Voyager「Colours in the Sun」: 今急成長している豪州プログレメタル最新作!Djentサウンドに80年代シンセサイザーというモダンノスタルジック!

おはようございます、ギタリストの関口です。

早くも師走の風に吹かれて生活リズムが崩れがちですが焦る気持ちも制御しつつ本日も2019年産プログレの発掘です!

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Colours in the Sun / Voyager


Colours in the Sun -Digi-

Voyager(ボイジャー)はオーストラリアのプログレッシブ・メタルバンド。

来歴


Voyagerは1999年、西オーストラリア大学の学生であったフロントマンDaniel Estrin、ギタリストMark Baker、ドラマーAdam Lovkisの3人によって結成されます。

アダムは早々にバンドを抜けてしまいますが後任のGeoff Callaghanを初めベーシストJennah Greaig、新規のギタリストEmanuel Rudnickiが加入すると2003年には自主制作でアルバム「Element Ⅴ」を発表。精力的な活動も功を奏しオランダのレーベルDVS Recordsの目に止まります

それがきっかけで早くから世界基準のバンドへ昇格。アルバムは翌2004年にはヨーロッパ、そして日本でもボーナストラックを追加して発売されることになります。

 

2006年にはオランダで行われたプログレフェスProgPower Europeに出演。メディアにも好感触を与えより人気を高めることになると同時に、それがきっかけで今度はProgPower UKにも出演します。

結成からわずか10年足らずで順風満帆に見えたかもしれませんがそれなりに苦労も。ProgPower UK出演後、今度はYngwie Malmsteenのオーストラリアツアーに同行するという企画が舞い込み意気揚々、のはずでしたがイングヴェイが土壇場でオーストラリアツアーは行わないと発表、企画倒れに終わります

またデビューからここまでバンドを押し上げてくれたDVS Recordsが事業の閉鎖を発表してしまいます。2006年の初頭にはニューアルバムのレコーディングをすでに行なっていたためリリース先を探すことに。

なんとかたどり着いたドイツのDockyard 1 Recordsから2ndアルバム「uniVers」をリリース。このアルバムはヨーロッパ、そしてLocomotive Recordsを通じてアメリカでも流通し名実ともに世界で高い評価を受けることとなります。

以後もコンスタントにリリースを続け本作「Colours in the Sun」は通算7枚目となるスタジオアルバム。プログレッシブ・メタルと呼ぶにはシンプルな構成ながらDjentを思わせるサウンドメイクとキーボードのフィーチャーによって、アメリカン・プログレ・ハードのメタル版と言える独自の音楽性へたどり着いています。

アルバム参加メンバー


  • Danny Estrin – Vocal, Keyboard
  • Simone Dow – Guitar
  • Alex Canion – Bass
  • Scott Kay – Guitar
  • Ash Doodkorte – Drums

ゲストミュージシャン

  • Einar Solberg – Vocal on #5

楽曲紹介


  1. Colours
  2. Severomance
  3. Brightstar
  4. Saccharine Dream
  5. Entropy
  6. Reconnected
  7. Now or Never
  8. Sign of the Times
  9. Water Over the Bridge
  10. Runaway

バンドが持つヘヴィな音像とはかけ離れた鮮やかなジャケットが特徴。フロントマンのダニーは本作を「最も超越的で、活気に満ちたアルバム」という自己評価しています。

#1「Colours」は、トランス気味のシンセリードから爆発的なバンドサウンドとコーラスで幕を開けるオープニングトラック。タイトでエネルギッシュなドラムと轟音に掻き鳴らすギター、そしてMVにあるようなオーストラリアの広大な大地を思わせるコーラスが聴き手に対しダイレクトに訴えてきます。

#2「Severomance」はスローかつヘヴィな一曲で、拍をずらし後で帳尻を合わせる変則的なバッキングが耳を惹きます。

ニューウェーブな香りが漂う#3「Brightstar」はアルバムの中でハイライトとも呼べるアッパーチューン。80〜90年代の小室風J-POPのようなシンセが日本人的にも非常にノスタルジック。3:02〜の間奏ではDjentスタイルのギターによるヘヴィなリフが土台を支える中ふわっとしたキーボードがそれを中和させ攻撃すぎない仕上がりになっています。

#4「Saccharine Dream」は近年のArch EchoやPliniを彷彿とさせる美しいアルペジオのイントロに変拍子とスラップギターによる歯切れの良さが新時代のプログレッシブ・メタルを展開しています。

ノルウェーのプログレッシブ・メタルバンドLeprousのボーカルEinar Solbergをフィーチャーした#5「Entropy」。幽玄なLeprousとのサウンドとはまた違うVoyagerですが、その激しさの中でもソルベリ特有のハイトーンが美しく響き渡ります。

#6「Reconnecterd」はコーラスでのシンガロンなんかも若干意識してそうなストレートなメタルナンバー、1分半の#7「Now or Never」はエレクトリックでアジアな雰囲気を感じる小曲となっています。

#8「Sign of the Times」は厚めのコーラスとタイトなドラム、空中を舞うシンセのシーケンス…と基本は同じ流れ。一方、#9「Water Over the Bridge」では究極まで下げられたチューニングと半音同士でぶつけるダークなリフが特徴で、そこから綺麗なコーラスへ流れていくカタルシスを堪能できます。

ラスト#10「Runaway」までシンセフィーチャー。キーボードはJordan RudessやRick Wakemanと言ったプログレの王道ではなくVangelisやドイツなどの実験音楽に近いテイストなのですが、この曲に関してだけはGenesis系のキーボードソロを披露していますね。ラストにふさわしい爽やかなメタルナンバーです。

関口竜太

東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。

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