Angra「Rebirth」: ここぞの勝負どころに!解散の危機を乗り越えた民族的ブラジリアンメタルの4th!
by 関口竜太 · 2019-08-01
おはようございます、ギタリストの関口です。
8月に突入しいよいよ夏本番ですね!
今月はいろいろと予定が目白押しでして、特にお盆が終わるまでの前半2週間が勝負どころであります。
まぁ楽曲製作に関することなのですが一気に仕上げていかなくてはいけない、でも夏がそれを許さない(おでかけいっぱい!笑)な感じなのです。もしかしたら徹夜っぽい日が続いたりするかもですが体調だけは崩さないように気をつけます。
今日は勝負したいときにテンションを上げるアルバムをご紹介。
Rebirth / Angra
Angra(アングラ)はブラジルサンパウロ出身のヘヴィメタルバンド。
経緯
今年、元リードボーカルのAndre Matos(アンドレ・マトス)が急死という悲しいニュースが世界中の音楽ファンに衝撃を与えました。そんな結成から7年バンドの顔として務めたアンドレとギタリストRafael Bittencourt(ラファエル・ビッテンコート)を中心として1991年Angraは生まれました。
Helloweenを始祖とするスピード系パワーメタルバンドとしてデビューアルバム「Angel Cry」から衝撃を与えます。オーケストレーションを用いたシンフォニックな要素と、ラファエルとツインギターを成すKiko Loureiro(キコ・ルーレイロ)の卓越した演奏技術で人気を博します。
デビューから1998年までにアルバムを3枚、3rdアルバムとなる「Fireworks」では「Petrified Eyes」「Gentle Change」などの曲で母国ブラジルを思わせる南米ラテンやジャズの要素が加わり、他のスピードメタルとは一線を画すAngra独自の音楽性を築きあげます。
そしてこのアルバムを最後に発起人の一人であるアンドレが脱退、解散を懸念されますが新たにリードボーカルとしてEduardo Falaschi(エドゥ・ファラスキ)が加入、そうして新生Angraとして2001年に危機を乗り越えリリースされたのが本作「Rebirth」となります。
アルバム参加メンバー
- Edu Falaschi – Vocal
- Kiko Loureiro – Guitar, Chorus
- Rafael Bittencourt – Guitar, Chorus
- Felipe Andreoli – Bass, Chorus
- Aquiles Priester – Drums
-
その他ミュージシャン
- Gunter Werno – Piano, Keyboard
- Andre Kbelo, Zeka Loureiro, Maria Rita, Carolin Wols – Chorus
- Roman Mekinulov – Cello
- Douglas Las Casas – Percussion
- Mestre Dinho & Grupo Woyekè – Maracatu Voice
Maracatu(マラカトゥ)とは、ブラジルの代表的な民族パフォーマンスで、艶やかな衣装を身にまとい移動しながら太鼓や囃子などの演奏を行うのが特徴。言わばブラジル流神輿のようなもの。本作では「Unholy Wars」の冒頭でパーカッションに乗せ囃子が登場します。
楽曲紹介
- In Excelsis
- Nova Era
- Millennium Sun
- Acid Rain
- Heroed Of Sand
- Unholy Wars – Ⅰ. Imperial Crown, Ⅱ. Forgiven Return
- Rebirth
- Judgement Day
- Running Alone
- Visions Prelude
- Bleeding Heart
前作までに比べアコースティックギターやラテン音楽の割合がとても増え、加えエドゥの低めの声質を生かしたバラードも多数収録。そしてよりプログレッシブ・ロックとしての側面を突き出したバンドへと成長していきます。
とは言え、#2「Nova Era」では多くのメタルファンが唸る王道のスピードメタルナンバーを披露し、その超絶技巧の健在をアピールしました。他に#4「Acid Rain」や#9「Running Alone」でも同様に後のAngraらしい複雑なプログレッションとツインギターによる高難易度のフレーズが話題を呼びました。
#3「Millennium Sun」や#5「Heroes Sand」ではAngraお得意の6/8展開。またこれに伴って中盤にはアコースティック要素の強いエスニックな楽曲が並びます。
先述したマラカトゥを用いた2部構成の組曲#6「Unholy Wars」や7/4拍子のリフが特徴的な#8「Judgement Day」などプログレッシブな要素にも溢れ捻り物好きの心を擽ります。
#5や#7「Rebirth」の他#10「Visions Prelude」や#11「Bleeding Heart」などパワーメタルバンドらしからぬバラードの多さもこのアルバムの特筆すべき点で、個人的に#10はロマン派クラシックを思わせる叙情的なコードワークが魅力的です。
僕がこのアルバムを「勝負どきに」としているのは僕自身これに出会ったのがリリースから4年後の2005年の大学受験時だったからです。
受験ノイローゼとまではいきませんが僕も僕なりに連日学校と塾を往復し、自分一人の部屋が持てなかったため家にいるときはとりあえず勉強する姿勢だけでも見せていました。でないとどこかで監視されているような気分になったしノイローゼというよりは好きなことができないフラストレーションの方が強かったように感じます。
そんなときこのアルバムに出会いまるでウォードラムを鳴らされているかのような曲や超絶技巧に高揚を覚えました。
今改めて聴くとシンプルに聴きやすいアルバムだなぁという印象。プログレにどっぷりハマってしまうと若干深みに欠ける気もしますが楽しむべきはそこではないので勝負アルバムの割に気軽に聴ける一枚となっています。
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関口竜太
東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。
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