチな才能を買われてか、2012年にはアメリカのミュージシャンNeal Morseのツアーサポートギタリストとして合格。ニールのアルバム『Momentum』においてギターやコーラスを担当しその後ツアーにも参加することとなります。

そして2014年、ニールが正式に立ち上げたThe Neal Morse Bandのボーカル兼リードギタリストに就任。同じくNMBのMike Portnoyが主催するDream TheaterのセルフカバーイベントMike Portnoy’s Shuttered Fortlessにも参加し、今のプログレッシブ・メタル界を支えるホープとなっています。

なおプライベートでは2018年に結婚、翌年には子どもを授かっています。

自身のソロ活動では2013年にプログレメタルインスト作『Afterthought』をリリース。

本作『The Great Unknown』は、2016年にリリースされたボーカルプログレメタル作品で、先のNMBでの経験を活かしたメロディアスかつテクニカルな音楽性が魅力的です。

ベース、キーボードにはそれぞれイギリスのプログレッシブ・メタルバンドHakenのConner GreenDiego Tejeida、ドラムにはJohn WettonやPaul Gilbertの作品に参加し現在はアメリカのプログレッシブ・メタルバンドArch / Matheosでも活躍を見せるThomas Langが担当しています。

アルバム参加メンバー


  • Eric Gillette – Guitar, Vocal
  • Thomas Lang – Drums
  • Conner Green – Bass
  • Diego Tejeida – Keyboard

楽曲紹介


  1. The Great Unknown
  2. The Aftermath
  3. Escape
  4. Damage Is Done
  5. Empty
  6. Runaway
  7. All I Am

#1「The Great Unknown」はまさにプログレッシブ・メタルアンセムとして手堅いオープニング曲。Dream TheaterのJohn PetrucciモデルであるJP7をメイン機として使用するエリックの、まさにアイコン通りの楽曲となっています。メタルながら爽やかさも感じるボーカルと安定感抜群のアンサンブルで同ジャンルのスタンダードタイプとなります。

#2「The Aftermath」は7拍子のオープニングからエレピのシーケンスとタイトなメタルリフのイントロが印象的。リフ上でのヴァースからメロウなサビとの噛み合いが見事な一曲で、3:05〜はキーボードとギターによるキメキメのプログレパートもあったりして曲の緩流と急流がうまくコントロールされています。

アルバム全体を見渡した時、この位置にセットされることは珍しい18分の大作#3「Escape」。エリックの、メタルとは違うもう一方の側面としてのニューエイジやシンフォニックさを打ち出したプログレエピックで、雰囲気的には80〜90年代初期を思わすラインやプログレ特有のアンニュイさも含んでいます。

Dream Theater的なインストパートももちろん用意されており、9:40〜はキーボードとギターの掛け合いソロも。ここで惹かれるDiego Tejeidaの音色はリードシンセに歪みのエフェクターをかませDerek Sherinian風になっていますね。

ボーカルスタートでドラマティックな立ち上がりを見せる#4「Damage Is Done」。#2同様、主にタイトで緊張感の高いヴァースと伸びやかにテーマを歌うサビとに分かれています。

#5「Empty」はピアノとストリングスのシンフォニーを基調としたバラード。最終的にはロックに収束していくものの、2020年に本格的なクラシカルアルバムのリリースしたエリックのオーケストレーションを少しばかり堪能できる曲となっています。

Genesis的なシンセリードから幕を開ける#6「Runaway」。9分という長尺曲でメロウなギターのテーマと丁寧に作り込まれたボーカルパートが特徴のプロジーな一曲です。5:09〜のシンセとギターによるユニゾンパートはNeal Morseからの影響が伺えますね。

そしてラストソングとなる8分の大作#7「All I Am」。タイトルからDream Theaterの「As I Am」を潜入的に持ってしまいますが、実際はあまり多くのテーマを設けずエリックの特徴であるメロディックさとシンフォニックさを存分に活かした壮大な楽曲。ラストはゆったりとしたクロージングの中フェードアウトして終幕しています。

関口竜太

東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。

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