The Neal Morse Band「The Similitude Of A Dream」: 「天路歴程」を題材にした超大作第一弾。ノンストップで駆け抜ける106分のプログレロック!

おはようございます、ギタリストの関口です。

9月に入りまして、おかげさまで本日でこのブログも記事400を達成しました!3月から気持ちを入れ替え当初の目標であった毎日更新をしっかり守って半年、現金な話、アクセス数が前とは比べ物にならないくらい増えて一重に見ていただいてるみなさまへ感謝しかありません!

さて今日のプログレ紹介ですが、以前Neal Morseの「Momentum」の記事を書いた時「Neal Morseのプログレアルバムは全部書き終わった」と言いましたがスマン、ありゃウソだった。

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このブログを初めて間もない頃、Dream Theaterの「The Astonishing」のレビューにおいて比較として出したアルバムがあって、以降書いた気になり放置していたのでした。

というわけで400記念記事としてこちらをご紹介します!

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The Similitude Of A Dream / The Neal Morse Band


SIMILITUDE OF A DREAM

The Neal Morse Bandはアメリカのプログレッシブ・ロック/メタルバンド。

概要


2002年にSpock’s Beardを脱退しソロ活動に転向したNeal Morseが、活動の中で築き上げた信頼のおけるメンバーたちによってより自身の音楽の追求に乗り出し昇華させたバンド。

ソロ活動時の盟友、ベーシストRandy Georgeと、ドラムには元Dream TheaterMike Portnoy。そこへソロ活動を経て知り合ったキーボディストBill HubauerとリードギタリストEric Gilletteを巻き込み、現在アメリカンプログレバンドの中では最高峰の実力派5が結集しました。

ニールソロと大きく違う点はボーカルに彼以外のメンバーも採用している点。過去にソロアルバムでコーラスパートを務めたエリックを筆頭にビルとポートノイも場面に応じてマイクを握っています。

また全員がそれぞれマルチプレイヤーということも見逃せず、各メンバーそれぞれの楽器への理解度も深い上、ライブではパートを入れ替えてセッションといった遊び心溢れるパフォーマンスも観られます。

メンバー


  • Neal Morse – Vocal, Keyboard, Guitar
  • Randy George – Bass
  • Mike Portnoy – Drums, Vocal
  • Bill – Keyboard, Vocal
  • Eric Gillette – Guitar, Vocal

「天路歴程」コンセプトの第一弾


二枚組コンセプトアルバムとなった本作はニールの主であるクリスチャンミュージックから軸がぶれることのないコンセプトアルバム。

イギリスの教役文学者John Bunyanが書いた、プロテスタントの間で最も読まれたとされる「天路歴程」という宗教書をベースに物語を紡いでいく造りとなっています。

これはクリスチャンという若者が罪の重荷を背負ったまま街を逃れ「天の都」を目指すという寓意物語。旅の途中、人の形をした聖書に登場する概念がクリスチャンの行く手に現れ自らを見つめ直していきながら、人生において経験する葛藤や苦難、そして理想的なキリスト教徒の姿へと近づいていくストーリーです。

なお原題は「The Pilgrim’s Progress from This World to That Which Is to Come; Delivered under the Similitude of a Dream」。「天路歴程」という邦題がついてはいますが直訳すれば「巡礼者の進歩」となります。

続編となる「The Great Adventure」の記事はこちらから→The Neal Morse Band「The Great Adventure」: 天路歴程コンセプトの完結版を最速でレビュー!

楽曲紹介


  1. Long Day
  2. Overture
  3. The Dream
  4. City Of Destruction
  5. We Heve Got To Go
  6. Mask No Sense
  7. Draw The Line
  8. The Slough
  9. Back To The City
  10. The Ways Of A Fool
  11. So Far Gone
  12. Breath Of Angels
  13. Slave To Your Mind
  14. Shortcut To Salation
  15. The Man In The Iron Cage
  16. The Road Called Home
  17. Sloth
  18. Freedom Song
  19. Im Running
  20. The Mask
  21. Confrontation
  22. The Battle
  23. Broken Sky / Long Day (Reprise)

2枚組全23曲にもおよぶ超大作第一弾となる本作は、#12と#13でディスクの入れ替えがあるのですが、この間もシームレスに聴き繋げる仕様となっており106分半の長丁場を文字通りぶっ通しというロックオペラ的作品。

Neal Morseというシンフォニック・ロックの巨匠が紡ぐそのサウンドは毎度生のオーケストレーションを使用する本格的なものですが、本作もといThe Neal Morse Bandにおいてもそれは健在。

#1「Long Day」は本作の重要なメロディとなり主人公のテーマ。悲しげなヴァイオリンとチェロのイントロからニールによるボーカルで主人公のこれまでの半生が語られます。この辺りはSpock’s Beardの「Snow」の形式を取り入れているのでしょう、ワンコーラスで物語の序曲へと進んでいきます。

バンドが入り、メインテーマや重要なメロディが敷き詰められた#2「Overture」。5/8の上でストリングスやギターソロが踊り聴き手を物語へ誘っていきます。スリリングな曲の展開もさすがでエリックのヘヴィなリフとシンフォニックなキメがDream Theater的で心地よいです。中盤、シャッフルビートの戦闘シーン的な局面では3連符を4×3のにすることで擬似的にritしていたり芸が細かいです。

#4「City Of Destruction」はMVも作られた最初の勝負ナンバー。重たく響く四つ打ちのバスドラムに力強いコーラスで主人公の悲惨な境遇が語られます。この「破壊の都市」は原作にも登場し、主人公であるクリスチャンは罪の意識からここから逃げ「天の都」を目指すことになります。

 

#5「We Have Got To Go」#6「Make No Sense」と二度場面が変わりますがインターバルはGenesisの「Can-utility and the Coastliners」を彷彿とさせます。

#7「Draw The Line」はヘヴィな7拍子リフにMike Portnoyのメインボーカルが特徴のメタルナンバー。マイクの悪い笑い声などが収録された一見ダークで実はコミカルな一曲。

インスト曲#8「The Slough(沼地)」を超えターニングポイントとなる#9「Back To The City」へと進んでいきます。7拍子のテーマは#2でも流れていたため印象深く残ります。この曲ではビルのボーカルを聴くことができます。

Queenの「Death On Two Legs」を想起させるピアノとビルの渋い歌声が響くナンバー#10「The Ways Of A Fool」。独特のコーラスもまたQueenを彷彿とさせるポップな仕上がりとなっています。中盤のユニゾンソロでは3連を捩ったリズム遊びが楽しいです。

 

本アルバム随一のリードトラック#11「So Far Gone」。変拍子を交えたディミニッシュリフからエリックのメインボーカルで送るキャッチーなプログレッシブ・ロックとなっています!

 

先ほど述べた#12「Breath Of Angels」〜#13「Slave To Your Mind」で前半を終了させDisc2は比較的ポップで穏やかな曲が続きます。#14「Shortcut To Salvation」はアコースティックと豊かなコーラスで紡がれる一曲でDisc2を象徴しています。

#15「The Man In The Iron Cage」はこちらもMVが作られたアグレッシブなナンバー。

 

#16「The Road Called Home」のインターバルを経て#1のメインテーマへ今一度戻る#17「Sloth」。このあたりから言わば「メロディ伏線」が多々登場していきます。「伏線」の代表格となる#18「Freedom Song」The Beatlesからの影響が強そうなアコースティックナンバー。メインとなるメロディは#10からの流用。

#19「I’m Running」はマイクの軽快なドラミングから入るロックナンバー。そこから「盲信」「無知」「無心論者」などとの戦闘に入るのが#20〜#22の「Mask」「Confrontation」「The Battle」で一気に緊張感が増します。「Confrontation」は過去の曲Reprise的ナンバーで#11や#4のサビが登場、「The Battle」はひたすらディミニッシュとクロマチックを多用し畳み掛けるメタルインストとなっています。

#22での壮絶な戦いを乗り越えると待っているのは美しいラストナンバー#23「Broken Sky / Long Day (Reprise)」。前半はニールが、「天の都」に到着したストーリーを厳かに歌い上げ、後半エリックの伸びやかなボーカルによるクリスチャンの心情が歌われます。なお「Long Day」というタイトルにあるようここまで一日としているようですが、実際はもう少し時間をかけ旅をしていた模様。

最後に


毎度ながらクリスチャンでなくても楽しめる良質なシンフォニック・プログレです。僕自身もクリスチャンではないのでストーリーや解釈に齟齬、誤解があればご指摘いただけると幸いです。

メロディのバリエーションが若干少なく二枚組という広いプールでは使い回し感の否めない今作ですが、その分曲ごとの関連性が見やすく親しみが持てます。この辺りは作品の深みと引き換えにする難しい部分ですね。

また第二章となる「The Great Adventure」も記事がありますのでそちらも併せて読んでいただければと思います。

関口竜太

東京都出身。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロギタリスト山口和也氏に師事。ロックやメタルに加え、ブルース、ファンク、ジャズなど幅広い演奏や音楽理論を学ぶ。 プログレッシブロック/メタルの大ファン。自身が企画するプログレッシブ・ロックプロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。

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