Tangerine Dream「Recurrings Dreams」: クラウト・ロックの代名詞2020年の来日が決定!創設者の意思を継いだリ・ワークアルバムがリリース!
by 関口竜太 · 2020-02-07
おはようございます、ギタリストの関口です。
ドイツの電子音楽グループ、Tangerine Dreamの来日が決定したようです!
こちら、6月27日(土)と28日(日)に川崎CLUB CITTA’にて行われるデビュー50周年の特別公演で、どうやら日本限定のセットリストとなっているようです。
チケットの予約は2月8日より開始ということで川崎CLUB CITTA’のリンクを貼っておきます▼
来日に伴って今年はニューアルバムもリリースされていますので今日はそちらをご紹介。
Recurrings Dreams / Tangerine Dream
Tangerine Dream(タンジェリン・ドリーム)はドイツのクラウト・ロック、プログレッシブ・ロックバンド。
Edgar Froeseの意思を継ぐ現代電子音楽
プログレッシブ・ロックが盛んだった1970年代。ドイツではキーボードの音色を活かした電子音楽、クラウト・ロックが独自の進化を遂げていました。
クラウトとはドイツでは定番の「キャベツの漬物」のこと。ドイツ生まれのプログレの形として初めは蔑称として、後に一ジャンルとして敬意を込めてそう呼ばれています。
Tangerine DreamはそんなドイツでキーボーディストEdgar Froeseによって1967年に結成されます。
メンバーは1969年にドラムKlaus Schulze、ヴァイオリン、チェロのConrad Schnitzler、エドガーの3人体制に一新し、1970年に1stアルバム『Electronic Meditation』リリースします。そこから50年に渡って毎年アルバムをリリースし続け、本作『Recurrings Dreams』でその枚数は述べ165枚を数えることになります。
その間に起こった主な出来事としては、キーボード、ドラムのChristopher Frankeの加入がまず挙げられます。平均して年間3枚のリリースを抱えるバンドにとってメンバーチェンジも多かったのですが、フランケはその中で1987年までバンドを支えるキーパーソンの一人となりました。
1977年にはホラー映画「恐怖の報酬」のサウンドトラックをTangerine Dreamが担当し、これが高く評価。ホラー・SF系作品の典型とも言えるスタイルを作り上ます。
1980年以降はリリースラッシュに拍車がかかりますが、特に2002年から2006年にかけてはライブイベントの演奏を録音、ライブ・アルバムとして精力的にリリースするTangerine Treeシリーズが活発になっています。
2011年には日本人ヴァイオリニスト山根星子が加入。
2015年、創設者であったエドガーが肺塞栓症のため死去。彼の死を受けてもバンドは歩みを止めず意思を継いで活動を続けています。その後2017年にリリースされたアルバム『Quantum Gate』にはエドガーが作曲者としてクレジットされています。
アルバム参加メンバー
- Thorsten Quaeschning – Keyboard, Guitar, Drums
- 山根星子 – Violin, Viola, Cello, Ableton
- Ulrich Schnauss – Keyboard, Ableton, FX
収録楽曲
- Sequent ‘C’ 2019
- Monolight (Yellow Part) 2019
- Tangram Set 1 2019 (Expert)
- Horizon 2019 (Pt. 1)
- Horizon 2019 (Pt. 2)
- Phardra 2014
- Los Santos City Map
- Claymore Mine / Stalking 2019
- Yellowstone Park 2019
- Stratosfear 2019
- Der Mond ist aufgegangen (Pt. 1 & 2)
もともと複雑なアンビエントミュージックの代表格。ギリシャのVangelisを超える現代音楽気質なその楽曲は口で説明するより聴いていただいた方が何よりも早いです。
本作は収録曲から察するに過去のアルバムから選りすぐった曲たちの、現メンバーによりリ・ワーク作。セルフカバーのような安易な内容に終わらず、エドガーの意思を継いだ現メンバーならではのアレンジ、シーケンスなど新たなレイヤーが追加された新世代Tangerine Dreamの幻想世界です。
バンドは70年代後半以降、即興による演奏スタイルを主軸としていますがこうして過去の楽曲が再録されるのは非常に意味のあることだと思っています。
オススメはパルス的電脳空間へトリップできる#2「Monolight (Yellow Part)」、そしてプログレらしいシンセリードとエレクトリカルなリズムワークが聴きどころの#10「Stratosfear」。
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関口竜太
東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。
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