Thank You Scientist「Terraformer」: 今大注目!ジャズのアンサンブルに近いアメリカの最新テクニカルプログレロック!

おはようございます、ギタリストの関口です。

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今日は巷で話題沸騰のバンドをご紹介します!必聴!

Terraformer / Thank You Scientist


Terraformer [Explicit]

Thank You Scientist(サンキュー・サイエンティスト)は、アメリカのプログレッシブ・ロック/ジャズ・フュージョンバンド。

来歴


Thank You Scientistの始まりはギタリスト、サックス奏者、トランペット奏者という異色の出会いから始まりました。

Tom Monda(Gt)、Ellis Jasenovic(Sax)、Andrew Digrius(Tp)の3人はFrank Zappa、Harry Nilsson、The Beatles、Mahavishnu Orchestraなど「前衛で、王道で、幅広い音楽性」の観点で趣味が一致、これが後にバンドへ影響を及ぼしていきます。

3人は2009年にボーカリストSalvatore Marrano、ベーシストGreg Colacino、ドラマーOdin Alvarez、そしてヴァイオリン奏者のBen Karasを招き入れ7人編成でバンドがスタート。

2011年にEP、2012年には1stアルバム「Maps of Non-Existent Places」をリリースし、このアルバムがアメリカのオルタナプログレバンド、Coheed and Cambriaのギター/ボーカルであるClaudio Sanchezの目に止まります。

Coheed and Cambria「The Unheavenly Creatures」: 壮大なストーリーとバンドをリンクしたUSのエモ&プログレ2018年作!(試聴あり)。

クラウディオはMV製作や次作以降のアルバムリリースに協力、そしてThank You ScientisはCoheed and Cambria、Peripheryに混ざり新鋭プログレメタルバンド3者によるツアーへと参加することで一気に地位を高めていきます。

ツアーの後、何度かのメンバー変遷があり2016年には2ndアルバム「Stranger Heads Prevail」をリリース。現在オリジナルメンバーはギタリストとボーカリストのみという形ですが7人編成はそのままに、現在プログレファンの間では人気が爆発しています。

現メンバー


  • Salvatore Marrano – Vocal
  • Tom Monda – Guitar,  Shamisen, Sitar, Synthesaizer
  • Ben Karas – Violin
  • Cody McCorry – Bass, Theremin
  • Joe Fadem – Drums
  • Sam Greenfield – Saxophone
  • Joe Gullace – Trumpet

楽曲紹介


  1. Winkle
  2. Fxmldr
  3. Swarm
  4. Son of a Serpent
  5. Birdwatching
  6. Everyday Ghosts
  7. Chromology
  8. Geronimo
  9. Life of Vermin
  10. Shatner’s Lament
  11. Anchor
  12. New Moon
  13. Terraformer

本来「プログレ」が「枠にハマらないというもの」を意味するならThank You Scientistはまさにその言葉に打って付けの音楽性でしょう。

ベースとなるのはインテリジェンス溢れるテクニカルなプログレッシブ・メタルと言った印象ですが、そこにジャズロックを融合していくことで得られた効果は絶大です。

Snaky PuppyVulfpeck、さらには彼らの音楽を形成する上で欠かせないMahavishnu Orchestraのような圧倒的なアンサンブルと、複雑な曲構成の美学Frost*をも彷彿とさせます。

#1「Winkle」は冒頭から美しいギターアルペジオのアンビエント。そこから管楽器による緩やかなリードプレイが入るのでこの段階ではまだこのバンドがテクニカルすぎることを予期できません。

#2「Fxmldr」に入るとこのイントロで掴みはバッチリ!ギターとサックスによるスウィープ的ユニゾンのイントロはとにかく新鮮で、ポストロック風のすっきりしたボーカルとダイナミックかつエモな展開にゾクゾクします。

#3「Swarm」ではこれまた超絶アンサンブル。ギターはバリバリに低音弦を刻んでいるのに上に乗っかるシンフォニックなオブリガードが見事に中和、ノリのいい明るい曲に仕上がっています。

バラード枠としてはシティジャズ感のある#4「Sons of a Serpent」、本格Jazzの小曲#10「Shatner’s Lament」、三味線や胡弓などアジアンテイストを取り込んだ#12「New Moon」などオリエンタル方面もしっかりフォロー。

アルバムはトータル13曲85分という超内容。70年代プログレのシュールレアリズムなジャケットとは裏腹に先述した通りのスタイリッシュな楽曲たちですが、おそらくデジタル配信を市場のメインに扱ったアルバムなのでこの曲数にして8分超えの大作を5曲も収録

中でも唯一10分を超える#6「Everyday Ghosts」はイントロにKing Crimsonの1stアルバムを思わせるサックスとドラムの絡みがあったりして思わずハッとするのですが、本編はリズミカルなファンクロックからエモメタルに発展したりして…ここまで色んなジャンルを混ぜ合わせ、かつ調合性が取れているのは脱帽の域というか、すごすぎて変な汗が出てきます。

緻密で繊細、テクニカルロックの究極系とも言えるほど複雑な曲をもろともしないパワフルな演奏はDjentとは違う新たなプログレの形として現代に降り立ちました。

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関口竜太

東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。

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