Sons of Apollo「Psychotic Symphony」: いよいよ2ndアルバムへ!米テクニカルプレイヤーが集結したスーパーグループ!
by 関口竜太 · 2019-11-12
おはようございます、ギタリストの関口です。
先日もちらっと書いたのですが、元Dream TheaterのMike PortnoyやDerek Sherinian、さらにBilly Sheehanなどのハードロック超絶プレイヤーたちによるプログレメタルバンド、Sons of Apolloのニューアルバムが2020年に解禁されるそうです!
タイトルは「MMXX」。
1. Goodbye Divinity (7:16)
2. Wither To Black (4:48)
3. Asphyxiation (5:09)
4. Desolate July (6:11)
5. King Of Delusion (8:49)
6. Fall To Ascend (5:07)
7. Resurrection Day (5:51)
8. New World Today (16:38)
結成と前作「Psychotic Symphony」リリースの際に一度きりのスーパーグループで終わらないよう本腰を入れて活動すると明言された通り、無事2ndアルバムのリリースとなります。
タイトルの「MMXX」はローマ数字によるナンバリング法で、「MM=20、X×2=20」ということになるのでタイトルは「2020(twenty twenty)」と呼ぶのが正しいそうです(フォロワー様からご指摘いただきました!)。すなわちXはエックスではなくⅩ(テン)ですね。ちなみに1stアルバムのジャケットにもこの方式で「2017」が記されています。
発売は2020年1月17日ということで、年明け早々メタル/プログレ両ファンが騒がしくなりそうです。
というわけで本日は1stアルバムのご紹介をしたいのですが、去年来日公演を行なった際にレビューしていたんですよね。ですが個人的な理由でブログ更新が途絶え途絶えの時期でしたので内容も薄いため、改めてこちらでまとめておくこととします!
Psychotic Symphony / Sons Of Apollo
Sons of Apollo(サンズ・オブ・アポロ)はアメリカのプログレッシブ・メタルのスーパーグループ。
バンドケミストリーを掲げたメタルオブドリーム
Dream Theaterが1995年にリリースしたミニアルバム「A Change of Seasons」と1997年に商業的方向性を目指したアルバム「Falling Into Infinity」。そこに参加していたキーボーディストDerek Sherinianの発案によるバンド。
デレクはかつてのバンド仲間であるMike Portnoy、Mr.BigのベーシストBilly Sheehan、さらにPlanet Xの繋がりからギタリストTony MacAlpineらとそのセカンドネームを冠したバンドPSMSにて活動。
PSMSのファミリーツリー(相関図)
バンド自体は各自の持ち曲だったりソロ演奏、そしてジャムセッションを中心としたインストスタイルで、2012年に行われた東京公演のライブ映像およびアルバムが現存しています。
Portnoy Sheehan MacAlpine Sherinian : Live in Tokyo [Blu-ray] [Import]
そんなPSMSからヒントを得たデレクとマイクによって歌物を基盤としたプログレッシブ・メタル作品を作りたいという願望の元結成されたのが本バンドSons of Apollo。
ベースはビリーが続投。ギタリストには元Guns N’ RosesのRon “Bumblefoot” Thalが参加。肝心のボーカルには、デレクによる「プログレにありがちなオペラのような歌手ではなくロックスターが欲しい」という希望からJourneyやYngwie Malmsteenで知られるJeff Scott Sotoが抜擢。
個人がイニシアチブを握るのではなくあくまでバンドケミストリーを大事にした、名実ともに揃うスーパーグループとして2017年にデビューを果たしました。
メンバー
- Mike Portnoy – Drums, Vocal
- Derek Sherinian – Keyboard
- Billy Sheehan – Bass
- Jeff Scott Soto – Vocal
- Ron “Bumblefoot” Thal – Guitar, Vocal
楽曲紹介
- God of the Sun
- Coming Home
- Signs of the Time
- Labyrinth
- Alive
- Lost in Oblivion
- Figaro’s Whore
- Divine Addiction
- Opus Maximus
以前に書いた記事でも記述してあった通り、基本は「マニアックなプログレというよりは王道なヘヴィメタル」。
まぁそれもメンバーを見れば納得でして、デレクとマイクのコンビが強烈にプログレッシブさを意識させるだけでそのデレクがアクセシブルなものにしたいと言っているのだから極端に複雑な構成や陰鬱さにはなりにくいですよね。
しかしながら今尚変わらないデレクのキーボードサウンド、手数もコーラスも多いマイクのドラムプレイなど90年代のDream Theaterに親しんだ人にとっては非常に懐かしさを覚えるわけで、そこにビリーとロンとジェフが入ってくればもはやプログレ論争などどうでもよくなってきます。
#1「God of the Sun」は発案者デレクのシンセリードから幕を明けるヘヴィチューン。オリエンタルな雰囲気を持つテーマや線の細かいテクニカルなリフなど、リスナーがこの面子に求める要素の全乗せセット。中盤のテンポチェンジからメロトロンを使用した静パート、さらに変拍子を盛り込んだプログレ的ブレイクなど期待にも答えてくれるウェルカムキーな一曲です。
#2「Coming Home」は先にMVが公開され多くのファンから支持を得たリード曲。ジェフの存在感を存分に活かしたキャッチーなハードロックナンバーで、サビでしっかりシンガロンできる造りとなっている他、個人的にはロンのフレットレスギターによるシームレスなギターソロにも注目。
続く#3「Sign of the Time」も基本スタイルは変わらないヘヴィメタルスタイルの3番手。Dream Theaterの「You Not Me」辺りを彷彿とさせる一方で陰鬱さを排除した分サビでのコーラスが非常に気持ちいいです。
アルバムタイトルは世の中のカオスをコントロールするという意味合いが込められていますが#4「Labyrinth」のドラマティックな展開はまさにそんな思いの象徴。イントロのストリングスもさることながら、70年代プログレ的なモーグのパルスから切り込んでいく中盤以降のパートはプログレメタルの機械的な面と人間的なジャムの要素をミックスさせたハイブリッド仕様。
ロックスターを想起させる壮大な背景をバックにMVが制作された#5「Alive」はエモーショナルなハードロックバラード。ここまでの曲が若干似通っているものの、ロンの繊細なギターソロなどはこの曲の特性とも言えます。
#6「Lost in Oblivion」は冒頭のモーグシンセが掴みとしてはバッチリ。生々しいメタルサウンドはこのバンドの得意とするところでプロツールによるデジタル加工がされていないかのようなリアルな音像で踊れるメタルナンバー。
クラシックのモチーフを感じさせつつVan Halenの「Eruption」のキーボード版とも受け取れる1分の小曲#7「Figaro’s Whore」。ライブを想定したソロパートの考案をしていた最中に弾いたキーボードから生まれたそうな。
アルバムも佳境。#8「Divine Addiction」はDeep Purpleへのオマージュを強く感じるハードロックナンバー。超王道のオルガンサウンドやジェフのねっとりしたボーカルに思わず唸ってしまいます。キーボードソロもJon Lordに倣ったものだと思われます。
ラスト#9「Opus Maximus」は10分を超える大作ながらインスト故事実上ボーナストラック的な扱い。クサみのあるコードワークはロン、変拍子・アクサク要素を取り入れたプログレパートはマイク、ビリーの重たいベースサウンド…と各自存分に腕を振るうエンドテーマとなっています。
最後に
ニューアルバムに伴いSons of Apolloは2ヶ月に渡る米欧横断ツアーを行います。また一年後にでも来日公演をしてくれることを楽しみにしています!
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タグ: スーパーグループプログレッシブ・メタル米プログレDerek SherinianMike PortnoySons of Apollo
関口竜太
東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。
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