Coheed And Combria「Good Apollo I’m Burning Star Ⅳ, Vol.1: From Fear Through the Eyes of Madness」: USエモコア系プログレバンドの3rdアルバム+2020年に新作発表か!?
by 関口竜太 · 2019-11-19
おはようございます、ギタリストの関口です。
大分時間がかかってしまいましたが本日夜に新作動画を上げられそうです。来たる12月に向けてとあるバンドを予習できる内容です。
話は変わりまして、アメリカのプログレッシブ・ロックであるCoheed And Combriaのオフィシャルページにて意味深なカウントダウンが。
どうやら公式より何か発表があるらしくリンクされた限定公開の動画には今日の日付がつけられています。
前作が2018年リリースだったので順当に行けば来年新作なのかなという感じですがあと20時間あまり、少し気にしていようかと思います!
その流れで本日はこちらをご紹介!
Good Apollo I’m Burning Star Ⅳ, Vol.1: From Fear Through the Eyes of Madness / Coheed And Combria
Good Apollo I’m Burning Star IV Volume One: From Fear Through The Eyes Of Madness [Explicit]
Coheed and Cambria(コヒード・アンド・カンブリア)は、アメリカのプログレッシブ・ロックバンド。
3rdアルバムだけど「4」の理由
アメリカでエモーショナルな音楽性と独自の世界観を築き、モダンなメタルのカテゴリーで活躍するプログレカルテット、Coheed And Combria。
1995年、Toxic Parentsというバンドが解散に追い込まれるとそこのメンバーであったマルチミュージシャンのClaudio SanchezとギタリストTravis Steverを中心に、ベースJon Carleo、ドラムNate Kellyの4人で新たにBeautiful Loserというバンドが発足されます。
しかしこれは短命なもので、スティーバーがバンドを離れることで早々に解散。残された3人はShabütieというトリオバンドを続けおよそ1年間、デモの発表も行いながら音楽スタイルの追求に時間を費やしました。
1999年までにサンチェス以外のメンバーチェンジが繰り返される中、バンドを離れていたスティーバーが復帰。ベースにはMichael Todd、ドラムにはキーボードも兼任できるJosh Eppardが加入することで安定感を取り戻していき、ここにCoheed And Combriaが誕生することとなります。
2002年、バンドはEqual Vision Recordsとの契約により正式にアルバムをリリースしていくことなります。
彼らのアルバムはボーカルのサンチェスが描き起こした「The Amory Wars」というファンタジー・サイエンスフィクション漫画のストーリーが基となったコンセプトアルバムで、さすがに翻訳版は出ていませんがAmazonでも買うことができるので気になる方はどうぞ。
The Amory Wars: Good Apollo, I’m Burning Star IV Vol. 1 (English Edition)
この物語を各アルバムがバラバラの時系列で追っていくこととなります。要するにプログレロック版スターウォーズだと思っていただければ結構ですが、実のところ音楽自体はストレートなハードロックなのでプログレだからと膨大なストーリーの風に当てられることもなく気長に楽しめるのが本バンドのミソ。ストーリーや前後の関係性を理解するには歌詞を読み解かなくてはいけませんしね。
アルバムは2018年までに9枚がリリースされており、本作「Good Apollo I’m Burning Star Ⅳ, Vol.1: From Fear Through the Eyes of Madness」は3rdアルバムにして第4章に当たる位置付けとなり、ストーリーとは別にアメリカでのセールスを大きく伸ばすきっかけとなった作品でもあります。
アルバム参加メンバー
- Claudio Sanchez – Vocal, Guitar, Keyboard, Piano
- Travis Stever – Guitar, Lap Steel, Mandolin, Chorus
- Michael Todd – Bass, Chorus
- Josh Eppard – Drums, Percussion, Keyboard, Programming
ゲストミュージシャン
- Danny Louis – Keyboards
- Kara Bullock & Nick Gardner – Ukulele
- Chester Brockwell – Didgeridoo
- Daniel Sadownick – Percussion
- Sarah Kathryn Jacobs – Chorus
- Janiris Sanchez – Voice
- Kurtis Jungersen – Sound Effects
楽曲紹介
- Keeping the Blade
- Always & Never
- Welcome Home
- Ten Speed (Of God’s Blood & Burial)
- Cossing the Frame
- Apollo Ⅰ: The Writing Writer
- Once Upon Your Dead Body
- Wake Up
- The Suffering
- The Lying Lies & Dirty Secrets of Miss Erica Court
- Mother May I
- The Willing Well Ⅰ: Fuel for the Feeding End
- The Willing Well Ⅱ: From Fear Through the Eyes of Madness
- The Willing Well Ⅲ: Apollo Ⅱ: The Telling Truth
- The Willing Well Ⅳ: The Final Cut
先述した通り、Coheed And Combriaの音楽はそれ単体ではプログレッシブさはあまり感じられず各曲も比較的似通っているのでいつものように一曲一曲紹介するのはむしろナンセンスだと判断します。
なので主要な楽曲をピックアップしてご紹介しますが、#3「Welcome Home」はアルバムに当たって先行でリリースされたシングル曲。ピッキングハーモニクスによるアクセントが印象的なリフと、ストリングスが絡んだタイトな刻みによるゴシックなメタルナンバー。メロディックなボーカルにサンチェスとスティーバーによるギターソロの掛け合いも聴けるアクセシブルな一曲です。
#5「Crossing the Frame」や#7「Once Upon Your Dead Body」はポストロック的な歯切れのいいギターリフやポップなコーラスパートによるアッパーソング。以前の記事にも書きましたがカナダのハードロックバンドBlessed By A Broken Heart(2014年解散)のようなメロディアスさがあります。
ゲストアクトも素晴らしく、#9「The Suffering」と#15「The Final Cut」では女性シンガーSarah Kathryn Jacobsによるキレのいいコール&レスポンスとバッキングコーラスで参加。特に#9に関しては痛快なメロコアとなっていて、プログレ云々を忘れハイになれる一曲。
かわいいゲストで言えば#2「Always & Never」と#15で聞こえる無邪気な子どもの声はサンチェスの姪であるJaniris Sanchezによるもの。
そんな#15を含む#12からの30分近い組曲「The Willing Well」は本作のハイライト。単発で聴けば7分程度の曲の羅列かもしれませんが、各曲のつなぎ目にはSEを挿入してあったりとつなぎ目をきちんと意識した造りにはなっている様子。
本編でもラストとなる#15「The Final Cut」は6/8のブルージィな雰囲気をまとったレクイエム。サンチェスのボーカルも一層エモーショナルに歌われながら、中盤以降3分に渡るソロパートも絶品。曲が終わってからは一転、スティーバーによるカントリー調の見事なラップスティールでTo Be Continuedとなります。
なお、タイトルに「Vol.1」とあるように「Vol.2」も存在。そちらはサブタイトルに「No World for Tomorrow」と付いておりこの章の後編となっています。
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タグ: プログレッシブ・メタルCoheed and Cambria米プログレ
関口竜太
東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。
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