Jan Cyrka & Guthrie Govan「Guitar Heroes」: 海外ギターシーン影の功労者たち9人!単なるテクニカルで終わらないシアターライクのオムニバス!
by 関口竜太 · 2020-03-28
おはようございます、ギタリストの関口です。
都内に外出自粛勧告が敷かれ今日は家から人が出ないような日です。しかも天気は雨で流石に気が滅入るのでテクニカルなギターアルバムを紹介できればなと思います!
Guitar Heroes / Jan Cyrka & Guthrie Govan
Jan Cyrka(ヤン・サーカ)はイギリスのミュージシャンでギタリスト。
シーンメイカーなギタリストJan Cyrka
ポーランド系イギリス人のJan Cyrkaは1992年にソロアルバム『Beyond the Common Ground』でデビュー。当時はSteve Vaiの再来とも言われ、そのヴァイの師匠でもあるJoe Satorianiなどイメージの沸きやすいギターインスト系ギタリストとして活躍します。
プレイスタイルは安定したテクニックを持ち味としながら、その実アーミングやビブラートで表情をつけることを得意とした叙情型のギタリスト。派手さのないAndy Timmons、アーミングのついた松本孝弘といった印象です。
現在では映画音楽家Philip JewsonやAndy James、Luke Robertsなど作品ごとにゲストを呼びサウンドトラックのようなミニマムでストレートなロックギターアルバムを多く展開しており、本作も言わばその流れに沿ったものです。
稀代のスーパーギタリストたち
本作ではヤンの他に8人のギタリストがゲストに参加しているのでそちらも軽くご紹介していきます。
Guthrie Govan
イングランド出身のギタリスト。3歳でギターを始めジャズやブルースのスタイルを基盤としながらその幅広い音楽性とアナライズが困難なフレージングで全世代から爆発的な支持を得ます。プログレッシブ・ロックのスーパーグループであるAsiaに在籍経験があるほか、Steven Wilsonの名盤『The Raven That Refused to Sing』にもリードギタリストとして参加しています。
James Graydon
ロンドンのギタリストでソングライター。
Clive Carroll
イングランド東部に位置するエセックス出身、フォークスタイルのギタリスト。映画音楽の作曲家としても知られます。
Alex Hutchings
イギリスのギタリストでSteven Wilsonのアルバム『To Be Bone』にてツアーメンバーとしても活躍。
Jamie Humphries
ストックホルム出身。QueenやJeff Beck、Pink Floydなどさまざまな有名アーティストとの共演経験を持つキャリア型のギタリスト。Musicmanのエンドースミュージシャンであり日本でもYOUNG GUITAR誌に2度掲載されたとか。
Phil Hilborne
Iron MaidenのドラマーNicko McBrainのクリニックツアーのサポートとして参加するほか、ジェミー同様Queenのミュージカル「We Will Rock You」にも出演したベテランギタリスト。現在は自身のバンドPhil Hilborne Bandを中心に活動中。
Andy James Dowdney
イギリスのへヴィメタルバンドSacred Mother Tongueのギタリスト。バンドは2013年んに解散していますがアンディは2007年ごろからソロでもアルバムを複数リリースするなど精力的な活動を見せています。
参加ギタリスト
- Jan Cyrka – All Tracks
- Guthrie Govan – #1,2,3,7,16
- James Graydon – #4,5,7,10
- Clive Carroll – #6,12,13
- Alex Hutchings – #8,9,10
- Jamie Humphries – #11
- Phil Hilborne – #15
- Andy James Dowdney – #17,18,19
楽曲紹介
- Stomp and Roll
- Belleville Swing
- Rip Roaring
- El Dorado
- Andalucian Sunset
- Bossa Tropicale
- Heart of Mine
- This Fine Feeling
- Aching Heart
- Carefree Summer
- Graduation
- Bad Cat
- Boone Dog
- Slide Around
- Hairy Times
- Darker Than Life
- Growler
- Dirt and Dust
- Hell and High Water
1分程度から最長でも4分ほどの小曲が19曲並ぶ異色のコラボレーションギターインストアルバム。6つのジャンルごとにジャンルが切り替わりまさに映画のワンシーンを切り取ったような仕様になっています。
Retro And Vintage
#1「Stomp and Roll」〜#3「Rip Roaring」まではアップテンポのテクニカルナンバー。カントリー調の#1では二人による超テンポ上でのVampやスウィープのハーモニーが繰り出される他、#3ではSteve VaiやJoe Satorianiのようなシャッフルギターロックになっています・
Acoustic Scene – Setters
#4「Al Dorado」〜#6「Bossa Tropicale」ではアコースティックセクションによるメロディ重視の楽曲が続きます。「Moon River」に代表されるような映画のワンシーンにふさわしい#5「Andalucian Sunset」やカフェイズムな#6「Bossa Tropicale」などテーマでセッションギターを披露。
Electrifying Ballads
#7「Heart of Mine」〜#11「Graduation」まで5曲用意された、二人がもっとも得意とするであろうメロウなフュージョンバラードのセクションがこの「Electrifying Ballads」。
いずれも流暢で隙のないギターを聴かせてくれますが、トラックはワンシーンのみなので次々に切り替わる雰囲気を楽しんでほしいです。
Down – Home Blues
#12「Bad Cat」〜#14「Slide Around」まで展開されるブルースパート。タイトルで概ねサウンドに予想がつくのがいいですね笑
ここではいずれもアコースティックギター二本だけのトラックになっていて#12や#14のようなスライドギターを使った王道のアプローチや、ミュートの際に訪れるリアルな空気感までも伝わってくる玄人向けのセクションです。
Hard And Heavy Rock
#15「Hairy Time」と#16「Darker Than Life」の二曲がこのセクションにあたりご想像通りのテクニカルインストです。#15ではイギリスのセッションギタリストPhil Hilborneが、#16ではガスリーが参加。
Headbanging Metal
ラスト3曲はAndy Jamesを迎えたパワー系メタルなインストを堪能できる7分間。
ダウンチューニングを活かしJohn Petrucci的な浮遊感で聴かせる#17「Growler」や#18「Dirt and Dust」、Paul Gilbert的でありながらプログレッシブさも感じる#19「Hell and High Water」と最後までカラフルなギターの世界にお腹いっぱいのサントラ作品となります。
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タグ: 英プログレ
関口竜太
東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。
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