アンダーソンの回復も期待されましたが結局は間に合わず、同年9月にカナダ出身のシンガーBenoit Davidが加入。そこへオリバーも予定通り加入し北米を回る「In the Present Live From Lyon Tour」が行われます。なお、後にアンダーソンの体調は回復するもののYesへの復帰は認められませんでした。
2010年にはこのメンバーでニューアルバムのレコーディングが行われ翌年、20thアルバム『Fly From Here』がリリース。しかしこのアルバムではキーボードにJeff Downsが迎えられておりオリバーがなぜ離脱したのかは不明です。
本作『From A Page』はそんな局所的な期間である2010年にレコーディングされた音源4曲を収録。さらにDisc2,3には先述のライブツアーの様子が収められた3枚組ファンアイテムとなっています。
#1「To the Moment」はブーミーなファズサウンドにEric ClaptonやHerbie Hancockを思わすスタンダード風味のリフが心を鷲掴みにしてきます。ボーカルのベノワもアンダーソンに負けず劣らずのハイトーンで、さらに若いゆえの艶めかしい声質が楽曲にもマッチしています。
#2「Words On A Page」はピアノとアコースティックギターが絡む美しいバラード。ブリティッシュらしい繊細な音作りが魅力的で粒の細かいアコギサウンドの合間を縫うようなベースラインも心地よい一曲。
#2と同じくピアノが印象的な#3「From the Turn of A Card」。こちらは最小限のセットで主にピアノが引っ張る形に。Yesらしいホーリーなコーラスと、低音を活かしたベノワのボーカルが癒しのバラード曲です。
#4「The Gift of Love」は10分弱となるラストナンバー。クラウト的な雰囲気のシンセストリングスに宇宙感あるタム回しとシンセリードが絶妙な大作曲。#3と同じボーカルとは思えないほどヴァースから綺麗なハイトーンを聴かせています。アンダーソンのようなミステリアスな雰囲気こそないものの、これはこれでYesと思えることにいつも感心してしまいます。ハウの伸びやかなサスティンが気持ちいいギターソロも聴きどころです。
ディスク2と3は「In the Present Live From Lyon」のライブ音源。やっぱりこれを歌いこなせてしまうベノワにいい意味で気が行く名演です。どの曲も有名どころの名曲ばかりなのでベストアルバム的に聴けてしまう内容です。
東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。
14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。
ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。
東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。
14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。
ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。