Jason Kui「Naka」: これからのギタリストは知ってて当然!香港のマルチ型プレイヤー”クイ”の最新作がぶっ飛びすぎ!

こんにちは、ギタリストの関口です。

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本日はギタリストJason Kuiの2020年最新作をご紹介します!

Naka / Jason Kui


Naka

Jason Kui(ジェイソン・クイ)は中国・香港のミュージシャン及びギタリスト。

来歴


香港を拠点として活動するJason Kuiはアジアで今最も輝かしいギタリストの一人です。

10代のころにEdward Van Halen、John Petrucci、Andy Timmonsなどに触発された彼はそこから得たインスピレーションを武器にいつしか自身でもインストゥルメンタル楽曲を制作していきます。

23歳の頃、サポートギタリストとしてプロの道を歩んでからは香港で絶大な人気を誇る歌手Eason Chanのツアーサポートに就任、2年間のワールドツアーを成功させます。

また多忙なサポート業の傍では中国のテレビ番組「I Am A Singer」の専属ギタリストとしても活躍。この番組は最終回では3億人もの視聴者がいたというのだから驚きです。

主な機材はAristides Guitars、Novo Guitars、Tom Anderson、そしてMesa Boogieアンプなど。

そんなクイでしたが2017年にはついに自身の1stソロアルバム『Absence of Word』をリリースします。ドラムにはMarty FriedmanやArch EnemyのギタリストJeff Loomisで知られるAnup Sastryが参加。Josh Smithをゲストに招きギタリストとして自らの認知を高めることとなります。

本作『Naka』は2020年にリリースされた2ndアルバム。ドラムは変わらずアナップが担当していますが、その他誰もが知る4人のスーパーギタリストたちがゲストで参加、クイの鮮やかなプレイイングや幅広い音楽ジャンルを後押ししています。

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アルバム参加メンバー


  • Jason Kui – Guitar, Bass, Keyboard
  • Anup Sastry – Drums
  • Andy James – Guitar on #2
  • Andy Timmons – Guitar on #4
  • Tom Quayle – Guitar on #5
  • Poh Hock – Guitar on #6

楽曲紹介


  1. Splash!
  2. Pixel Invasion
  3. Interlude / Roseneath
  4. Naka
  5. Mean Bird
  6. The Creator / The Destroyer
  7. Dance of Awakening the Spirit, Pt. 2: The Ballad of the Headless Horseman
  8. Games Brown (Hey!)
  9. Intro to Then and Now
  10. Then and Now

#1「Splash!」はアルバムのオープニングを飾る爽やかなメタルインストナンバー。疾走感のあるリズムとタイトなギター、きらびやかなバラードシーンなどを踏襲した現在のギターインストのスタンダード。ブレイクからの超絶スケールアップなどこれだけでもクイのテクニックを堪能できる一曲です。

人気急上昇中のギタリストAndy Jamesが参加した#2「Pixel Invasion」。8bitのチップチューンイントロからメロディアスで歌えるロックサウンドを展開したこの曲は、Tom Andersonなどモダンなギターならではまとまりのあるクランチカッティングが非常に気持ちいいです。後半はジェイムスのソロからコードをなぞったアルペジオ的進行も含め、Dream Theaterを彷彿とさせる一曲。

荘厳かつファンタジックな雰囲気を持つストリングス主体の#3「Interlude / Roseneath」が用意されており、続いてタイトルナンバー#4「Naka」

ゲストにAndy Timmonsを迎えた曲で、クイが得意とするオルタネイトアルペジオから胡弓を使用したオリエンタルなイントロが特徴のバラード。ブルーススタイルが根本にあるクイにとってピッキングニュアンスを存分に活かす本曲は、言ってしまえば同スタイルのティモンズに対するリスペクトであり、中華テイストのアレンジも彼をもてなすためのものと受け取れます。

2:27〜のティモンズソロはX-Tacy時代を呼び起こす懐かしさでクイの思惑が読み取れニヤリとしてしまいます。

#5「Mean Bird」はヘヴィにチューニングされたリズムカルなギターとブラスによる明るさが同居したファンクな楽曲。ゲストには若手フュージョンギタリストTom Quayleが参加していて、モダンなストラトシェイプのギターならではのバリッとしたトーンとアーティキュレーション抜群のソロが堪能できる一曲です。

続いて#6「The Creator / The Destroyer」。ゲストに参加しているのはマレーシア出身で現在活動休止中のプログレッシブ・メタルバンドNative ConstructのギタリストPoh Hock。これまで以上にタイトなメタルの畳み掛けとサビでの伸びやかさの緩急が魅力的です。

この手のギターインストでは長尺となる大作#7「Dance of Awakening the Spirit, Pt. 2: The Ballad of the Headless Horseman」。全体を通してDream Theaterからの影響が強く現れているプログレッシブ・メタル。単にシンフォニックなメタルのゴリ押しだけでなくコミカルなミュージカルシーンからシリアスで緊張感の強いコード進行にも注目です。リズムからはMike Portnoyの影響も見受けられますね。

タイトルから元ネタを察せてしまう#8「Games Brown (Hey!)」。想像通りのファンクソングですが、コシのあるリードサウンドやシンセサイザーなど古臭くならない工夫が数多くされています。

ラストは1分強のアルペジオによるクラシック#9「Intro to Then and Now」と、それをイントロとする#10「Then and Now」。映画音楽やハートフルドラマを思わす穏やかなポップスナンバーとなっていて単純に良いメロディとそれを表現するギターの細かなニュアンスをいつまでも楽しめるナンバー。

アルバムの印象としては僕も好きなAndy Timmonsをよりメタル寄りかつタイトに仕上げたという感じで、しかしながら近年幅を効かせるDjentやプログレメタル・フュージョンのインストバンドより気張りもせずナチュラルに聴いていられる一枚でした!こういうアルバムがもっと増えるといいなぁという希望ある作品です。

関口竜太

東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。

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