こんにちは、ギタリストの関口です。
本日はMagic Pieの2015年作をご紹介します!
King for a Day / Magic Pie


King for a Day
Magic Pie(マジック・パイ)はノルウェーのプログレッシブ・ロック/メタルバンド。
来歴
近年めざましい飛躍を遂げているプログレジャンルの一つである「メロハード」。昔はアメリカン・プログレ・ハードとも言われましたが時代がすぎ、アメリカでなく世界的に標準の音楽として認められた結果、今各地でこのメロハードのバンドが登場しています。
ノルウェーで2001年に結成したMagic Pieは中でもその筆頭。
21世紀の北欧プログレの代表格として同ジャンルのMoon SafariやA.C.Tらを引っ張る先輩的存在です。
ギタリストであるKim Stenbergを中心にボーカルEirik Hanssen、ベースJohn Kamphaug、ドラムJan Torkild Johannessen、キーボードGilbert Marshall、そしてセカンドボーカルAllan Olsenの6人で結成されたMagic Pieは、Genesis、Pink Floyd、Kansas、Deep Purple、Yesなどのクラシカルなプログレにハードロック、ヘヴィメタルを融合。
この流れを作るべく川の突貫を行なったのは90年代にプログレメタルの金字塔を打ち立てたDream Theaterでしたが、その要素をさらにプログレロックへ逆輸入。王道プログレよりモダンでプログレメタルよりソフトなメロハードとしての人気を博します。
2003年にはベーシストがLars Petter Holstadへ交代となり、2005年に1stアルバム『Motion of Desire』をリリース。さらに2年後の2007年には、アルバム『Circus of Life』においてセカンドボーカルがEirikur Haukssonへ交代します。そこから5年後の2012年にはキーボーディストのギルバートが脱退、新たにErling Henangerが迎えられ現体制が出来上がります。
本作『King for a Day』は現体制となってからの第一弾アルバム。2019年に発表された『Fragments of 5th Element』へステップアップしていく重要なポジションを占めます。
アルバム参加メンバー
- Kim Stenberg – Guitar
- Lars Petter Holstad – Bass
- Eirikur Hauksson – Vocal
- Jan Torkild Johannessen – Drums
- Eirik Hanssen – Vocal
- Erling Henanger – Keyboards, Vocal
楽曲紹介
- Trick of the Trade
- Introversion
- According to Plan
- Tears Gone Dry
- The Silent Giant
- King for a Day
全6曲、コンパクトなハードポップである奇数曲といずれも10分を超えた大作シンフォロックの偶数曲に綺麗に分かれているのが面白い。
#1「Trick of the Trade」から爽やかなハードロックナンバー。Genesis系統のシンセサウンドやQueenを強烈に意識させるシアトリカルな構成とコーラスパートが生きるリードトラック。フィルで入る瞬発的にテクニカルなギターなどクサメタル好きにもオススメの曲です。
#2「Introversion」は#1以上に図太いコーラスワークとリフとボーカルが一丸になって進行していく12分のナンバー。中盤ではYes風の雰囲気から3連パートへ繋がっていくドラマティックな展開も聴きどころで同じ北欧プログレであるThe Flower Kingsが放つファンタジックさを彷彿とさせます。
70年代の香り麗しきシンセリードサウンドから始まる#3「According to Plan」。バッキングはハードロックのそれで、A.C.Tなどへも受け継がれるご機嫌なロックナンバーとなっています。
お次は大作#4「Tears Gone Dry」。メロトロンとサスティナーギターの悲しげなイントロはPink Floydからの影響か、そこから入ってくるクリーンのアルペジオもまさに「Tear」な美しさ。テンションノートを半音ずつ下っていくクリシェ的な進行も切なさを増長させますね。
ミディアムテンポのハードロックナンバー#5「The Silent Giant」。コードをかき鳴らし突き進むイントロのリフは、シンセサイザーのループフレーズの下で若干コード進行に変化をつけエモーショナルなアクセントを付与。エリクールのボーカルにも気持ちが乗っかる他、3:00〜はギターとキーボードとのユニゾンやソロによるエキサイトな掛け合いが楽しめる曲です。
ラストナンバーとなる#6「King for a Day」。27分の大作はThe Flower Kingsの他、メロハード世代として先人に当たるSpock’s Beardなどからの影響が強いと思われます。曲こそ長いものの、その構成はきっちりセオリーと高い演奏力の上に成り立ち、北欧らしくしっとりとした空気感と絶妙に気持ちいいツボを突いてくる楽器のチョイス、ポップな歌メロやハーモナイズされたギターが心地よく片意地を張らずとも聴き進められる名曲です。
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