Arch Echo「You Won’t Believe What happens Next!」: アメリカのプロフェッショナル音楽家たちによる洗練された構築美の最新フュージョンプログレ!
by 関口竜太 · 2019-07-11
おはようございます、ギタリストの関口です。
近々抜糸と歯の矯正を控え、加え低気圧で不安定な天気ゆえストレスもあってなんとなく落ち着かないここ一週間です。
歯を矯正したら動画でニコッとしたときとか目立っちゃうのかなと不安になりとりあえず撮影優先で動画作りに奔走しています。おかげで夜更かしが進み寝不足になったりとリズムが狂いがちなのでここいらで整えていきたいと思います。
ですが毎日いろんなプログレを新鮮な気持ちで聴くことができてその点は幸せ笑 本日も一枚ご紹介していきます!
You Won’t Believe What happens Next! / Arch Echo
You Won’t Believe What Happens Next!
Arch Echoはアメリカのプログレッシブ・メタル/フュージョンバンド。
音楽性
Arch Echoは、近年テクニカル界隈で流行りまくっているDjentなどモダンでタイトなプログレッシブ・メタルスタイルを取り入れながら、洗練されたメロディ構築が肝になっている新世代フュージョンバンド。
同種のバンドやアーティストにはAnimals As Leaders、Jakub Zytecki、Sarah Longfield、Covetなどいますが、Joey Izzoによるキーボードをフィーチャーした美しくキラキラとしたアンビエントが他のアーティストとは一線を画す点です。
経歴
バンドの創設者であるキーボディストのJoey Izzoは、アメリカのTV局NBCやFOX、TBSなどへ楽曲を提供している腕利きの作曲家でありプロデューサーでもありました。
彼は以前から、ヘヴィなギターとピアノのコントラストが美しいZombie Frogs、シンフォニック要素も加えた6人編成のSound Struggle、パワーメタルバンドDaydream Ⅺなどにおいても活躍。また最近は6人組プレグレッシブ・メタルバンドThe Contortionistにおいてもサポートでキーボードを弾くなど業界でも引っ張りだこ。
そんな彼が自らのバンドを作るため誘ったのがアメリカの名門音楽校、バークリー音楽大学を卒業したベーシストのJoe Calderone。彼もまたTV局の放送作曲家でありチャイコフスキーのようなクラシックから、スーパーマリオでおなじみ近藤浩治さんなどゲームミュージック、そしてRushなどプログレッシブ・ロックにまで精通したプロフェッショナルです。
ジョーイとジョー、二人によってTangent Music LLCという音楽事務所を運営。
さらにそこへバークリー音楽大学出身でありスウェーデンのギターメーカ ーStrandbergのギターコンペで優勝経験を持つAdam Rafowitz、アメリカ大陸を股に掛け、メキシコやグアテマラなどでもジャンルを問わないセッションドラマーとして活躍しているRichie Martinez、ミックスエンジニアやプロデューサーとしても仕事をこなすギタリストAdam Bentleyといった音楽的に幅広く精通した実力派を集めArch Echoを結成、2017年にデビューを果たします。
メンバー
- Joey Izzo – Keyboards
- Adam Rafowitz – Guitar
- Adam Bentley – Guitar
- Richie Martinez – Drums
- Joe Calderone – Bass
楽曲紹介
- Daybreak
- Immediate Results!
- Stella
- Aurora
- Mukduk
- Tempest
- Bocksuvfun
- Iris
本作は今年2019年にリリースされたばかりの2ndアルバム。HIPHOPや日本のレゲエミュージックなどにもありそうなコミカルなジャケットが特徴。
収録された音楽に関しては概ね、先述した通りのインストゥルメンタルですが、終始線の細かいメロディが止めどなく流れてくるハイクオリティな出来。
オープニングナンバー#1「Daybreak」は、活動的な一日の始まりを演出するが如く、そのタイトル通りの爽やかな目覚めの一曲。全編を通して言えることですがピアノ/キーボードがテーマのリードにも一躍買っているので耳に疲れを感じない優秀な構築美。
ギターのラフォウィッツの滑らかなソロはKiko Loureiroを彷彿とさせ、疾走感溢れる曲展開に忙しいであろう速いパッセージのソロをねじ込んでくるのですが、ただのバカテクにならないアーティキュレーションの高さが魅力的。
非常にタイトなアンサンブルのためブルージィなモたりは許されない音楽ですが、#2「Immediate Results!」#4「Aurora」など決まった位置に全方位からキュッキュとしたスライドが、現れては消える花火のようで琴線に触れてきます。
バンドの方向性ゆえ、似たような楽曲が揃いがちな本ジャンル。それでも聴き比べるとそれぞれにそれぞれの特徴が見られるのはリズム隊による功績が非常に大きいのは言わずもがな。同じく#2やラテン風イントロから変則パターンを起こす#7「Bocksuvfun」など、ロックに限らず他ジャンルの演奏経験を持つリッチーの手腕が光ります。
テクニカルな側面とバラードとのギャップこそに醍醐味を覚える本作ですが、個人的におすすめ曲は本領発揮系のプログレメタル#5「Mukduk」。メロディとリズムの応酬にひたすら振り回されながら、後半の綺麗なアルバム展開に備え狂える5分間は実に刺激的です。
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タグ: Arch Echoジャズ/フュージョンプログレッシブ・メタル米プログレDjent
関口竜太
東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。
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