Roine Stolt’s The Flower Kings「Manifesto of an Alchemist」: The Flower Kingsが12月にニューアルバムをリリース!リーダーRoine Stoltの思うバンド像とは。

おはようございます、ギタリストの関口です。

スウェーデンのプログレッシブ・ロックバンドThe Flower Kingsがニューアルバムをリリースします!

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タイトルは「Waiting For Miracles」。

前作はギタリストRoine Stoltの名前を冠した名義のアルバムでしたのでThe Flower Kingsとしてのアルバムは2013年「Desolation Rose」以来6年ぶりとなります。

アルバムはもはやバンドの鉄板となった2枚組構成で全15曲を収録。

リーダーのRoine Stoltは「90年代に僕たちのバンドを有名にしたような遊び心のあるスタイルに戻った。歌詞は世界情勢を歌った少々暗いテーマだけど喜びに満ちている」とコメント。

アルバムの発売は2019年11月8日でもう目と鼻の先です。というわけで今日はこちらのアルバムをご紹介!

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Manifetsto of an Alchemist / Roine Stolt’s The Flower Kings


Manifesto of An Alchemist

The Flower Kings(ザ・フラワー・キングス)はスウェーデンのプログレッシブ・ロックバンド。

Roine Stoltという人物


ここではバンドの結成経緯と共にリーダーRoine Stoltの説明もしておきます。

1973年から現在まで続くスウェーデンのプログレバンドKaipaのギタリストとして若干17歳でプロデビュー、1976年の2ndアルバム「Inget Nytt Under Solen」は母国スウェーデンのアルバムチャートで49位を記録しバンドと共にその名を広めていきます。

79年に一度バンドを脱退、80年代にはKaipa自体も活動休止に。その後2000年にメンバーが再結集することでバンドも復活しますが2005年に再びロイネが抜けたことでその後は彼抜きにバンドが続いています。

そんなロイネが1994年にリリースしたソロアルバム「The Flower King」。これがきっかけとなり自身のバンドThe Flower Kings(以下:FK)を誕生させます。

スウェディッシュ・プログレらしいメロディックで豊かなコーラスと本場イギリスの流れを汲む楽曲構築、そしてなだらかで伸びやかなギタープレイによって日本においても人気を博すネオ・プログレッシブ・ロックとなります。

基本的にはこのFKを主導に活動しますが、99年には元Dream TheaterのMike Portnoy、元Spock’s BeardのNeal Morse、MarillionのPete Trewavasら米英欧による超大作志向のスーパーグループTransatlanticを結成。スタジオアルバム4枚の他ライブも行われています。

Transatlantic「Kaleidoscope」: 米英欧スーパークグループが繰り出す四手目!超大作に溺れる万華鏡幻想!

他にはイギリスのAndy Tilson率いるテクニカルプログレバンドThe Tangent、同バンドやFKなどで共に活動するベーシストJonas Reingoldらと結成したAgents Of Marcy、YesのJohn AndersonとのコラボユニットAnderson/Stolt、The TangentやPain of Salvationのメンバーと結成したThe Sea Withinなど実に幅広く活躍中です。

The Sea Within: ダークでエモい!欧米を中心としたスーパープログレグループ2018年デビュー作!

Roine Stolt’s名義である理由とは


本作はFKの作品であることに間違いはありませんが頭に「Roine Stolt’s」と冠が乗っかっています。

これはなんぞや。

ものすごく端的に言うと世間ではRoine Stolt=The Flower Kingsという認識となっており、FKは彼の体の一部です。

バンドと一心同体になっているロイネがそれだけ力を入れたということなのだと個人的には思います。一方で、先述した経歴を見ても比較的きまぐれな性格、他から一回り若くしてベテランの仲間入りを果たしていることもあり自分の望む音楽を好きに構築して楽しんでいるように見えます。

アルバムがリリースされた年の8月には「Roine Stolt and friends play The Flower Kings」としてFKを演奏する新たなバンドも結成しており、要はRoine Stolt’s名義もそう名乗ることで「ベースはFKだけどメンバーを入れ替え色んな人と演奏したい」というこれからのロイネの願望が具現化している結果だと思います。

The Flower Kingsは言ってしまえば「ロイネ・ストルトのテーマパーク」なのです。

アルバム参加メンバー


  • Roine Stolt – Vocal, Guitar
  • Jones Reingold – Bass, Chorus (The Flower Kings, The Tangent, Karmakanic)
  • Hans Fröberg – Guitar, Chorus (The Flower Kings)
  • Zach Kamins – Keyboard (The Flower Kings)
  • Michael Stolt – Bass, Vocal (Kaipa)ロイネの弟
  • Marco Minnemann – Drums (Plini, The Sea Within)
  • Max Lorentz – Organ (Kaipa)
  • Rob Townsend – Sax, Flute (Kaipa)
  • Nad Sylvan – Vocal (Agents Of Marcy)

楽曲紹介


  1. Rainsong
  2. Lost America
  3. Ze Pawns
  4. High Road
  5. Rio Grande
  6. Next to a Hurricane
  7. The Alchemist
  8. Baby Angels
  9. Six Thirty Wake-Up
  10. The Spell of Money

というわけで多岐に渡る活動から編み出された新たなFKの形が提示された本作。

もともと大作志向である音楽性から考えると若干コンパクトな楽曲が並ぶ仕上がりになっているのが特徴です。

とは言いつつもアカペラのコーラスで迎える1分半ほどのオープニングナンバー#1「Rainsong」が終わると#2〜#5まで平均10分弱という大作のオンパレード。

タイトル通りアメリカンなリフを備えながらYesらしいマックスのオルガンと腰を据えたメロディが光る#2「Lost America」や、同じくスウェーデンのプログレバンドA.C.Tのような近代寄りのライトなプログレの様式を取り少しコミカルな印象も受ける12分の大作#4「High Road」などバンドの新たな一面が垣間見れます。

 

 

ターニングポイントとしてはタイトルにもある#7「The Alchemist」。ゲストRob Townsendによるサックスが印象的なスタンダードジャズに近いインスト曲です。個人的にはThe Flower Kingsというバンドの固定観念が変わる1曲だと思っています。ロブは#9「Six Thirty Wake-Up」でも肝となるフルートを披露しています。

#8「Baby Angels」は12弦ギターが聴けるGenesis風バラード。ボーカルを籠らせ若干古めかしくしている遊び心がニクいです。

ラストとなる#10「The Spell of Money」これぞロイネ節というべきボーカルとダークな王道フラキン!2012年リリースの11th「Banks Of Eden」など好きな人にはどんぴしゃにハマる1曲となっています。

 

関口竜太

東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。

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