The Prog World Orchestra「A Proggy Christmas」: 餅は餅屋に、クリスマスソングはNeal Morseに。豪華な面々で降り注ぐクリスマス・プログレの特別盤!
by 関口竜太 · 2019-12-25
メリークリスマス!ギタリストの関口です。
というわけで、聖なる夜は前日の動画編集による疲労のためガッツリ寝させていただきました!昨日は寝不足だったけど夜までしっかり覚醒していたのでタスクをこなすという意気は必要だと感じました。
クリスマスなので昨日に引き続きクリスマスアルバムのご紹介です!
A Proggy Christmas / The Prog World Orchestra
The Prog World Orchestra(ザ・プログ・ワールド・オーケストラ)はアメリカのマルチミュージシャンNeal Morse(ニール・モーズ)を主導に集まった特別編成のプログレッシブ・ロックプロジェクト。
ネット通販限定クリスマスアルバム
ニールが自社レーベルRadiant Recordsから主にアルバムをリリースしているということはすでに周知のことと思いますが、2019年も関連アルバムが3枚出るほどのクリエイティビティがあるからこそ、この自社レーベルというのは意味を持ってきます。
本作もその持たされた意味の一つで、Radiant Records内でのオンラインショップでのみ購入可能なニールのクリスマスアルバムとなっています(調べたら大手レコード店でも取り寄せができるみたいですがおそらく直接買うのと本質的には変わりません)。
兄Alan Morseと長きに渡って活動を続けてきたバンドSpock’s Beardを2002年に脱退、サイドプロジェクトとして動いていたTransatlanticを休止させてもなお、ニールは神の啓示に従いクリスチャン・ミュージシャンとしての道を辿ることを選びます。
そんなクリスチャン・ミュージシャンにとってクリスマスアルバムというのは餅は餅屋みたいなものでこの人が作らなきゃ誰が作るのよというレベルの話なわけです。
2011年にリリースされた本作『A Proggy Christmas – The Prog World Orchestra』は、盟友Mike PortnoyやRandy Georgeはもちろん、今ではお馴染みとなったSteve MorseやBill Hubauer、Transatlanticで盃を交わしたRoine StoltとPete Trewavas、さらに元GenesisのSteve Hackettまでをゲストに迎えた豪華な仕様となっています!
アルバム参加メンバー
- Neal Morse – Keyboard, Guitar, Vocal
- Mike Portnoy – Drums, Vocal
- Randy George – Bass
- Steve Morse – Guitar
- Bill Hubauer – Keyboard
- Paul Bielatowicz – Guitar
- Roine Stolt – Guitar
- Pete Trewavas – Bass
- Steve Hackett – Guitar
楽曲紹介
- Joy To The World
- The Little Drummer Boy
- O Holy Night
- Frankincense
- Hark The Herald Angels Sing
- The Christmas Song (Chestnuts Roasting On An Open Fire)
- Carol Of The Bells
- Home For The Holidays
- Shred Ride – Sled Ride / Winter Wonderland
- Silent Night/We All Need Some Light
クリスマスの定番ソングやそれに伴ったセッション、さらに自身の曲とのマッシュアップ的なアレンジを施した曲までホリデーな雰囲気満載の一枚。
#1「Joy To The World」は定番中の定番となるクリスマスソング。アレンジはしっかりニール節炸裂のプログレッシブ・シンフォロックとなっていて、ベタにテーマを演奏しないところも含めてアルバムを彩る名曲。中盤のギターソロではTransatlanticでも見られたような緊張感ある展開で琴線直撃です。
こちらもクリスマスには定番な#2「The Little Drummer Boy」。ボーカル曲として演奏されていますが、そのまんまポートノイのために用意されたような楽曲です。ブラスセクションからの粋なリフにドラムのフィルが容赦無く絡みついてくるアグレッシブなアレンジとなっています。
#3「O Holy Night」はMariah Careyのカヴァーが有名なクリスマスソング。本作ではニールのアコースティックギターによる静かなインスト曲でしっとりと聴かせます。
#4「Frankincense」は複数のクリスマスソングをモチーフにセッション的に展開するプログレナンバー。ヘヴィなギターやオルガン、シンセサイザーといったお馴染みのサウンドからジャズ、メタルまで縦横無尽に広がるインスト曲です。
日本では「天には栄え」として知られるキャロル#5「Hark! The Herald Angels Sing」。ニールがボーカルを取る王道のロックアレンジに仕上がっており、中盤ではスティーブMのギターソロも。
Nat King Coleをオリジナルに持つ#6「The Christmas Song」。ベースがリードを担うジャズテイストのナンバーですが、該当するランディとピート、どっちが弾いているんだろうと思うくらいウッディでムーディです。1:35〜聴かれるコロコロとしたキーボードの音色はアルバム『Momentum』収録の「World Without End」でも登場しますね。
先日の記事「V.A「A Prog Rock Christmas」: 雰囲気に合わせて流す曲は決まった?プログレッシブの名人たちで奏でるクリスマスカバー・コンピレーション!」にも収録されている#7「Carol of the Bells」はシンセによるデジタルサウンド満載のビートロックに。スリリングな曲の展開やハーモナイズで不穏に彩るギターなどプログレとしても緊張感溢れる一曲に。雰囲気としてはLiquid Tension Experimentに近い仕上がりです。
The Carpentersやディズニーでもカバーされる#8「Home for the Holidays」。ワウを使った周波数の変化で陽気に演奏されるレゲエアレンジです。「Holiday」というのは日本では休日の意味合いが強いですが本来祝日という意味も持つため平日だろうと本家のクリスマスはホリデーです。
#9「Shred Ride – Sled Ride」は「そりすべり」の名前で親しまれるクリスマスソングですが、「そり」を意味する「Sled(原曲ではSleigh)」と「速弾き」を意味する「Shred」を掛けたメタルアレンジナンバー。高速シャッフルにキメが満載でほとんど「Colorado Bulldog」です。ギターはこういう曲での演奏を得意とするPaul Bielatowiczかな、ポール繋がりだし。
ラスト#10「Silent Night / We All Need Some Light」は「きよしこの夜」のイメージを崩さないバラードナンバーによる締め。マッシュアップされる「We All Need Some Light」はTransatlanticの1stアルバムに収録されたアコースティックバラードで、ニールのソロライブでも時折披露される人気曲です。
というわけでニールのクリスマスアルバムご紹介でした。ニールは先日ラップソング「Worldwide Sleigh Ride」の他にキリストへの純然たる敬愛を語る新曲「On This Most Holy Night」を公開しましたので最後にこちらをリンクしておきます。
それでは良いクリスマスをお過ごしください!
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関口竜太
東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。
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