Horizon’s End「Skeleton Keys」: 18年のブランクを経て復活したギリシャ産プログレパワーメタル。シンセの貢献度にも注目!

こんにちは、ギタリストの関口です。

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Skeleton Keys / Horizon’s End


Skeleton Keys

Horizon’s End(ホライゾンズ・エンド)はギリシャのプログレッシブ・メタルバンド。

来歴


ギリシャ・テッサロニキで1993年に結成されたHorizon’s End。ベースTheodore Gotsis、ドラムDimitris Argirakis、ギターChris Kostas、ボーカルGeorge Strapatsasの4人は同年にデモ音源を作成します。

スタイルは結成から現在に至るまでザクザクと刻む80年代メタルの延長ですが結成から1年後の1994年にキーボディストSakis Bandisが加入しバンドサウンドに彩りを添えていきます。同年にはドラマーが交代、新たにStegios Kourouが加入します。

バンドが注目されデビューに漕ぎ着けることが良いこととするのであれば、サキスの加入はバンドを確実に良い方向へ導いたはずです。しかしながらそんな1998年のデビュー作『Sculpture on Ice』のリリース後、セオドレ、クリス、ジョージの3人がほぼ同時に脱退。単にレーベルとうまくいかなかったのか、キーボード色が強くプログレッシブさの増した音楽性に意見が分離したのかそこの真意はわかりません。

バンドは2001年、新たにKostas ScandalisVasilios TopalidesEmmanuel Pilidisを迎え2ndアルバム『Concrete Surreal』をリリース。ギリシャ語の歌詞にDream Theaterのようなテクニカルさを兼ね備えドラマティックな展開を有するプログレッシブ・メタルバンドとして成長していきます。

『Concrete Surreal』を最後にバンドは一時活動休止。その間、ステルギオ、コスタスに加えKosta Vretoが加わったWardrumが活動開始、現在まで4枚のアルバムをリリースしています。

一方でキーボードのサキスはそんなWardrumやフィンランドのメタルバンドBeast In BlackのYannis Papadopoulosらとのセッションを通じ、再びHorizon’s Endの活動再開へ乗り出します。そして2019年、本作『Skeleton Keys』が無事にリリース。ボーカルは以前のトパリデス、ギターはWardrumのレトとなっています。

アルバム参加メンバー


  • Sakis Bandis – Keyboard
  • Kosta Vreto – Guitar
  • Kostas Scandalis – Bass
  • Vasilios Topalides – Vocal
  • Stegios Kourou – Drums

その他参加ミュージシャン

  • Emmanuel Pilidis – Guitar on #7

楽曲紹介


  1. Alpha
  2. Forming Fantasies
  3. The Land of Decay
  4. Dreamer’s Hands
  5. Ocean’s Grey
  6. Who’s Afraid of the Big Bad Wolf
  7. Be

全7曲のうち6曲が7分を超え、うち10分超えと22分超えの大作も有した超会心作。

#1「Alpha」は荘厳でヨーロッパのパワーメタル風情を思わすイントロからスタート。プロダクションは2019年にしたらちょっと古いかなという印象ですが、逆に変化を嫌い王道どころのメタルが好きな人には高音質で懐かしさを覚える逸品。綺麗なピアノやエモーショナルなリードギターが印象的なインスト曲になっています。

デジタルなスパイスを加えた10分超えの大作#2「Forming Fantasies」。#1でインストを披露したのにこの曲でも歌の入りまで3分近くかかるので予習なしではインストバンドを疑ってしまうかも。とめどない展開が畳み掛けるメタルナンバーで、7分すぎから訪れるキーボードと新加入Kosta Vretoによるギターソロの技巧的な掛け合いが聴きどころとなっています。

続く#3「The Land of Decay」はCircus Maximusのようなリリカルなスローテンポを展開するメタルであったり、その次の#4「Dreamer’s Hands」では初期のDream TheaterやSymphony Xのようにネオクラシカル感もあり、この18年間で成長してきたプログレメタルというジャンルを目一杯取り込みWardrumで得た実験結果を発揮しています。3:50〜のミュージカル調だったり分厚いコーラスだったりと一層シアトリカルさを増している節が見られます。

#5「Ocean’s Grey」はブラストから勢い付けていくパワーメタルナンバー。5:21〜のレトのギターソロアプローチはなかなかに面白く、ノーマルな速弾きだけでなく飛び道具的なアーミングや怪しさが全開となった独特のハーモニーなどキーボードの主張が多い本バンドでも負けず劣らずの存在感です。

連続して8分台となる佳境#6「Who’s Afraid of the Big Bad Wolf」。ヘヴィなイントロにはメタルらしいクアイアも混ざりそれだけではよくあるワンパターンなノリですが、それだけにおサキスのシンセサイザーによる貢献は大きくフランスのSpheric Universe Experienceを思い起こさせます。曲の雰囲気はメロディアスなパワーメタルがベースで上記に連ねたバンドや日本のGalneryusのように煌びやかでドラマ性たっぷりに攻めるスピードナンバーです。

そしてラストとなる#7「Be」。楽曲は22分を超えこれぞ長尺プログレメタルのエピック。イントロでは規則的な刻みのリフレインにシンセとギターがリードを乗せて曲を盛り上げていくボレロの手法。ボーカルとテクニカルなプログレ的インターバルが交互に顔を見せる展開が聴きどころで、ボーカルパートはハイトーンも活かしたラインが癖になるハイパーメロディアスのパワーメタル。インターバルはEL&Pのようなエレピのエッセンスや

8:20の静寂からおよそ10分に渡る大インストパートに突入。幽玄なアルペジオとピアノ、エレクトリカルな音色にテンション感の強いコード進行も斬新です。11:25〜のギターソロは前職のEmmanuel Pilidisで不安定気味ながらなかなかの個性を剥きだしたソロを披露しています。ですが個人的にはその後に弾くレトの華麗なフレージングの方がやはり好きですね。メロディアスなパワーメタルと荘厳なクアイア、その硬いイメージを中和させるエレクトロなキーボードの音色がこのバンドを個性あふれるものにしていると思います。

関口竜太

東京都出身。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロギタリスト山口和也氏に師事。ロックやメタルに加え、ブルース、ファンク、ジャズなど幅広い演奏や音楽理論を学ぶ。 プログレッシブロック/メタルの大ファン。自身が企画するプログレッシブ・ロックプロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。

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