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Dream Theater「Six Degrees Of Inner Turbulence」: あなたが知ってる一番長い曲は何?新たな可能性を模索した米プログレメタルの実験結果!

おはようございます、ギタリストの関口です。

来年5月に控えたDream Theaterの来日公演、先日無事チケットの当選メールが届きました!

プレミアムシート当選しました ありがとうございます!!働きながら引きこもります!!

というわけでなんと東京公演のプレミアムシートが当たってしまいました!落ちても一般席でゆっくり楽しめたらいいやなんて思っていただけに嬉しい限りです。落ちたという話はあまり聞かないのですがやはりそれなりに倍率はあるんだと思います、ラッキーでした。

さて、過去の記事を見ていたらまだまとめていなかったこちらのアルバムをご紹介。

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Six Degrees Of Inner Turbulence / Dream Theater


シックス・ディグリーズ・オブ・インナー・タービュランス

Dream Theaterはアメリカのプログレッシブ・メタルバンド。

2002年までの来歴


アメリカの名門バークリー音楽院で出会ったギタリストJohn Petrucci、ドラマーMike Portnoy、ベーシストJohn Myungを中心に1985年結成されたMajestyが前身。

ペトルーシの友人であったキーボーディストKevin Mooreと、ボーカルChris Collinsを迎えた初代Majestyはデモアルバムからすでに高い演奏力が評価されプログレッシブシーン、メタルシーン共に期待の新人とされていました。

コリンズがわずか1年ほどでバンドを脱退すると翌87年には2代目ボーカルChalie Dominiciが加入しデビューの話も持ち上がります。しかしすでに同名のバンドが存在したため権利上の関係でMajestyという名前が使えなくなりバンド名を変更することに。最終的にはポートノイの父、Haward Portnoy氏の案による地元の映画館からDream Theaterに決定しました。

1989年に1stアルバム「When Dream And Day Unite」で無事デビューを飾りますがプロダクションの面などでうまく噛み合わずデビュー前の評価のような反応を得ることはできませんでした。

苦渋の末の決断でバンドはドミニシを解雇し、よりハイレベルなボーカリストを探すこととなります。このボーカリスト探しにはかなりの時間を有しましたが履歴書を送ってきた人物の中にJames Labrieの名前がありセッションの末、採用。現在までフロントマンとしてバンドの顔となっています。

またその間にバンドはボーカル抜きでリハーサルを繰り返しより高い演奏技術を身に付けることとなります。

そして1992年にリリースされた2ndアルバム「Images And Words」は、①先行シングル「Pull Me Under」がビルボードのチャートトップ10に入ったこと、RushGenesisといったプログレッシブ・ロックの先人たちからのスタイルを継承したこと、何より③変拍子や長尺の楽曲を表現するその演奏技術と抜きん出たボーカルスタイルにより大注目を浴び、ここにプログレッシブ・メタルの金字塔を打ち立てることとなります。

1994年には当時では珍しかった7弦ギターを使用したヘヴィアルバム「Awake」、95年には23分の大作とライブでのカヴァーを収録したミニアルバム「A Change of Seasons」をリリース。

1997年の4thアルバム「Falling Into Infinity」のころにはレコード会社やミックスエンジニアとの釣り合いがうまくいかず思ったようなセールスをあげられないことに再び苦心しますが、2ndアルバムの中に収録された楽曲「Metropolis Pt.1: The Miracle and The Sleeper」でのテーマを広げたトータルコンセプトでの5thアルバム「Metropolis Pt.2: Scenes From A Memory」によってそれらを完全に払拭、以降安定的なセールスを記録していくこととなります。

なお、2nd〜5thまでの間にキーボードはケヴィンからDerek Sherinian、そしてJordan Rudessと二度の交代をしています。しかしながらどのキーボーディストのパフォーマンスが好きだったかファンの中で度々議論になるほど、どのプレイヤーも甲乙つけがたい評価を得ています。

そしてバンド6枚目となるのが本日ご紹介する「Six Degrees Of Inner Turbulence」。より「ヘヴィで実験的」をテーマにMetallicaやRushはもちろん、TOOLやRadiohead、Pantera、Alice In Chains、U2などが参考資料として持ち込まれ、全6曲ながら2枚組に渡る大作プログレメタルアルバムが完成しました。

アルバム参加メンバー


  • John Petrucci – Guitar
  • Mike Portnoy – Drums, Chorus
  • James LaBrie – Vocal
  • John Myung – Bass
  • Jordan Rudess – Keyboard

楽曲紹介


  1. The Glass Prison
  2. Blind Faith
  3. Misunderstood
  4. The Great Debate
  5. Disappear
  6. Six Degrees Of Inner Turbulence
    Ⅰ. Overture
    Ⅱ. About To Crash
    Ⅲ. War Inside My Head
    Ⅳ. The Test That Stumped Them All
    Ⅴ. Goodnight Kiss
    Ⅵ. Solitary Shell
    Ⅶ. About To Crash (Reprise)
    Ⅷ. Losing Time / Grand Finale

まずメンバーが着手したのが前作とは違う、単発での曲群。それが#1〜#5に当たりDisc1に収録されています。なおアルバムのナンバリングと収録曲数が同じというジンクスは今後7th「Train Of Thought」と8th「Octavarium」まで継続しています。

#1「The Glass Prison」は前作収録の「Finally Free」のラストで流れる砂嵐のSEが繋がる形での導入。アルバムのラストが次回作の最初に持ち越されるというのは、これもまた8thまで継続されます。

曲の解説に戻るとそれまでのDream Theaterになかったようなアグレッシブなメタルナンバーかつ13分超えの長尺曲。この時期周辺における彼らの演奏が「Dream Theater=超絶技巧のプログレ集団」という世間のイメージを定着させたと言っても過言ではありません。冒頭から変拍子を交えたスウィープアルペジオの応酬、7弦ギターによるヘヴィな刻みとキラキラと回遊するクラビネット、ノイジーなラップなど実験的な面も垣間見せる挑戦的な一曲となっています。

この曲に関しては書くことが多いのですが、ポートノイが構想した「アルコール依存症を克服するための12のステップ」、通称「12 Steps Suite」の一曲目という役割も果たしています。

 

続く#2「Blind Faith」。こちらも10分を超える大作ナンバー。ずっしりとした空気感は資料として持ち込んだTOOLからの影響でしょうか。サビでは7拍子を交え変則的に聴かせている他、間奏では代名詞であるキメのギターフレーズからピアノ〜シンセパートへ切り替わって行ったりなど見せ場も多い曲です。

#3「Misunderstood」は深く沈殿した水底のような空気感がのしかかってくるヘヴィナンバー。ギターソロは実に不穏なハーモナイズで不安を煽ってきますが、ギターソロを逆再生しそれを弾き直す、そしてさらに逆再生し元のフレーズに戻すといった手法が取られ、これはThe BeatlesのGeorge Harrisonが実際に行った手法だそう。アウトロでのゆっくりとしたピックスクラッチはRage Against MachineのTom Morelloの影響か、曲がフェードアウトした後再び浮遊してくるなどかなり実験的な一曲。

#3の余韻から繋ぐ形で導入していく#4「The Great Debate」。細胞生物学を巡る議論がテーマとなっており仮タイトルは「Conflict At Ground Zero」でしたがアルバムリリースの前の年にはアメリカの貿易センタービルを襲う同時多発テロが起こっており、それを連想させるためタイトルが変更となりました。

メインのリフは6/8を7と5に分けることで変則的に聴かせるギミックがなされており同バンドならずともプログレでは基本的なリズム遊びとなっています。フィルターのかかったボーカルがパン振りで左右から聴こえたりとこれまた多くの実験的要素が取り入れられています。6:55〜は曲調も変わりカタルシスを爆発させるインストパートへ流れていきます。

#5「Disappear」は前半を締める重たくメランコリックなバラードナンバー。イントロは5+5+6+5という変拍子とキーの違う2つのマイナーコードから成っています。曲時間は7分近いものの本作では一番短い楽曲。

そしてDisc2。こちらには先の「A Change Of Seasons」に倣ったような超大作が収められる構成が提案され、曲はアルバムタイトルでもある#6「Six Degrees Of Inner Turbulence」ただ一曲。

しかしながらその内容は双極性障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調症、産後うつ、自閉症、解離性人格障害といった6つの精神的疾患や不安定さをまとめオープニングとエンディングで挟んだ全8パート42分に及ぶ超大作組曲となっており、Disc1とは毛色の違う壮大なオーケストレーションと、GenesisやYes、Rushといった往年のプログレッシブ・ロックをリスペクトしたある意味で王道ナンバー。

 

さて「Ⅰ. Overture」はまるで日本の某有名RPGかのようなオーケストラテーマが強烈。7拍子とポップなメロディで仕上げた「Ⅱ. About To Crash」、徴兵命令からのストレス障害を歌ったヘヴィパート「Ⅲ. War Inside My Head」~統合失調症を歌う「Ⅳ. The Test That Stumped Them All」、産後うつがテーマのバラード「Ⅴ. Goodnight Kiss」、12弦ギターの明るさや曲の美しさが自閉症とのギャップを生む「Ⅵ. Solitary Shell」、そしてテーマを巡回させながら解離性人格障害を扱った「Ⅶ. About To Crash (Reprise)」など、テーマこそ重たいものの非常に美しいメロディと壮大なテーマはファンに長く愛されている名曲です。

なおスタジオ版ではシンセサイザーによるオーケストレーションですが、2006年に行われた結成20周年ライブではフルオーケストラによる全編演奏がされています。

最後に


筆者が聴いた、プログレッシブ・ロックで最も長い曲はTransatlanticの「The Whirlwind」が持つ78、次にThe Flower Kingsの「Garden of Dreams」の59分。そしてDream Theaterの「Six Degrees Of Inner Turbulence42

正直ここまでの長尺になるとトラックも一つにまとめずパートごとに分けるのが通例のためそれを「1曲」と捉えるかどうか考え方の違いもありますが、少なくともこの3曲については「1曲」で異論は出ないはずです。

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関口竜太

東京都出身。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロギタリスト山口和也氏に師事。ロックやメタルに加え、ブルース、ファンク、ジャズなど幅広い演奏や音楽理論を学ぶ。 プログレッシブロック/メタルの大ファン。自身が企画するプログレッシブ・ロックプロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。

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