Steve Vai「Fire Garden」: 90年代テクニカルギターインストを象徴する二部構成の大作アルバム!ドラムにはMike Manginiも参加!

こんにちは、ギタリストの関口です。

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本日はSteve Vaiの1996年作『Fire Garden』をご紹介します!

Fire Garden / Steve Vai


ファイヤー・ガーデン

Steve Vai(スティーヴ・ヴァイ)は、アメリカのミュージシャン、ギタリスト及びソングライター。

来歴


イタリア移民の子孫であるSteve Vaiは1960年6月6日生まれ。5歳でピアノに触れた際「鍵盤の右に行くほど高くなる、左に行くほど低くなる」ということに興味を抱いたスティーヴは、音楽がどのように生まれ人々に機能しているのかを学びたいと思うようになります。

スティーヴが6歳のとき、当時9歳のある少年がギターを弾いていたことに自分の天命の楽器だと認識、後に弟子入りをするその少年がスティーヴより4歳年上のJoe Satorianiでした。

その後アメリカの音楽学校の名門バークリー音楽院に入学。アメリカで前衛ロックを掲げ、ユーモラスと政治批判の下に音楽の進歩に貢献したギタリストFrank Zappa(1940-1993)の門下生となります。

1980年代にはAlcatrazzDavid Lee Rothバンド、Whitesnakeなど有名ミュージシャンが所属するバンドに多数参加。しかしベジタリアンで温厚な性格のスティーヴはバンドで争いごとが起こるといち早く身を引きバンドから去ってしまうことで知られました。

1984年にたった8トラックのマルチレコーダーでレコーディングされた自主制作の1stアルバム『Flex-Able』を発表。その少し前に収録曲である「The Attitude Song」が当時のギター雑誌に紹介されたことで話題を呼びました。

90年代に入るとコンスタントなソロアルバムのリリースを開始。1990年の『Passion and Warfare』に始まり、1993年にはVai名義でDevin Townsendと共に『Sex & Religion』をリリース。80年代に置いて来てしまったハードロックバンドの再興に挑戦します。

1996年〜1999年まではサポートミュージシャンにMike KeneallyMike ManginiPhilip Bynoeなどを迎えスティーヴがギターボーカルを務める形で3枚のアルバムをリリース。本作『Fire Garden』はこのメンバーによる皮切りの作品となります。

アルバム参加メンバー


  • Steve Vai – Vocal, Guitar, All  other instruments, Engineering, Production
  • Devin Townsend – Vocal on #4,9
  • Will Riley – Keyboard on #14
  • John Avila – Bass on #2
  • Stuart Hamm – Bass on #3
  • Fabrizio Grossi – Bass on #14
  • Chris Frazier – Drums on #1
  • Greg Bissonette – Drums on #2
  • Deen Castronovo – Drums on #3, 5, 7, 11, 12, 16
  • Mike Mangini – Drums on #8, 9
  • Robin DiMaggio – Drums on #14
  • C.C. White, Tracee Lewis, Miroslava Mendoza Escriba, Kimberly Evans – Back vocal on #12, 18
  • John Sombrotto, Mark McCrite, Jim Altan – Back vocal on #18
  • Julian Vai – Spoken vocal

楽曲紹介


  1. There’s a Fire in the House
  2. The Crying Machine
  3. Dyin’ Day
  4. Whookam
  5. Blowfish
  6. The Mysterious Murder of Chrisian Tiera’s Lover
  7. Hand og Heart
  8. Bankok
  9. Fire Garden Suite
    I. Bull Whip
    II. Pusa Road
    III. Angel Food
    IV. Taurus Bulba
  10. Deepness
  11. Little Alligator
  12. All About Eve
  13. Aching Hunger
  14. Brother
  15. The Murder
  16. Damn You
  17. When I Was a Little Boy
  18. Genocide
  19. Warm Regards

一枚のディスクに19曲という多曲を収録した本作は#1〜9までは基本インスト楽曲#10〜18まではボーカル楽曲と明確にフェーズを分けています。これは『Fire Garden』が元々2枚に分かれたダブルアルバムを想定していたため。しかしながらマスタリング中にそれまでの74分ディスクに代わり80分ディスクが登場、2枚分をギリギリ収録が可能だったのでこのような形に収まりました。

フェーズ1の#1『There’s a Fire in the House』は如何にもハードロックテイストのインストナンバー。スティーヴのインスト楽曲の中でも取り分けわかりやすいキャッチーな仕上がりになっています。しかしながら彼特有のハーモナイズや変拍子、トリッキーなSEなどVai節も多数聴かれる人気曲。

#2「The Crying Machine」はJohn Avilaのスラップベースが特徴的なミディアムナンバー。Gary Moore+フュージョンのような雰囲気にリディアンの浮遊感あるアプローチも聴けるスティーヴ有数の名バラード。クロージングではスティーヴ一人によるギターの掛け合いソロが堪能できます。

#3「Dyin’ Day」はアコースティックギターと簡潔なテーマが美しいバラード曲。Ozzy Osbourneとセッションを経て共作された曲で、彼のアルバム『Ozzmosis』の方ではスティーヴが共作者という形で「My Little Man」が収録されています。

Devin Townsendの叫びをサンプリングした#4「Whookam」を経て、#5「Blowfish」ではExtremeやVan Halenを想起させるハードックナンバーを披露。リードギターにシンセサイザーをユニゾンさせた実験的でユニークな音色が興味深いです。

7弦ギターを使用した小曲#6「The Mysterious Murder of Chrisian Tiera’s Lover」が終わると、バラードの指定席#7「Hand on Heart」が登場。丁寧に弾かれるテーマと暖かなオーケストレーションに包まれる本曲は90年の「For The Love Of God」同様Steve Vaiを象徴する一曲です。

前半のハイライトとなる組曲#8「Bankok」#9「Fire Garden Suite」。この2曲でのドラムはMike Manginiならではでしょう。序盤の#8はハエのSEが若干不衛生な雰囲気を出しつつもピアノ、ギター、シタールを使いアジアンテイストなテーマを繰り返します。

#9では「I. Bull Whip」「II. Pusa Road」「III. Angel Food」「IV. Taurus Bulba」という4つのパートを展開。Dream Theaterの「This Dying Soul」にも影響を与えてそうな3拍子のヘヴィリフやシタール、トーキング系の楽器によるオリエンタルな雰囲気を作る前半、スティーヴの世界観を残しながらPat Methenyのようなピアノとライトなアコギによる協奏が美しい中盤、テクニカルでプログレッシブな後半と分割。スティーヴの超絶的なインプロヴィゼーションも、それに追従していくマンジーニのドラムも凄まじく思考を停止して聴き入ってしまう屈指の名曲です。

フェーズ2からはボーカルパート。ギターとボーカルのユニゾンとなる#10「Deepness」から繋がる#11「Little Alligator」はシンプルなアメリカン・ブルース・ハード。#12「All About Eve」はリフやサビの一部など随所でヘヴィなギターの音域が聴こえるものの本質的にはバラード。C.C. Whiteを初めゴスペルチックなバックコーラスを使い優雅な演出となっています。

このアルバムの何曲かには冒頭、一昔前のフラッシュ音声のようなローファイに加工された語りが入るのですがこれはスティーヴの息子Julian Vaiによるもので#13「Aching Hunger」もその一つ。端正なR&B風リズムトラックにトリッキーで荒々しいギターとボーカルがひしめくナンバーとなっています。

#14「Brother」はスティーヴも尊敬するJimi Hendrixの「Little Wing」を彷彿とさせる繊細なバッキングギターが特徴のバラード。ベースにはイタリアのミュージシャンFabrizio Grossi、ドラムにはロサンゼルスのRobin DiMaggioが参加しブルーでシブい雰囲気を生み出しています。

なおドラムのロビンは2016年に横領罪で逮捕されています。

#15「The Muder」はアームやワーミーがドライブするザッパ的な半インストのヘヴィナンバー。パーカッショナルなドラムの他ズシャッというサンプリング音も全編を通して使用されています。続く#16「Damn You」もパワフルなビートのハードロックナンバー。ボドムの響くバッキングにラップも加えたスラムな一曲です。

アメリカンコメディのようなSEとサンプリング加工された子どものような声のみが収録された#17「When I Was a Little Boy」から続いて#12の面々にJohn Sombrottoなどもコーラスに参加している#18「Genocide」。後に交流が生まれるB’zの「MONSTER」でもこの曲のメロディは影響を与えてると思われます。

長丁場である本作のラストは#19「Warm Regards」。ゆったりとしたバラードのギターインスト曲で、シンセストリングスの漂うフュージョン系の雰囲気に繊細なアーティキュレーションを持って伸び伸びとしたギターによる締めとなっています。ラストはジュリアンの語りで終幕です。

関口竜太

東京都出身。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロギタリスト山口和也氏に師事。ロックやメタルに加え、ブルース、ファンク、ジャズなど幅広い演奏や音楽理論を学ぶ。 プログレッシブロック/メタルの大ファン。自身が企画するプログレッシブ・ロックプロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。

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