Flying Colors「Third Degree」: 5年ぶり、US実力者たちによるアクセシブルなプログレハードの新作!

おはようございます、ギタリストの関口です。

というわけで先週末、ついにFlying Colorsのニューアルバムがリリースされましたのでさっそくご紹介していこうと思います!

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Third Degree / Flying Colors


Third Degree -Digi-

Flying Colors(フライング・カラーズ)は、アメリカのプログレッシブ・ロックバンド。

経歴


2008年、アメリカのエグゼクティブ・プロデューサーであるBill Evans(もちろんあのBill Evansとは別人)監督の下、複雑で洗練された音楽を演奏するプレイヤーたちが行うアクセシブルな音楽の追求を目的として結成されたのがFlying Colorsでした。

要するに作曲センスやプレイが一線級のメンバーによる主流向けのロックバンドということです。

そうして集められたメンバーは、元Spock’s Beardで現在はソロを中心に活動するマルチミュージシャンNeal Morse、元Dream Theaterのドラムにしてワーカホリックに活躍しニールとも縁の深いMike Portnoy、Deep Purpleの現ギタリストにして自身の率いるバンドDixi Dregsでも名高いSteve Morse、そのDixi Dregsに在籍経験がありJohn PetrucciやJoe Satrianiなどサポート業にも優れたベーシストDave LaRue

各人ともプログレッシブ・ロック、ハードロック、そしてソングライティングにも長けた実力者揃いでしたが言い出しっぺのエヴァンスを持ってしてもボーカルだけは決めかねていました

100人以上いたと言われる候補者の中から、ポートノイが選んだのが当時、ディズニー・ミュージックグループの傘下であるハリウッド・レコードと契約していたCasey McPhersonでした。彼は自身のバンドAlpha Revからニューアルバムをリリースしたばかりでありそれがビルボードのトップ10に17週も居座るというヒットを記録していました。

また、同じハリウッド・レコードの契約ミュージシャンの中で異色だったのは、マクファーソン自身による作詞作曲、さらに複数の楽器を演奏するというパフォーマンス。このマルチぶりがアピールポイントとなりマクファーソンがバンドに参加します。レコーディングセッションの1ヶ月前、まだバンド名も決まっていない時期でした。

純然たるアメリカンロックのスーパーグループ


音楽プロデューサーにRushやBon Joviなどで知られるPeter Collinsが抜擢する中で1stアルバムは製作されました。また、バンド名とアルバム名が同じ「Flying Colors」としても決着、商業的にも成功します。

作曲の手順としてはまずニールとスティーブのモーズコンビが曲を持ち寄りデモテープを作成。アメリカにあるニールのプライベートスタジオにメンバーが集いセッションやディスカッションを繰り返しサウンドを練り上げていくというもの。

The Neal Morse Bandでも行われている手法ですがメンバーが変われば様子も変わります。

特に本プロジェクトでは、普段指揮を取るニールはキーボードとコーラスに止まっておりあくまでボーカルはマクファーソン。さらにメンバーのほとんどがソングライティングできたため、いつもなら独壇場のニールお手製コーラスも早々に書きかえられたりということがあったそうです。

僕は思うのですが、ニールが関わった作品はかなりの確率でニール節になってしまい安定感とは対に金太郎飴と言われる事態が少なからずあります。その点、Flying Colorsの音楽性はメンバー個々による個性が密に現れていて、エヴァンスが構想した大衆がアクセスしやすいロックミュージックというものがしっかり実行されているように感じます。

この個性という部分については2ndアルバム「Second Nature」でより色濃く反映されています。Second Natureというのは第二の才能といったような意味を持ち、元はニールとポートノイがスウェーデンとイギリスも跨いだスーパーグループTransatlanticのバンド名候補にも上がっていた名前で、まさにFlying Colorsが持つバンドのカラフルさを象徴する内容となっています。

本作「Third Degree」はそんな前作から5年ぶりとなる多彩でストイックなアメリカン・ハードロックとなります!

メンバー


  • Casey McPherson – Vocal, Guitar
  • Steve Morse – Guitar
  • Dave LaRue – Bass
  • Neal Morse – Keyboard, Chorus
  • Mike Portnoy – Drums, Chorus

楽曲紹介


  1. The Loss Inside
  2. More
  3. Cadence
  4. Guardian
  5. Last Train Home
  6. Geronimo
  7. You Are Not Alone
  8. Love Letter
  9. Crawl

ジャケットはRushでおなじみHugh Symeによるデザイン。Dream TheaterやBon Joviでも担当しているのでこの辺がプロデューサーのコリンズとの繋がりも見えてきます。

サイズ感としては前作と大差ない印象ですが、前作がトップに12分のプログレッシブな楽曲を持ってきていたり大作志向な雰囲気が出ていたのを考えると傾向としては1stアルバム寄りに思えます

ただしめちゃくちゃロックです!

#1「The Loss Inside」は、9月末にMVも公開されたリードトラックの一つ。変拍子も交えたストレートなハードロックで、コードを掻き鳴らすパンキッシュなリフが特徴的。スティーブのギターもかなり攻撃的に進化していてある意味B’zのようですが、これは逆か。

#2「More」は最も早くMVが公開された先行曲。スリリングなストリングスと縦ノリが心地いいロックソング。過去にアルバムの2曲目は「Shoulda Coulda Woulda」や「Mask Machine」といったいずれもヘヴィなナンバーが配置されています。

ハーモニクスによるイントロが気持ちよく鼓膜を叩いてくれる#3「Cadence」。2ndアルバムから起用された本物のストリングスセクションはニールによる提案だと思われますが前作でも参加したChris CarmichaelやShane Borthでしょうか。これは現物が届いてからチェックします!

セッション風景が導入に使われた#4「Guardian」。ベースの規則的なリズムラインとコーラスエフェクトをかけたギターのアルペジオが爽やかな風を吹き込みます。マクファーソンのボーカルも余裕があっていい感じです。ミディアムサイズの曲が続いていると耳では思ってしまうのですが再生時間は#2〜#4までいずれも7分を超えています。

10分半を超える長尺の一発目#5「Last Train Home」。Pat Methenyの曲にも同様のタイトルがありますがピアノから徐々に歩み寄るようなボーカルなど旅を感じさせる一曲です。3:30からのインターバルではギターソロ、キーボードソロと続いていきます。ヴァースのラストは3連のキメがあるのですが、キーボードの際はそこを4×3の構造にすることでリズムをもたらせたようなトリッキーな工夫もされています。Genesisライクな音色も込みでここはニールの十八番でしょうか。

デイヴのファンキーなベースが印象的な#6「Geronimo」。サビ前では4/4+9/16の上でムーディーなコーラスが繰り広げられておりまるでプログレとブラックミュージックのコラボのような新感覚!クロマチックでアウト感の強いスティーブのソロもどことなくご機嫌です。

#7「You Are Not Alone」はJohn Lennonを思わせるアコースティック基調のバラード曲。マクファーソンの内面を写したような切ない一曲で公開されたMVもストーリーはモノクロとなっています。

#8「Love Letter」は、こちらもMVが公開されているカラフルでポップなラブソング。もはやプログレッシブ・ロックやメタル寄りのメンバー編成のことを忘れてしまいそうですが提案されたテーマを彼らの色で問答無用に表現してしまうのはさすがとしか言えません。

コード進行を追ったピアノのシーケンスに繊細なボーカルが乗っかっていく11分の大作#9「Crawl」。本作のラストナンバーとなります。まずはワンコーラス、静かでスリリングで感情を抑えながらマクファーソンが歌い上げる様子が純然たるアメリカのハードロックですね。4:05〜はプログレッシブなインターバルを挟んだギターソロ。パートを追うごとに感情をむき出しにしていく構成が高揚感に溢れます。

ギターソロ終わりと同時に後半のバラードパートへ。シンフォニック・ロックでよく見るような大団円とは一味違うロックバンドとしての締めが男臭くて最高です。

最後に


プログレという狭い視野で聴くにはもったいなく、また広義にロックとして聴くならもっと繊細に味わいたい、その絶妙な境界線やらバランスやらを体感できる一枚でした。

複雑なものを聴きすぎて疲れてしまった人、それでも少しはハードだったり変拍子とかあってほしいなと願う人のいいとこ取りなバンドですねFlying Colorsは。それでいてメンバーがこの豪華さですから。聴かないという選択肢はないと思います!

関口竜太

東京都出身。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロギタリスト山口和也氏に師事。ロックやメタルに加え、ブルース、ファンク、ジャズなど幅広い演奏や音楽理論を学ぶ。 プログレッシブロック/メタルの大ファン。自身が企画するプログレッシブ・ロックプロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。

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