Mike Mangini、56歳。これまでの活動経歴と彼が入って変わったDream Theater。

こんにちは、ギタリストの関口です。

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本日4月18日はドラマーMike Manginiの誕生日ということで、おめでとうございます!

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Mike Mangini(マイク・マンジーニ)はアメリカのミュージシャン。ドラマー、及びソングライター。

来歴


マサチューセッツ州で1963年4月18日、イタリア系両親の元に生まれたマンジーニは若干2歳でドラムに触れると、早くから練習の虫に取り憑かれ9歳にはジャズドラマーBuddy Richのコピーにも手をつけていました。

1987年、Ring Of FireやVitalij Kuprijのバンドで知られるベーシストPhilip Bynoeと共に、ボストンを中心に活動していたシンガーソングライターRick Berlinのバックバンドとして出演したのがキャリアとしての始まり。バイノとはNuno Bettencourtの紹介で知り合ったとされ、それが後のSteve Vaiとの仕事にも繋がってきます。

1991年、カナダのスラッシュメタルバンドAnnihilatorに加入。バンド3枚目となるオリジナルアルバム『Set the World on Fire』のレコーディング中にドラマーが脱退したため急遽決まった加入でしたが1曲目のタイトルナンバーを初め10曲中7曲のドラムを担当。アルバムは成功を収めるもMV撮影やライブツアーを前にバンドを離れています。

1995年にはボストンのハードロックバンドExtremeに加入。以前より交流のあったヌーノとの人脈が活かされた結果でしたがマンジーニが唯一レコーディングを行なったアルバム『Waiting for the Punchline』は過去の名アルバムにセールスの上で及ばず、一通りのツアーえ行なった後で1996年にバンドは解散しています。


ウェイティング・フォー・ザ・パンチライン

Extremeでの活動と前後して同年にはギタリストSteve Vaiのアルバム『Fire Garden』に参加。このアルバムに収録された「Bankok」と「Fire Garden Suite」は計12分に及ぶ大作組曲でマンジーニにとって初めて本格的なプログレッシブ・ロックでの仕事となりました。またスティーブのツアーバンドにも同行しG3にも出演。99年リリースの『The Ultra Zone』まで良好なビジネスパートナーとなります。

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ファイヤー・ガーデン

1999年には彼の布石となる出来事も。Dream TheaterのボーカルJames LaBrieのソロプロジェクトMullmuzzlerのドラムとしてベテランギタリストMike KeneallyやキーボーディストMatt Guilloryと共に参加。James LaBrie’s Mullmuzzlerと改名した2ndやJames LaBrie名義のメタルアルバム『Elements of Persuasion』など、プログレとメタル両面でのキャリアを磨くこととなります。

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Mullmuzzler 2


Elements of Persuasion

Dream Theaterへの加入


さて、2000年代に入るとマンジーニはAnnihilatorへの再加入〜アルバム『The One』『Metal』をリリース。個人でもRushのトリビュートアルバム『Subdivisions: A Tribute of Rush』への参加などドラマーとして順風満帆にキャリアを積み上げていきます。

そして2010年にDream Theaterを突如脱退をしたMike Portnoyの後任オーディションが開催されます。マンジーニにこの切符を手渡したのがラブリエだったことは言うまでもないでしょう。

オーディションにはマンジーニを初めPaul GilbertやJohn Wettonのサポートとしても活躍Thomas LangやPlanet X、Ring of Fire、Allan Holdsworthなどメタルとプログレ両方に精通Virgil Donati、Trey GunnやSteven Wilsonでのメンバー経験を持つマルチミュージシャンMarco Minnemannなど早々たる面々が集結しましたが、マンジーニはそのトップバッターを切り見事Dream Theater2代目ドラマーに就任します。

加入から5ヶ月後には『A Dramatic Turn of Events』をリリース。ここでは作曲面での参加はありませんでしたがポートノイ脱退に揺れるファンたちの信頼を回復するにふさわしいプレイイングでアルバムは高評価。

2013年リリースの『Dream Theater』以降は作曲プロセスにも参加し2019年の最新アルバム『Distance Over Time』では「Room 137」など斬新な切り口のアイディアも提供されています。

Mike Mangini加入後のDream Theater


Mike Portnoyの脱退はメンバーやすべてのファンにとって衝撃そのものの大事件でした。

アルバム『A Dramatic Turn of Events』やライブでMike Manginiにも昔のDream Theater同様の演奏ができることは明らかになりましたが、12thアルバム『Dream Theater』以降、彼らの音楽は明らかに変わりました。

その革新的とも言える点が、遊びがなくなったという部分。

2010年までのDream Theaterはブレインであるポートノイ指示の元で楽曲のコンセプトやアレンジが組まれ、故に『Falling Into Infinity』の頃にはレーベルやエンジニアとの衝突もあったようですが…そこにはポートノイが理想とする確固たるプログレメタル像があったからだと思います。

1999年にリリースされた起死回生の一打『Metropolis Pt.2』ではレーベルとのいざこざも解消し、それまで鬱積していたものを全て爆発させたあの爽快感があったからこそ現在まで語られる名盤となっている一方、以降は42分の大作や自らのアルコール依存症をテーマにした巨大組曲、自身が歌うラップを導入したりと彼本意の嗜好が多く見られました

その点、脱退以降はブレインがJohn PetrucciとJordan Rudessに代わり、さらにボーカルであるJames Labrieをフィーチャーした楽曲が多数作られることとなります。2016年の2枚組ロックオペラ『The Astonishing』はその冴えたる結果でしょう。

そしてその結果はマンジーニをギアの一つとして取り込みバンドを新しい形へ前進させるにいたりました。

マンジーニ加入から現在まで、10分を超える長尺曲は22分の大作「Illumination Theory」と『A Dramatic Turn of Events』に収録された数曲となっていて、曲単体ではかなり簡潔でコンパクトに仕上げられています。

メタルを嗜好するドラマーにポートノイとマンジーニどちらが技巧的に巧いのか尋ねるとほとんどがマンジーニを挙げますが、彼のドラムは聴覚的にはシンプルでポートノイのようにメロディアスなタム回しなどは多くありません。そのスタイルが現在のDream Theaterに息づいてきているのでしょう。

逆に派手なポートノイのドラムは実に華やかで、その好き勝手叩くスタイルが良くもあり悪くもあったのですが、それがDream Theaterの味の一つであったことも間違いありません。

遊びの多いポートノイ期とより音楽的に洗練されたマンジーニ期、今後も事あるごとに比べられていくのでしょうが、このどちらもどうか好きでいて欲しいと一ファンからは願うのみです。

関口竜太

東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。

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