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Green Carnation「Light of Day, Day of Darkness」: 自らの体現に全霊を注ぐブラック・メタルアーティストTchort!単発60分の超大作2ndアルバム。

おはようございます、ギタリストの関口です。

Light of Day, Day of Darkness / Green Carnation


Light of Day, Day of Darkness

Green Carnation(グリーン・カーネーション)は、ノルウェーのプログレッシブ・メタル、ブラック/ドゥーム・メタルバンド。

本作までの来歴


先に断っておくと、僕はブラック・メタルというものに非常に疎いです。そもそもブラック・メタルとは脱デスメタルを目指し宗教色の強い歌詞の内容と金切り声が特徴のボーカルやハイテンポのブラストビートが特徴のジャンルになりますが、脱デスメタルと言いながら依然デスボイスを採用しているバンドも多くここについては定義が曖昧になってきているみたいですね。

今日ご紹介するGreen Carnationは1990年にノルウェーで結成されたブラック・メタルバンドでゴシックな雰囲気にブラック要素、デスメタル要素、アコースティックやプログレ要素と非常に多面的な表情を持つメタルバンドになります。

リーダーであるTerje Vik Schei(通称”Tchort”)が当時ベーシストとして加入する手前だったEmperorに、加入前に結成したことが始まり。余談ですが現在そのEmperorにはノルウェーのプログレメタルLeprousのボーカルEinar Solbergがキーボードで参加しています。

Green Carnation結成当初のメンバーにはギタリストX-BotteriとベーシストCm:Botteriのボッテリー兄弟、そしてドラマーAnders Kobroの3人が招集されます。でしたが、たった一枚デモを出しただけの活動でバンドが分裂。3人は新たに結成したメタルバンドIn the Wood…への活動へ回ってしまいます。

バンドが解散したわけではないもののメンバーの離脱はやはり影響が大きく、その後ようやく1stアルバム『Journey to the End of the Night』をリリースした時には実に7年の月日が経過していました。

この1stアルバムにはボッテリー兄弟が呼び戻された他、ドラマーAlf Tore Leangelが参加しましたがレコーディング終了後やはりツォート以外のメンバーはそれぞれの活動に帰っていくという奇妙なバンド形態。

その後2001年にリリースされたのが事実上2ndアルバム本作『Light of Day, Day of Darkness』なのですが、アルバムというにはこれまた奇妙な形を為していますのでそちらを見ていきましょう。

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アルバム参加メンバー


  • Terje Vik Schei (Tchort) – Guitar
  • Bjørn Harstad – Guitar
  • Stein Roger Sordal – Bass
  • Anders Kobro – Drums
  • Kjetil Nordhus – Vocal

ゲストミュージシャン

  • Endre Kirkesola – Sitar, Synthesizer, String, Bass
  • Arvid Thorsen – Saxophone
  • Synne Soprana  – Vocal
  • Roger Rasmussen – Vocal
  • Damien Aleksander – Child’s voice
  • Jan Kenneth T.  – Vocal

楽曲紹介


  1. Light of Day, Day of Darkness

収録曲は#1「Light of Day, Day of Darkness」の、これ一曲だけ。

それもそのはず、この楽曲実に60分という異例の長尺を誇っています。アルバムに一曲だけという意味ではTransatlanticの『The Whirlwind』が78分のそれに当たりますが、TAの場合12パートで構成された組曲である以上、トラックも一応は12トラックで収録されています。

が、本曲はそのような組曲ではなく単体としての60分なためトラックも一つだけとなっています。

とは言いつつも曲の進行度によってはいくつかのパートに分かれています。ここでは「シーン」という言葉を使ってこの1時間の曲を細かく見ていこうと思います。

シーン①0:00〜

イントロは霧のように浮かび上がるストリングスと人々の声、もがり笛のような甲高いのアンビエント。続くクリーンギターのアルペジオも含めPink Floydの様式を深く感じさせます。

歌は地に近いテノールでしっとりと歌われますが、4:40〜はメタリックなギターリフと共に最初の盛り上がりを見せます。ブラック・メタル御用達のトレモロによるリフもメロディックに弾かれ序盤からプログレ作品として聴いても十分敬意が払われています。

シーン②6:45〜

King Crimson的ボドムのアルペジオとフェイザーギターにより再び深い森のようなアンビエントへ。変拍子の静かなヴァースとゲストRoger Rasmussenのスクリームによるドゥームなコーラスパートに分かれ、その後の荘厳なボーカルパートも近年のOpethに近いおどろおどろしい雰囲気。

しかしこのような暗黒の空気感はプログレ音楽でもあるしブラック・メタルに疎い自分からして非常に親近感を覚えます。

シーン③11:26〜

直前のヘヴィシンフォニックパートを分断するようにアコギのアルペジオとスローなビートで再び刻みだす第三のシーン。ループするアルペジオのヴァースにストリングスが上のメロディを取る、重たくもシンフォニックなインターバルです。

コーラスは非常にメロディアスで美しく、芯のあるメタルビートに2回3回と重ねるごとに厚みを増していく暗黒の世界に思わず聴き入ってしまいます。裏で鳴るアルペジオやスライドギター、ピッツィカート気味のストリングスから切なさがにじみ出ていています。

シーン④16:20〜

Trivium的なキャッチーなメロにインテンポとハーフテンポを繰り返す独特なプログレ展開。

18:02〜はボドムリフからのギターソロ、クラシカルなアルペジオと悪魔崇拝的な展開のインターバル。ひたすら重く歪んだギターが聴こえてきますがその裏では白玉のオルガンなんかも鳴っていてそれが昔ながらの空気を含んだ感じがしている理由かもしれません。

不気味なハーモナイズのギターリフを挟んで再びのトーンダウン。

シーン⑤21:46〜

シンセによるSE的飛び道具も登場しながらポジティブかつシンフォニックに進むシャッフルパのインターバル。僕個人が思っていたブラック・メタルよりも曲から溢れる情報量や表情が多くて勉強になります。

24:40〜はそのインターバルの導入に戻り、外堀から徐々に盛り上げながらロングサスティンのギターソロで締める5:30ほどのインストパートとなっています。

シーン⑥27:13〜

帰ってきたボーカルパート。カルティックな雰囲気のヴァースにシンセストリングスによるタイトなインター、テンポチェンジから先ほどよりもシンフォニック要素を強めていきます。

シーン⑦32:40〜

ここでは低音のシンセが地面すれすれを漂いながら、その上でゲストボーカルSynne Sopranaのソロを堪能できます。ソプラナのクアイアは幽玄で美しく、同シーンで演奏されているArvid Thorsenのサックスと共にどことなくアジアンで神聖な空気を生み出しています。

シーン⑧39:04〜

ここまで来て未だ他の展開に負けず劣らずの憂鬱パート。ダークさもさることながら40:16〜のアコギとメロトロン、ピアノの70sアンサンブルが切なく非常に美しい。このパートではBjørn Harstadのエモーショナルなギターソロも必聴です!

シーン⑨45:58〜

時計の音からサンプリングされたギター、バッキングから匂わせるハモンド・オルガンのサウンドなどプログレッシブに洗練されたパートが46分ごろからのこのシーン。

変拍子や転調によるアプローチも登場、後半では再びソプラナのクアイアが怪しさを引き連れてヘヴィなアンサンブルを彩ります。

シーン⑩52:40〜

王道のメタルリフで複雑だった展開を一気にまとめ始めます。

ボーカルパートは少なめに抑えられ後はクロージングまでひたすら長いアウトロを展開していくことになります。トレモロリフ、叙情的なリードパートなどブラック・メタルに欠かせない要素もここで再登場、55:20〜はアコギのアルペジオからポジティブな雰囲気のあるシンフォニック・エンディング。

バンドアンサンブルがフェードアウトしてからはオルゴールによるかすれたメロディで少し寂しげな閉幕を迎えます。

個人的にはブラック・メタルに対する固定観念から脱却できて大変良かったです。プログレに通ずるダークな雰囲気や意外にメロディックな部分が垣間見れたりと勉強になると同時にファンタジックな暗黒の世界に入り浸れるとても有意義な1時間をすごさせていただきました!

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関口竜太

東京都出身。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロギタリスト山口和也氏に師事。ロックやメタルに加え、ブルース、ファンク、ジャズなど幅広い演奏や音楽理論を学ぶ。 プログレッシブロック/メタルの大ファン。自身が企画するプログレッシブ・ロックプロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。

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