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IQ「Dark Matter」: 不気味なジャケットに裏切られろ!Genesis継承系プログレバンドにおける黄金期でのラストアルバム。

おはようございます、ギタリストの関口です。

気がつくと日曜日が明けていますが昨日は動画編集が捗ったのでまあ良しです。今週は何かしていないと気が紛れないので空元気に動き回りたいと思います!

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Dark Matter / IQ


Dark Matter

IQはイギリスのプログレッシブ・ロックバンド。

80年代ネオプログレバンドの代表格


1970年代後半、恐竜のように繁栄を見せたプログレッシブ・ロックが廃れ流行から離脱するのにそう長い時間はかかりませんでした。ブームというのは残酷なものでプログレもそれに肖っていたはずなのにその見えざる人の流れに風化させられようとしていました。

それでも1980年代に入るとやはり10年前、70年代初期のプログレっていうのは流行関係なく良かったよねという話がそこはかとなく持ち上がります。僕らもそうですよね。年齢が25、6になると高校生くらいのとき聴いていた音楽を思い出して改めてそれが良かったと再認識すると思います。

そうして言わば70年代のリバイバル的にイギリスで勃興したのがネオプログレッシブ・ロックです。

この動きの先頭にはMarillionPendragonなどがいましたが本日ご紹介するIQもその一つとなります。

来歴


1982年にボーカルPeter Nicholls、ギターMike Holmes、キーボードMartin Orford、ドラマーPaul Cook(Sex Pistolsのドラマーと同姓同名ですが別人)、ベースTim Esauの5人によって結成されます。

バンドはGenesisやYesのようなUKの伝統的な音楽性を継承、特にその嗜好が強かったのがキーボディストのマーティンでした。しかしながらネオプログレ自体に「プログレではなくコピー」という批判が集まるとさらにそれを真っ向から否定。以降、マーティンは「ネオ・プログレッシブ」という用語そのものに反対をしています。

バンドは1985年に2ndアルバム「The Wake」をリリースするとボーカルのピーターが新バンド結成のため脱退、その後1990年にIQへ戻ってきますがその間に後任のボーカルP.L. Menelによって2枚のアルバムがリリースされ、うち1989年の4thアルバム「Are You Sitting Comfortably? 」リリース後にベースのティムが脱退しています。後任はJohn Jowitt

以降は安定したメンバーで2000年代までコンスタントなリリースとライブを行います。本作「Dark Matter」は2004年リリースの9thアルバムですが、2005年にドラムのポールが一度脱退をしAndy Edwardsへ変更となる他、キーボードのマーティンが音楽活動自体から身を引き引退。

Martin Orford「The Old Road」: ベテランキーボディストが送る有終の美!自らの原風景に立ち返ったノスタルジックプログレ!

バンドは現在も続いていますが長らく続いたメンバー編成でのラストアルバムとなりました。

アルバム参加メンバー


  • Peter Nicholls – Vocal
  • Martin Orford – Keyboard, Chorus
  • Mike Holmes – Guitar
  • John Jowitt – Bass, Chorus
  • Paul Cook – Drums, Percussion

楽曲紹介


  1. Sacred Sound
  2. Red Dust Shadow
  3. You Never Will
  4. Born Brilliant
  5. Harvest of Souls
    I. First of the Last
    Ⅱ. The Wrong Host
    Ⅲ. Nocturne
    Ⅳ. Frame and Form
    Ⅴ. Mortal Procession
    Ⅵ. Frame and Form
    Ⅶ. Ghosts of Days

登場時は批判もあったネオプログレという草分けジャンルでしたが、それ以上に80年代後期〜90年代にかけプログレッシブ・メタルも登場。シーンはカオスとなりネオプログレが70年代の真似事だから叩こうなんて小さいことを言ってられなくもなりました。

むしろニューウェーブに走ってしまった本家YesやGenesisに比べたらIQの方が純然にプログレを継承してくれているしそれに便乗して多くのバンドが登場、シーンが盛り返したことで次第に評価を受けることとなります。

そんなIQの黄金期とも呼べるメンバーでの本作は全5曲収録。11分を超えるオープニングと24分半の大作組曲で中盤コンパクトな楽曲3つを挟み込む構成。これはGenesisの「Foxtrot」他、The Neal Morse Bandの「The Grand Experiment」などでも見られる「谷」となったアルバムの構成で、プログレッシブ・ロックにおけるソングリストの型の一つだと思っています。

本作はシンフォニックな要素が強く#1「Sacred Sound」からそれが顕著。特に彼らのテーマでもあるGenesis風というのがよく現れていると思います。ビート感溢れるドラムに王道のオルガンが絡んでいくイントロ。タイトルと不気味なジャケットにいい意味で裏切られる爽やかなサウンド構築です。

#2「Red Dust Shadow」は80年代以降のプログレに見られる湿っぽいアコースティックソング。陰鬱ながらどことなく幻想的な雰囲気が漂います。王道なメロトロンの甘い空気と、インプロというより芯を持って演奏されるギターとの中和がそうさせるのでしょうか。

#2の流れを汲んでポップに展開する#3「You Never Will」。中盤、Genesis系SAW波形のシンセリードが暴れるカタルシスにも注目です。

6拍子で進んでいくヘヴィなバンドのビートが印象的な#4「Born Brilliant」。これでもかというくらい正統派のロックを新鮮味を持たせ聞かせてくれるIQはさすがです。3:30から漂うシンセストリングスと共に始まる深いディレイのギターソロなど怪しさ満点。

プログレッシブな原風景とも呼べる24分半の大作#5「Harvest of Souls」。煌びやかなアコギと表現力豊かなピーターのボーカル。そこに薄っすら香るシンセやウィンドチャイムなどのパーカッションが加わる「I. First of the Last」はまるでこれまでのIQを振り返っているよう。

4:15〜、水の中からゆっくり陸に上がるようにバンドインしていく展開は散々アコギで引き延ばしたのに燃焼しきれない絶妙な力加減。しかしそのサビが終わると6:19〜。GenesisからDream Theaterへ引き継がれたメタリックな刻みのブレイク。

「Ⅱ. The Wrong Host」から「Ⅲ. Nocturne」〜「Ⅳ. Frame and Form」とハードとポップを繰り返し出していく構成になっていて交互にという面ではEL&Pの「Tarkus」にも近いかもしれません。途中アグレッシブなインストパートも展開しますがラストは意外とあっさりめ。もしかしたらこの5人でこの後に続く何かを考えていたのかもしれませんね。

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関口竜太

東京都出身。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロギタリスト山口和也氏に師事。ロックやメタルに加え、ブルース、ファンク、ジャズなど幅広い演奏や音楽理論を学ぶ。 プログレッシブロック/メタルの大ファン。自身が企画するプログレッシブ・ロックプロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。

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