世界観そのまま!MTGカードのようなプログレジャケット10選

おはようございます、ギタリストの関口です。

今日はMTGカードのようなプログレジャケット10をご紹介していこうと思うのですが、色々意味不明なのでまずは説明させてください。

プログレについて


本ブログでメインに取り上げているプログレッシブ・ロックというジャンルは1960年代後期に生まれ70年代前期〜中期にかけ世界中に蔓延した音楽で、時に長尺、時に難解で壮大と高度な音楽理論や演奏技術の高さが売りとも言えるジャンルです。

音楽を理論で語ると頭でっかちなのではないかと思われがちですが、バンドやアーティストによってはしっかり大衆にサクセスしていけるメロディや音色の美しさ、聴く人を引き込むカリスマ的魅力というのが存在します。

そして魅力という観点ではアルバムジャケットも注目すべき点

その複雑な音楽故、それをイメージさせるジャケットは例えばThe Beatlesのように、またはアイドルやポップス・ロックバンドのようにメンバーが並んだ写真をジャケットに用いるということがあまりありません

Yesの「The Yes Album」やKing Crimsonの「Red」、Focusの「Moving Waves」など比較的初期のアルバムにはそういうこともありますが、それ以外はシュールで不自然なイラストやアーティスティックなデザインのものが多いのです。

MTGについて


MTGとは「Magic: The Gathering」の略で、アメリカのウィザーズ・コースト社が90年代の初めに開発した世界で初の対戦型トレーディングカードゲーム(TCG)です。

現在出回っている多くのTCGのモデルとなっており、遊戯王やポケモンカードゲームなどに影響を与えている他、これの派生としてタカラトミーが改良し日本用に製作されたのがデュエルマスターズとなります。

一見すると複雑なルールからよく練り込まれたゲーム性や戦略、非常に壮大な世界観とバックストーリーで大人こそハマるカードゲームだと個人的に思います。


Magic – The Gathering Cards: The Unofficial Ultimate Collector’s Guide

そんなMTGはイラストも秀逸なものが多く、昨今の萌えやポップなものに安易に媚びない世界観遵守の絵は原画展が行われるほどの人気。額に入れて飾りたいとも言われていますし実際に販売もされています。

僕はもうプレイしていないのですが美しいイラストや金額的に高価なものも所有している実情、処分は今後も考えていません。

プログレとも共通している部分が多いなと思うことがありまして、今日はプログレのジャケットから「これMTGカードっぽいな!?」というアルバムを独断と偏見で選んでみましたので最後までお楽しみください。

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クリーチャー編


Tarkus / Emerson, Lake & Palmer

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MTGならずともTCGなら対戦するための生物カードがメインとなります。それらはモンスターと呼ばれたりクリーチャーと呼ばれたりするわけですがプログレッシブ・ロックで架空の生物が描かれている代表格がEmerson, Lake & Palmer、1972年の名盤「Tarkus」です。

味のあるイラストがMTG黎明期に当たるタッチを彷彿とさせ、1995年に発売されたエキスパンション「ホームランド」「アイスエイジ」と言った時代の雰囲気が出ています。

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修道院のガーゴイル

Tubular Bells / Mike Oldfield

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1973年にイギリスの実験音楽家Mike Oldfiledによってリリースされた「Tubular Bells」。映画「エクソシスト」のテーマ曲にもなったこのアルバムの主題は2400回の多重録音を繰り返したアナログ録音の限界作

MTGではこのような無機質なクリーチャーも「アーティファクト・クリーチャー」として存在しており、このベルズパイプをクリーチャーに見立てるとあたかもコスト0の0/1・飛行といった印象を受けます。

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羽ばたき飛行機械

Wired of Madness / Jordan Rudess

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アメリカのプログレッシブ・メタルバンドDream Theaterのキーボディストであり、シーンにおいて音の魔術師とも呼ばれるJordan Rudess、2019年の最新作。

赤と青に渦巻く雲と稲光などジャケットからすでに魔法要素が漂い、さながらMTGでもそのままウィザードのカードとして通じそうな一枚。

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翻弄する魔導士

Banks of Eden / The Flower Kings

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カードには時に「伝説の」とつく強力なものが存在します。それらはゲーム中、場に一枚しか存在できなかったり使用そのものに制限がかかっていたりします。

スウェーデンのプログレッシブ・ロックバンドThe Flower Kingsが2012年に発表したアルバム「Banks of Eden」はまさにそんなレジェンド・クリーチャーのような神なる存在感溢れる一枚。

1996年に発売されたエキスパンション「ミラージュ」にはこのようなオリエンタルなイラストのカードが多数収録された他、カードの効果とは無関係のフレーバーテキストも名言が多く見るだけで楽しめるシリーズです。

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聖なる報復者アズマイラ

ソーサリー、インスタント編


MTGではプレイヤーは「プレインズウォーカー」という大魔導士で力を行使し様々な呪文を使っていきます。クリーチャーの召喚も呪文の一旦ですが、よりイメージしやすい魔法的な役割のものとして「ソーサリー呪文」「インスタント呪文」というものが存在します。

Man of Miracles / Styx

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アメリカのプログレハードバンドStyxのアルバム「Man of Miracle」はまさにそんな呪文の象徴である魔法使いが描かれ、今まさに何か唱えようとしている様が見て取れます。

その姿はさながら「対抗呪文」と言った相手プレイヤーの呪文を妨害する打ち消しスペルのようでそっくりそのまま移植しても十分に通用しそうです。

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対抗呪文(テンペスト)

Tug of War / Enchant

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アメリカのプログレバンドEnchantがリリースしている「Tug of War」もそんな力と力が拮抗した様子が表現された構図の一枚。

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反射魔導士

Circus Pandemonium / A.C.T

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こちらはスウェーデンのプログレッシブ・ロック/メタルバンドA.C.Tの2014年作「Circus Pandemonium」。サウンドこそメロハードですがコンセプトアルバムとして仕立てられた内容は人間のどす黒い部分を表現した暗黒作品となっています。

MTGではカードタイプに5色の色が用意されていて、それぞれの色によって基本となる理念や行動(つまりはカードの効果)が決まっています。その中で「黒」という色は死や畏怖、悲しみや犠牲、汚染、破壊、拷問といった極めて邪悪性の強い色で利己的あり世界を弱肉強食として考えています。

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強迫

土地編


プレイヤーが魔法を使うには「土地」と呼ばれる各色を象徴した地形からパワーを得なくてはなりません。そんな土地カードはシンプルながらバリエーションの宝庫で毎度書き下ろしで新録される土地のイラストは度々コレクションの対象になります。

The Mountain / Haken

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現代を代表するイギリスのプログレッシブ・メタルバンドHaken「The Mountain」。その名の通りですよ、山って言ってますし。

「山」は赤のシンボルで感情的で自由、混沌、ユーモアやいたずら、そして何より火の象徴です。

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Watercourse Way / Shadowfax

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アメリカで1970年代に結成されたニューエイジ/電子音楽バンドShadowfaxの1976年作「Watercourse Way」。トラッドフォークにジャズの要素を併せたチェンバーロックとも言える音楽性で1995年にリーダーのChuck Greenbergが死去したため解散となっています。

改めてイラストを見ると、複数の色マナを生めそうな自然豊かなジャケット。手前の湖もさることながら、生い茂る木々や奥にそびえる山などMTGの色シンボルを意識して描かれたようです。

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大草原の川

Alpha / Asia

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ラストはイギリスのプログレ名手が勢揃いしたスーパーグループAsia「Alpha」。先ほど言った「伝説の」と前置きが付きそうなほどファンタジックな世界観が描かれており、単に色マナを出すだけではない特別な効果が付随してきそうです。

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発明博覧会

それにしても神聖な土地に鳥は付き物なのでしょうか。というかプログレジャケットに鳥って多いですよね。

最後に


MTGを知らない人、プログレを知らない人、どっちも知らない人からしたらよくわからんかもな企画でしたがどっちか知ってれば楽しめる、そんな内容になれていれば幸いです。

今度は逆にMTGカードからプログレのジャケットっぽいやつを集めてもいいですし、先ほどの鳥の下りから「鳥が描かれたプログレジャケット」というのも面白そう。機会があればまとめておきますのでまたどうぞお越しくださいませ。


ANDERSON,BRUFORD,WAKEMAN,HOWE

関口竜太

東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。

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