Camel「Mirage」: 気づくとペースに乗せられてしまう!?天然性UK叙情派プログレの代表!

おはようございます、ギタリストの関口です。

連日M3の準備のためギターを録り、データをミックスエンジニアに送っていく作業なのですがここに来て妙な安心感が出てしまいました。

いや実際はカツカツなんですが送られたデータから仮ミックスを弾き出しそれを車でなんか聴いていると完成に近づいてるのが嬉しくてつい思考がそこで止まってしまうのですね。実際に完成するまでそれは幻みたいなものなので、疲れも溜まりますがストイックに残りの9月を頑張ります!

そんなわけで今日はこちらをご紹介!

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Mirage / Camel


ミラージュ(蜃気楼)+4(紙ジャケット仕様)

Camel(キャメル)はイギリスのプログレッシブ・ロックバンド。

謙虚かつわかりやすい天然プログレ


プログレッシブ・ロック全盛期である1970年代初期において、シーンを支えたUK五大プログレバンド。その五大バンドに次ぐ一角としてGentle GiantやThe Moody Blues、Jethro Tullと共に当時を代表するバンドの一つです。また現代ではMarillionやOpethなどにも影響を与えたバンドとして知られます。

息の長いバンドで、オリジナルメンバーであるAndrew Latimer主導の下現在でも活動が続いています。

1969年、イングランドで活動を開始したブルースロックバンド「Brew」が起源となります。メンバーはAndrew Latimer、Doug Ferguson、Andy Wardの3人。

1971年、シンガーソングライターPhillip Goodhand-Tait(フィリップ・グッドハンド・テイト)のバックバンドとしてオーディションを受け、見事彼のアルバム「I Think I’ll Write a Song」に参加。

同年、ミュージシャンとしてすでにキャリアを積んでいたキーボディストPeter Bardensはアメリカへの進出を考えており、彼が応募した雑誌の募集要項にウォードが目を付けます。そうしてBrewの3人と意気投合、4人はCamelとして再スタートを切ることになります。

アルバム参加メンバー


  • Andrew Latimer – Guitar, Flute, Vocal
  • Peter Bardens – Organ, Piano, Mellotron, Synthesizer, Vocal (2002年没)
  • Doug Ferguson – Bass, Vocal
  • Andy Ward – Drums, Percussion

楽曲紹介


  1. Freefall
  2. Supertwister
  3. The White Rider
    Ⅰ. Nimrodel
    Ⅱ. The Procession
    Ⅲ. The White Rider
  4. Earthrise
  5. Lady Fantasy
    Ⅰ. Encounter
    Ⅱ. Smiles For You
    Ⅲ. Lady Fantasy

ギタリストであるアンドリューのエモーショナルなギターはCamelの重要な音楽性の一つであり、彼のギターを持って繰り広げられる叙情的なメロディラインがバンドの特徴。

カテゴライズとしては五大プログレバンドいずれにも属さない独自の方向性を展開していますが、フュージョンやサイケデリックな雰囲気も持ち味としている他、単に非常にわかりやすいUKロックとしても聴くことができるライトさがあります。

本作はそんな初期Camelを代表する2ndアルバム。当時は邦題に直訳された「蜃気楼」と付けられていましたが現在ではそのまま「ミラージュ」と呼ばれることも多いです。

#1「Freefall」はPink Floydを匂わせるシンセサイザーのフェードインからパルス的に打ち付けるベースのビートで幕を開けるナンバー。宇宙的な雰囲気の上で行うキメも、ハーモニックなメロディテーマもシンボルチックなボーカルもすべてが由緒正しきプログレッシブ・ロック

#2「Supertwister」はフルートによるリードがアイリッシュな雰囲気を生み出すインストナンバー。ラストのコーヒーを注ぐSEも込みで大人な雰囲気を味わえる玄人向けの一曲。

続く#3「The White Rider」は3部構成になった長尺ナンバー。フロイド的に香るシンセサイザーとメランコリックなボーカルとで織りなす「Nimrodel」。大胆なアンサンブルとミニムーグによるソロがライブ感を生み出す「The Procession」、ボーカルパートに戻り怪しげなアウトロを繰り広げる「The White Rider」。どこか腑に落ちない雰囲気を置き去りにしたまま収束していく様はやはりサイケデリックの傾向が強いみたいです。

インストナンバー#4「Earthrise」はオルガンをフィーチャーした神聖な前半とテンポアップしインプロヴィゼーションで盛り上げていく後半との二面性を楽しめます。しかしながらGenesisやEmerson, Lake & Palmerほど激しく主張してこない謙虚さがこのバンドのミソと言えそうです。

ムーグによるシーケンスがいきなり印象に残る組曲#5「Lady Fantasy」。ラストナンバーらしく12分に渡る壮大な造りとなっていますが全体的に淡々していて、特に2:26〜のキーボードソロはその音色とペンタトニックが基調となったフレージングのため若干ギターに聴き間違えますが、これをギターとして聴いた場合あまりに淡々と弾かれているためシュールな空気が流れます。普通ならテンポチェンジなど行う際はリスナーを意識するため、前兆を匂わせつつ大縄に入っていくくらい勢いをつけるものなのですがいともあっさりと行ってしまう、言わば天然なプログレです。

2007年にアンドリューが92年より患っていた骨髄線維症で骨髄移植を行ったことを明らかにしておりバンド自体はかなりスローペースとなりましたが、2013年にはツアーに復帰、2016年には来日公演も行うなど日本でも根強い人気が残っています。

関口竜太

東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。

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