Moon Safari「Blomljud」: ジャケットに騙される大自然プログレの名盤!31分の超大作ナンバーも!

おはようございます、ギタリストの関口です。

雨続きですが昨日今日と東京は暖かかいのでまだいい方です。昨日は5年ぶりくらいにIKEAに行きまして「欲しいものなんかないな〜」と惚けながら、ついたんまり買ってしまいました…笑

今日からまた始まる月曜日は憂鬱ですが先週末のブラックフライデーも相まって買い込んだものを眺めながらスウェーデン繋がりで本日はこちらをご紹介。

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Blomljud / Moon Safari


Blomljud

Moon Safari(ムーン・サファリ)はスウェーデンのプログレッシブ・ロックバンド。

来歴


スウェーデンのシェレフテオという湖と大自然に囲まれた地域で2003年、Moon Safariは結成されます。

メンバーはキーボーディストSimon Åkesson、ギタリストにPetter SandströmAnthon Johansson(2005年に脱退)、ベーシストにJohan Westerlund、そしてドラマーにTobias Lundgren(2015年に脱退)という5人。

結成から1,2年でスウェーデンのプログレッシブ・ロックバンドの大御所The Flower Kingsの元キーボーディストであるTomas Bodinの目に止まることとなり、彼がプロデュースに携わった1stアルバム「A Doorway to Summer」がリリース。

プログレッシブ・ロックでは古くから多重コーラスによるハーモニーが取り入れられてきましたが、例えばGentle Giantのように怪しさを押し出すものではなく、調和の取れた美しいコンビネーションによるコーラスを全面に打ち出したという点でMoon Safariは多くの支持を集めることになります。

2008年にリリースされる本作「Blomljud」はBlomljud Recordsという独自のレーベルからのリリースとなっておりこのアルバムから名付けられたことは明白です。「Blomljud」というのはスウェーデン語では「花の音」の意味し、その名に恥じない自然豊かなテーマで彼らが育ったシェレフテオの空気をまさにそのまま詰め込んだようなサウンドを楽しむことができます。

アルバム参加メンバー


  • Simon Åkesson – Vocal, Piano, Moog Synthesizer, Mellotron, Organ, etc…
  • Petter Sandström – Vocal, Guitar
  • Pontus Åkesson – Guitar, Mandolin, Chorus
  • Johan Westerlund – Bass, Chorus
  • Sebastian Åkesson – Keyboard, Guitar, Chorus
  • Tobias Lundgren – Drums, Percussion, Chorus

ゲストミュージシャン

  • Anthon Johansson – Guitar on #7
  • Anders Pettersson – Pedal steel guitar
  • Andreas Persson – Percussion
  • Måns Axelsson-Ljung – Violin Fiddle
  • Mona Falk – Celo on #9

楽曲紹介


  1. Constant Bloom
  2. Methuselah’s Children
  3. In the Countryside
  4. Moonwalk
  5. Bluebells
  6. The Ghost of Flower Past
  7. Yasgur’s Farm
  8. Lady of the Woodlands
  9. A Tale of Three and Tree
  10. Other Half of the Sky
    I. Written in the Stars
    II. The Meaning of Success
    III. Child Inside the Man
    IV. After All
  11. To Sail Beyond the Sunset

2枚組となり、中には31分に及ぶ超大作も収録した力作。

#1「Constant Bloom」は1分半ほどの小曲ですが、彼らの代名詞でもある多重コーラスのみを存分に堪能できる美しいオープニングナンバー。以前バナナマンがMCを務める「YOUは何しに日本へ?」で空港で取材をした際歌ってくれた曲です。またこの時は渋谷での来日公演で来ていたわけですが、ライブ後ファンサービスで渋谷の街にも同曲を響かせています。

 

 

#2「Methuselah’s Children」は2部構成から成る15分の長尺曲で、アコースティックサウンドに管楽器系のシンセリード、そしてピアノ→オルガンとイントロからプログレッシブ的要素が満載の爽やかなナンバー。ヴァースでは6/8をベースに5拍子や3拍子を混ぜながら複雑に感じさせない見事な構築。8:14〜はピアノ主導のリフから曲の第二部と言えるアグレシッブなパートへ。ここではギターソロやGenesis風のキーボードソロが聴ける他、得意としているコーラスも効果的に登場します。

いきなりの長尺からリスナーを取り込んだら癒しのアコースティックバラード#3「In the Countryside」は、彼らの故郷のシェレフテオを思わせます。#4「Moonwalk」はスローながらYes風のオルガンサウンドが特徴的で、Big Big Trainのようなヨーロッパの風を感じられるインストとなっています。きらびやかなサウンドの中で速いパッセージも弾きこなすポンタスのギターソロも聴くべし!

これをイントロとして続いていくような#5「Bluebells」は基本5/8で構成されアカペラも含め全編で彼らの多重コーラスを堪能することができる10分の長尺曲。

#6「The Ghost of Flowers Past」は同ジャンルやスウェーデンというロック大国特有の怪しげな雰囲気を纏ったプログレッシブソング。イントロのスライドギターも印象的だし、分厚いコーラスのが前に出て来がちですがリードボーカルであるペッターの抜けのいい声はダイレクトに伝わるものがあります。

#7「Yasgur’s Farm」ではゲストにAnthon Johanssonが参加しカントリー調のギターリフとオルガンサウンド、シーケンスのような疾走感あるピアノによる多ジャンルハイブリッドに仕上がった一曲。7拍子というのもアクセントになっていて面白いですね。

爽やかなアイリッシュソング#8「Lady of the Woodlands」を抜けると、アコースティックバラード#9「A Tale of Three and Tree」へ。ここではゲストがMona Falkチェロにより参加しています。

アルバムは最大の山場、4部構成から成る31分の大作#10「Other Half of the Sky」へ。オープニングはペッターによる語り部的な独唱から始まりますが、「Written in the Stars」の見せ場でもあるインストパートは変拍子を切り替えタイトかつスリリングに展開するプログレハードなセクション。「The Meaning of Success」は得意のコーラスを響かせますが、それすら霞むくらい楽器陣が暴れまわる本曲。17:30〜のGenesisを大いに彷彿とさせる11/8もインストセクションもそうですがこれだけの長尺で唯一めちゃくちゃアグレッシブです。Moon Safariはアカペラコーラスグループじゃなくプログレッシブ・ロックバンドなんだと強烈に意識させてくれます。

ラストナンバー#11「To Sail Beyond the Sunset」はシーケンスピアノにスライドギターによるキラキラしたアンビエントな楽曲。聖歌のような1:40からのコーラスで最後まで暖かく包み込んでくれます。

関口竜太

東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。

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