Brainstorm「Smile A While」: プログレ界でも炎上か!?独ジャズロックバンドによる謎のセクシープログレ!
by 関口竜太 · 2019-09-24
おはようございます、ギタリストの関口です。
今年もあと100日を切ったということで色んなことがあったと思いますが、最近世間の話題をかっさらったのが小泉進次郎議員と滝川クリステルさんとの結婚&妊娠報道。
令和のビッグカップルとして、またつい先日のことでは小泉議員から飛び出た「気候変動問題はセクシーに」という発言は問題だとして現在炎上中であり、「正直そんな騒ぐこと?」と思いましたが動画を見たら「いや英語で言ってたんかい!」と思わずツッコんでしまいました笑
このブログでは政治についてとやかく取り上げたりしないので、本日は今なら炎上しそうなセクシー?ジャケットのプログレをご紹介します。
Smile A While / Brainstorm
Brainstorm(ブレイン・ストーム)は、ドイツのジャズ・ロックバンド。
概要
1968年、ドイツのバーデンバーデンで結成された4人組(最終的に5人組)のジャズ・ロックバンド。結成当初はFashion Pinkというバンド名でしたが、デビューに際した1972年の本作「Smile A While」に当たってバンド名をBrainstormに改名しています。
デビュー当時のメンバーはRoland Schaeffer、Eddy von Overheidt、Rainer BOdensohn、Joachim Koinzer、その後ベーシストにEnno Dernovが加入し5人編成となりました。
ジャズをベースにしている点ではイギリスのカンタベリー・ロックにもジャンルとしては近く高い演奏力とユーモラスな発想でFrank Zappa+カンタベリーとして国内のテレビやラジオにも引っ張りだこ。ドイツ国外にも広くその名の知れ渡ったバンドです。
しかしながらデビューというバンドにとって一大イベントであるはずの重要催事に採用されたこのジャケット。
見る人が見たら拒絶反応すら起こしそうなブラックセンス溢れるジャケットで、しかも普通やるなら専用にモデルを立てるくらいしそうなものですがそれすらメンバーが務める体の張り様。
バンドは1975年に解散しており2ndアルバムのタイトルは「Second Smile」、解散前に発表された貴重なライブ盤のタイトルは「Last Smile」。
いずれにせよ本人たちが幸せそうならそれが何よりだと思います。
なお 、現在ドイツにはこれと同名のパワーメタルバンドが存在しておりなんと出身地も同じというのだから驚き。
そんな「brainstorm」という単語を辞書で調べると、
「(発作的な)精神錯乱」、「ひらめき」
一体何がドイツ人をそこまでさせるのだろうか。
アルバム参加メンバー
- Roland Schaeffer – Vocal, Clarinet, Guitar, Saxophone
- Eddy von Overheidt – Keyboard, Vocal
- Rainer Bodensohn – Flute, Bass
- Joachim Koinzer – Drums
楽曲紹介
- Das Schwein trügt
- Zwick Zwick
- Watch Time Flow By
- Bosco Biati Weiss Alles
I. Bosco Biati
II. Weiss
III. Alles - Snakeskin Tango
- Smile a While
I. Intro
II. Brainstorm
III. These
IV. Antithese
V. Morning Tune
VI. Smile a While - You Are What’s Gonna Make It Last
- Don’t Forget
- Thesen und Antithesen
- Einzug der Elefanten
- You Knock Me Out
ジャケットは少々残念な感じですが、肝心の音楽はというと非常に富んだ発想力を持ち、たった30秒足らずの曲から15分半に及ぶ組曲まで、豊かな遊び心で育んだジャズベースの前衛的ロック。
インスト曲とボーカル曲が入り混じりジャジーで大人な渋さのあるボーカルと卓越した演奏技術によるインプロヴィゼーションが特徴。
ダーティなラテン的ノリの#1「Das Schwein trügt」は王道ジャズ・フュージョンといった具合でテーマもキャッチーだし良曲です。中盤のサックスソロは色気もあってまさにセクシーそのもの。これでジャケットの性別を併せてくれたらどんなによかったでしょうか。
本作にはプログレらしく大作曲も収録。#4「Bosco Biati Weiss Alles」は冒頭から変拍子や店長を交えた本格的ジャズナンバー。6部構成から成る#6「Smile A While」はトリップしていないPink Floydといった感じのアンビエントの後、7拍子のリフをベースとして徐々にステップアップしていくおしゃれなテーマが印象的。
さらに14分を超える#9「Thesen und Antithesen」はギターとフルートによるユニゾンのテーマ。フルート奏者であるレイナーのソロは実にトラッドなプログレの香りがあり、これがあるからプログレと呼べる域にまで貢献していると思います。
キーボードのエディも同年代であるKeith EmersonやRick Wakemanと並べそうなほど影の実力者。ムーグシンセなど飛び道具こそ使わないもののシンプルなオルガンの演奏やシンセソロなどフレーズで魅せる技巧派です。
最後に
特に擁護したいわけじゃないですが、小泉議員もまだまだ若い人材ですしお父さんである元総理の壁もあるから指摘こそしても一々炎上させたり槍玉に挙げたりするのもよくやるなって感じですけども。
若けりゃ色々やるでしょう。それが許されにくくなったSNS社会というのは便利な反面怖さもありますね。そんなときはBrainstormのジャケットでも見てると案外どうでもよくなったりするものです。
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タグ: カンタベリー・ロックジャズ/フュージョンジャズ・ロック独プログレ
関口竜太
東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。
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