DGM「Hidden Place」: 伊プログレメタル!鍵盤フィーチャーにより世界的地位を押し上げたバリエーション豊かな4th作。

おはようございます、ギタリストの関口です。

本日は日本でも人気のイタリアンプログレメタルのご紹介です!

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Hidden Place / DGM


ヒドゥン・プレイス

DGM(ディージーエム)は、イタリアのプログレッシブ・メタルバンド。

リリースごとに人気を高めた4thアルバム


DGMが結成されたのは1994年。ギタリストDiego Reali、ドラマーGianfranco Tassella、キーボーディストMaurizio Pariotti、バンド名はオリジナルメンバーである彼らのイニシャルを採用したものでした。

1995年にはイタリアのプログレッシブ・ロックバンドRaccomandata con Ricevuta di Ritorno(通称:RRR)より初代ボーカルであるLuciano Regoliと、翌96年にベーシストのIngo Schwartzが加わったことで、自主制作のミニアルバムを経て1997年に1stアルバム「Change Direction」をリリースします。

結成当初の音楽性はインスト主体のパワーメタルでしたがデビューに当たってベースはそのままにキーボードをフィーチャーしたプログレッシブ・メタル寄りに変化していきます。とは言ってもDream Theaterほどコテコテのプログレ要素は少なく、アメリカのRedemptionや日本のGalneryusなどに近い、あくまでパワーメタルが主体となった音楽性です。

1stアルバムリリース後ベーシストはMarco Marchioriに変更、99年にはオリジナルメンバーであったジャンフランコも脱退し新たにFabio Costantinoが加入します。メンバー変遷の多いDGMでしたが10年以上続く現体制の皮切りとなったのがファビオでした。

さて、メンバーチェンジは行われど人気は徐々に高まっていきます。同年リリースされた2ndアルバム「Wing of Time」は母国イタリアだけでなく日本でも初週に4000枚を売り上げるほど。発端となったのは雑誌Burrn!による独占取材でそれを機に日本でも広く支持されることとなります。

3rdアルバムに際し新たなメンバーチェンジ。アルバム2枚を勤め上げたボーカルのルチアーノに代わり新たにTitta Taniが加入します。このティッタ在籍時にはアルバムを3枚リリースしていますが本作「Hiden Place」はちょうどその中心に当たる4thアルバム。

オリジナルメンバーであったマウリツィオに代わり加入したFabio Sangesがもたらしたプログレッシブなキーボードサウンドによってバンドは日本のみならずとも雑誌のインタビューやウェブでの紹介をされより一層その人気を高めていきました。

アルバム参加メンバー


  • Diego Reali – Guitar, Bass
  • Fabio Costantino – Drums
  • Titta Tani – Vocal
  • Fabio Sanges – Keyboard

楽曲紹介


  1. A Day Without the Sun
  2. Save Me
  3. Hidden Places
  4. Invisible Rain
  5. Storm #351
  6. Heaven
  7. Alone
  8. Blind!!
  9. The Age of the Flame
  10. Winter Breeze

初代ボーカルのルチアーノも悪くはないのですがデビューしたばかりのメタルバンドというのはどうしてもプロダクションの面で細くなりがちです。

その点、2代目ティッタ以降のこの時期は音像も太く、耳に不安の残りにくい気持ちのいいメタルを展開しています。特に新加入のサンジェスによるキーボードが前面に推し出され同じヨーロッパでも北欧に近いサウンドメイク。

#1「A Day Without the Sun」からテンションの上がるパワーメタルを展開。前作「Dreamland」に比べてメロよりも演奏力の高さをフィーチャーした本作は、力強いボーカルもアンサンブルの一貫として捉えている節があり、メロディックさよりもスリリングなリフや強烈なインターバルへアクセスできるようダイナミクスが調整されています。

#2「Save Me」はボトムを効かせたスローテンポのメタルとなっていて、16分の刻みとピアノ、シンセのシーケンスがドラマティックな雰囲気を形成。インストで聴いても遜色ないくらいにできあがったバッキングトラックにボーカルを乗せたスタイルは実に玄人思考

それでも、8分近い表題曲#3「Hidden Places」でのメロウなイントロやサビなど基本には忠実なバンドの構造が安心感を与えてくれます。ディエゴのネオクラシカル的なギターソロも粒だちがよくテンポ感も個人的にはオススメ。

#4「Invisible Rain」は前半こそバラードの形態を取っていますが、中盤のインターバルではGenesisを思わせるシンセソロがあり、再びメタルへと収束していくギターソロへの展開はドラマ性に溢れ次はどんなアプローチが飛び出すのか、ワクワクしながら聴ける一曲。

王道HR/HMに商業ロック的なシンセが絡んだ#5「Storm #351」ではフュージョン的な要素も見られ一つの新境地。続く#6「Heaven」では近年のDream Theaterに近いようなテクニカルさと聴かせるところは聴かせるという分離感を持った一曲に。#5に続きベースへのフィーチャーが特徴的です。

叙情的なバラード#7「Alone」、ロックビートでExtremeのようなアメリカンハードロックを思わせる#8「Blind!!」、そしてさらにフュージョン的な#9「The Age of the Flame」などよくよく聴けばかなりバリエーションにも富んだアルバムと言えます。

ラストナンバー#10「Winter Breeze」はここに来てジェントルなプログレアプローチの目立つ8分17秒。神聖な空気を演出するアコースティックな導入から再登場のSAW系シンセ、エモーショナルなギターソロに至るまでかなりインスト贔屓なラストとなっています。

DGMが持つメロディックさを多少犠牲にしている点は、当然賛否が分かれているようですが個人的にはこのくらい深みや聴き応えがあると長く楽しめるのではないかなと思います。

関口竜太

東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。

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