Sons Of Apollo「MMXX」: 2020年を代表せんとする米スーパーグループ最新作!生々しいメタルサウンドと驚異のドラマ性を体感せよ!

おはようございます、ギタリストの関口です。

先日届いた最新プログレメタル!本日ご紹介していきます!

MMXX / Son Of Apollo


MMXX(完全生産限定盤)

Sons of Apollo(サンズ・オブ・アポロ)はアメリカのプログレッシブ・メタルのスーパーグループ。

「短命のジンクス」を打ち破る米スーパーグループ


元Dream TheaterのMike PortnoyDerek Sherinian、Mr.BigのBilly Sheehan、元Guns N’ RosesのRon “Bumblefoot” Thal、そしてJourneyやYngwie Malmsteenで知られるJeff Scott Sotoによるヘヴィメタルのスーパーグループとして2017年に現れた大人気バンド。

元々はロンとジェフを除きギタリスト枠にSteve VaiやPlanet Xで知られるTony MacAlpineを加えた4人でPSMSとしてセッションをしていたのが起源となります。

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PSMSのファミリーツリー(相関図)

このバンドをヒントに「歌モノであくまでバンドケミストリーを第一に置いたプログレッシブ・メタル」というコンセプトで結成したのがSons Of Apollo

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前作『Psychotic Symphony』では超絶技巧で有名なメンバーから放たれる音楽に注目が集まりました。ハードな演奏は皆が予想した通りでしたが、その裏で実に理路整然としたメロディアスな楽曲アプローチが並びDream Theaterもちろん、Fates WarningやRushを想起させる温故知新のアルバムとなりました。

2018年にはライブツアーを通じて日本にも上陸、音源だけでなく実力が伴ったライブバンドとしても存在感をアピールしました。

スーパーグループというのは往往にして一度きりのアルバムで終わるという「短命のジンクス」があるのですが結成時にポートノイが「このバンドは本格的に活動していく」とした通り、約3年を経て最新作『MMXX(twenty-twenty)』がこの度リリースされました。

メンバー


  • Mike Portnoy – Drums, Vocal
  • Derek Sherinian – Keyboard
  • Billy Sheehan – Bass
  • Jeff Scott Soto – Vocal
  • Ron “Bumblefoot” Thal – Guitar, Vocal

楽曲紹介


  1. Goodbye Divinity
  2. Wither to Black
  3. Asphyxiation
  4. Desolate July
  5. King of Delusion
  6. Fall to Ascend
  7. Resurrection Day
  8. New World Today
    Ⅰ. Ascension
    Ⅱ. New World Today
    Ⅲ. Blind Tomorrow
    Ⅳ. Adventures in Bumbleland
    Ⅴ. Day of the Dead
    Ⅵ. The New Reveal
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前作『Psychotic Symphony』の地続きのようなアルバムでありながら着実に進化を遂げたヘヴィメタル。

序盤から全体的にコンパクトな楽曲が並ぶため基本は「プログレの耳」ではなく「メタルの耳」として聴くと変に肩透かしを食うこともなくこのアルバムを楽しめるだろうと言うのが個人的なポイント。

前作ではデレクのシンセリードがオープニングに響きましたが本作での#1「Goodbye Divinity」で先陣を切るのはロンのギター。オリエンタルな響きを持つアルペジオからドラマティックにバンドインしていく王道風のプロローグです。このバンドでしか出せない生々しいメタルサウンドにジェフのメロディックなボーカルが相乗効果を生み、前作以上に脂が乗っています。

続く#2「Wither to Black」。日本盤ライナーノーツで伊藤政則さんがおっしゃっていた通り、「強さ」に特化した突き抜けるモダンメタル。デレクのキーボードソロを積極的に聴けるのがこのバンドの醍醐味の一つでもあるのですが、彼がDream Theaterに在籍していたころは『A Change Of Seasons』や『Falling Into Infinity』の時期なのでここまでアグレッシブな楽曲はなかったように思います。

#3「Asphyxiation」は前作の「God of the Sun」を思わせるリフとアクセシブルなボーカルとの絡みが秀逸なリードナンバー。インストパートは変拍子から各ソロパートを回していくオーソドックスな構成となっていますが、そのソロがえげつないほどテクニカルなのでまさにジャケットの宇宙空間を想起させるトリップな仕様となっています。

#4「Desolate July」#5「King of Delusion」では共にDream Theaterの『Awake』を思わす荘厳なピアノがイントロで鳴りますがこの二つの導入がそれぞれ同モチーフのキー違いとなっており、またちょうどアルバムの中盤に位置するため前半と後半を繋げるギミックとして統一感を増す結果となっています。

特筆したいのは#5の方で、9分近いこの楽曲は冒頭1分に渡ってデレクの独創的なピアノを堪能した後、後半戦を告げるバンドサウンドが帰って来ます。曲前半はミディアムなメタル、後半は陰鬱なピアノから人の闇に迫る緊迫したシーンを演出しており、これは彼らがプログレッシブに進化した部分の一端。ラストはテンポチェンジから元のテーマに戻ってエンドです。

ポートノイのマシンガンのようなドラムロールが強烈な#6「Fall to Ascend」。Aメロのヴァースはサイケデリックさもありながら変拍子やポリリズムも多用していくスポーツメタル。

この勢いを落とさず続く#7「Resurrection Day」も相変わらずスペーシーなイントロから開放弦を使ったトリッキーなリフが飛び交う攻撃的な一曲。ジャムセッションの風味が強いソロパートやシンセとギターによるユニゾンなど激しい楽曲の中でも浮遊感を自在にコントロールする絶妙な力加減に恐れ入ってしまいます。

 

ここまで、Sons Of ApolloによるSons Of Apolloらしいプログレッシブ・メタルをご紹介して来ましたが、先述した「メタルの耳」で聴くことの他に、このバンドの楽曲に関するパターン化を指摘しておきます。

どの曲も導入はフェードもしくは単体でのリフから、激しいイントロ、歌モノとしてしっかりフィーチャーされたメロディ、中盤では変拍子アプローチがありつつギターとシンセの掛け合いソロ、そしてラスサビという構成がテンプレートとなっています。

これは1stアルバム時からのパターンであり何もこのアルバムに限ったことではありません。もちろん世界トップレベルの演奏なのですが、逆に言うとそこを本作においても貫いているので、純粋なメタラーはいいとしてプログレやフォークなどいろんな要素を求めているファンからすると少々疲れるかもしれません。ですので「メタルの耳で」と言ったわけです。

ですがそれも”ここまで”です。

 

#8「New World Today」6部構成16分弱の大作曲としてアルバムのラストに鎮座しています。そしてこの曲だけ他の7曲とは明らか毛色が違うプロジーな仕上がりになっています。

導入で聴かれるロンのギターはゲインを抑えめに。雰囲気を重視しているところに巧さや敬意を感じます。1:44〜のシンセは70年代的でそこへ絡むヘヴィなリズムセクションとのクロスオーヴァーが次世代の雰囲気。

Triviumを彷彿とさせるメタルコアパート「Blind Tomorrow」ではポートノイもマイクを握ります。ボーカル一人に固執しない彼のスタンスが垣間見れるしロックサイドのプログレでは割と当たり前なのですがメタルとなると珍しい部類だと思います。7:38〜は満を持してお出まし、ビリーのベースソロ、そこからパート4,5とインストが続いていきます。

Liquid Tension ExperimentやHakenのようなめまぐるしい展開は某ギター雑誌では「運動会」とも呼ばれますが、バンドの詳細を聞いた時にリスナーがまず期待したサウンドは「Adventures in Bumbleland」ではないでしょうか。

まさに「運動会」していますし捉えどころのない変態ぶりに振り回されたい人のためのパートです。インスト後半となる「Day of the Dead」ではロンとデレクのメロウなソロが曲をよりドラマティックに盛り上げていき、オルガンによるヴァースを提示してからはその決めに向かってヴォルテージを上げていく求めていたカタルシス。

16分というのは同ジャンルにおいて決して珍しくない長さですがそれでも時間をたっぷり使い丁寧で濃密に仕上げられたテクニカルメタルが2020年の初陣を切るアルバムとしてエントリーを飾りました!

関口竜太

東京都出身。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロギタリスト山口和也氏に師事。ロックやメタルに加え、ブルース、ファンク、ジャズなど幅広い演奏や音楽理論を学ぶ。 プログレッシブロック/メタルの大ファン。自身が企画するプログレッシブ・ロックプロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。

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