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Opeth「Watershed」: 北欧の暗黒神が贈る現状ラストのデス作品!美しいメロディも多いバランス型プログレ!

おはようございます、ギタリストの関口です。

昨日までが世間様での3連休だったとは露知らず、なんとなく得した気分でその恩恵に預かりブログやら動画の台本やら書かせていただきました。体が楽なのは結構なことですがその分売り上げが減る実情は自営業者としては後ろ髪を引かれる気分です。

さて、そんな動画に関しては現在Opethについてまとめているところです。12月に来日公演があるのでそれに合わせられたり、その後に見ても楽しめるものだったりする予定です。

このバンドのアルバム紹介はほぼ完了していると思っていたのですが中期の人気ぶりに乗じて一枚抜けていたので本日はそちらをご紹介します!

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Watershed / Opeth


Watershed

Opeth(オーペス)はスウェーデンのプログレッシブ・メタルバンド。

流れに身を任せ…デスメタル後期のセルフプロデュース作


この8年間で長らく続いたデスメタルを廃止したとは言え、2000年代のOpethと言えば未だに多くのリスナーが想像するシンボルだと思うわけです。

90年代でも十分人気を獲得できていたとは思いますが4人組のメタルバンドとしての域を出ない閉塞的な音楽性が感じ取れますし、Mikael ÅkerfeldtPeter Lindgrenによってメンバーを解雇したりと人間関係でごたついた時期もありました。

2000年代に入ってそんなOpethを劇的に変えたのは名プロデューサーでありミュージシャンであるSteven Wilsonとの出会いでした。豊富な知識と技量で多くの名盤のリマスターを行い前衛的な音楽の発展に貢献して来た彼をプロデューサーに迎えた「Blackwater Park」「Deliverance」「Damnation」の3作品は、それまでの攻撃的なバンドサウンドに積極的なキーボードの採用を受け入れさせよりプログレッシブ・ロックとしての音楽バリエーションを広げていきました

セールス自体も非常に伸びたため、多くの音楽ファンにとってOpethと言えばこの時期に当たるわけです。

その後Opethがシンボルとしていたデスヴォイスの一切を廃止するまでに2枚のセルフプロデュース作がリリースされるのですが、一つは2005年リリースの「Ghost Reveries」。正式なキーボディストにPer Wibergを迎えて制作されたこのアルバムはスティーブンとの経験が存分に生かされ「Blackwater Park」に匹敵する名盤と名高い結果を残します。

アルバムを伴ったツアーも行いますが、その最中悪い変化が現れたのが97年からドラムを務めていたMartin Lopez。多忙なスケジュールに徐々に体が付いて行かず精神的にも肉体的にも追い詰められバンドに対する意欲も失っていきました。「それこそ幽霊のようだった」と振り返るミカエルの判断でロペスはバンドを去ることになります。

さらにもう一人、デビュー前から在籍しミカエルとはOpeth結成以前よりの友人だったギタリストPeter Lindgrenも意欲を失ったという点では同じで、活動の最中ITコンサルタントの仕事に就きたいと学校に通い出したのがすでに兆候だったと言います。

盟友を二人も失ってしまったOpethですが、似たようなことが以前にもありました。ミカエルとリンドグレンで当時のベーシストを解雇し、それに腹を立てたドラムに相次いで辞められた96年。それでもここまで飛躍を続けて来た実績、ミカエルには自身のイメージするサウンドを現実のものとできるための人選の才があるとしか思えません。もちろんメンバーの脱退は等しく痛手ではありますがOpethは柔軟に音楽性を変化させることでそれがマイナスになりにくいという強みがありました。

新任のギタリストにはArch Enemyなどでサポートを務めたFredrik Åkesson、ドラムにはメタル他ジャズ/フュージョンにも精通し複雑なドラミングで知られるMartin Axenrotが就任。結果として現状最後のデスメタル作品となった本作「Watershed」はそんなバンドという止まることのない水流の中で生まれたのでした。

アルバム参加メンバー


  • Mikael Åkerfeldt – Vacal, Guitar
  • Fredrik Åkesson – Guitar
  • Per Wiberg – Keyboard
  • Martín Méndez – Bass
  • Martin Axenrot – Drums

ゲストミュージシャン

  • Nathalie Lorichs – Vocal on “Coil”
  • Lisa Almberg – English Horn, Oboe
  • Christoffer Wadensten – Flute
  • Karin Svensson – Violin
  • Andreas Tengberg – Cello

楽曲紹介


  1. Coil
  2. Heir Apparent
  3. The Lotus Eater
  4. Burden
  5. Porcelain Heart
  6. Hessian Peel
  7. Hex Omega
  8. Derelict Herds

オープニングとなる#1「Coil」では女性ボーカルのゲストNathalie Lorichsを迎え、デスメタルバンドとは思えない可憐なアコースティックチューンを披露。

本作の特徴としてデスの割合も4割ほどまで減っているので3年後にリリースされる「Heritage」へのステップアップがすでに始まっていたと捉えられます。デスが得意とは言えないけど「Heritage」ほどクリーンだと物足りない人には非常にバランスが取れた仕上がりです。

とは言え#2「Heir Apparent」では思わず前言撤回したくなるようなボトムの効いたイントロとミカエルのグロウルが炸裂。それまでのバンドからしても類を見ないほどエクストリームな楽曲となっています。

新メンバーであるオーケソンのギターはMichael SchenkerやUli Jon Roth、Yngwie Malmsteen、George Lynchに代表される王道のHR/HMがルーツとなっていて古典的なハーモニーやアーミングによる繊細なアーティキュレーションとダイナミズムが特徴。

続く#3「The Lotus Eater」では若干クサメロと思われるリードギターながら左手のタッチが伝わってくるくらい哀愁たっぷりに弾きこなしていますし、タイトなドラムとベースが絡んだアグレッシブなバッキングがそんなメロディもダサくさせていません。

アクセンロットのドラムは正確無比なタイトさを披露しながら同曲で目まぐるしく変わる曲調にも柔軟に対応する素晴らしいパフォーマンス。ドラムの音が固すぎずアコースティックパートにも対応している様子がまた好感あります。

#4「Burden」は古き良き70年代のプログレサウンドを復活させたような名バラード。メロトロンを腰に据えたフォークソングはフランスのTai PhongやThe Moody Bluesを彷彿とさせる新境地です。

2000年代Opethを代表する曲展開の#5「Porcelain Heart」。激しめのナンバーではありますがデスヴォイスは使われず非常に聴きやすい作りに。オーケソンのワウギターはサポート先のArch EnemyのギタリストMichel Amottを彷彿とさせます。

メンデスのベースからアコギ、そしてゲストミュージシャンによる美しいストリングスへと流れていく11分の大作#6「Hessian Peel」は、中盤以降にグロウルがあるもののフルートなどアナログなヴィンテージサウンドを堪能できるクラシカルな一曲。

Opeth御用達のオーギュメントコードが特徴的な#7「Hex Omega」は再びメロトロンを使用した#5テイストの楽曲、そしてラスト#8「Derelict Herds」は変拍子の絡んだ浮遊感あるパートとデスヴォイスのアグレッシブなパートをサンドした構成。改めて聴いてみるとデビュー当時のようなフライを活かしたデスはすっかり身を潜めグロウルの邪悪さとクリーンとのコントラストを使い分けているように感じますね。

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関口竜太

東京都出身。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロギタリスト山口和也氏に師事。ロックやメタルに加え、ブルース、ファンク、ジャズなど幅広い演奏や音楽理論を学ぶ。 プログレッシブロック/メタルの大ファン。自身が企画するプログレッシブ・ロックプロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。

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