Neal Morse「?(Question Mark)」: 「幕屋」を舞台に超豪華ゲストで送るクリスチャン・プログレのエピック。

おはようございます、ギタリストの関口です。

今日から東京は雨模様、一週間以上雨の予報が出てるので梅雨本番ですね。鬱な気分になりますが除湿機フル稼働で乗り切りましょう!

今日はようやく書けるこちらのアルバムをご紹介していきます。

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?(Question Mark) / Neal Morse


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Neal Morseはアメリカのマルチミュージシャン。アメリカのプログレッシブ・ロックバンドSpock’s Beardの創設者としても知られます。

概要


バンドを脱退後、2003年よりソロ活動へ移行しキリスト教徒として神の教えについてプログレッシブ・ロックの側面(Prog Rock)とアコースティックなシンガーソングライターとしての側面(Workship)両方でコンスタントにアルバムをリリースしていきます。

ソロとしては通算5枚目、クリスチャン・アルバムとしては3枚目に当たる本作は聖書に登場する移動式の神殿「幕屋」を舞台に「神のミステリー」を謳っていきます

アルバムの構成は他のソロ作品と比べて異色の雰囲気があります。

言わばエピック(叙事詩)と呼ばれる構成で、全12曲を頭からつま先までシームレスに繋いでいく編成。それだけならニール以外のミュージシャンでもこれまで多く行われてきたことですがゲストに招いた参加ミュージシャンの豪華さにおいて一線を画します。

参加ミュージシャン


  • Neal Morse – Keyboard, Vocal, Guitar
  • Mike Portnoy – Drums
  • Randy George – Bass
  • Jordan Rudess – Keyboard
  • Roine Stolt – Guitar
  • Alan Morse – Guitar
  • Steve Hackett – Guitar
  • Mark Leniger – Guitar
  • Chris Carmichael – Violin, Cello
  • Michael Thurman – French Horn
  • Rachel Rigdon – Violin
  • Jim Hoke – Saxophone
  • Debbie Bresee – Chorus
  • Jay Dawson – Bagpipes
  • Revonna Cooper – Vocal
  • Amy Pippin – Vocal
  • Debbie Bresee – Vocal
  • Wade Brown – Vocal
  • Joey Pippin – Vocal

本作でゲストに呼ばれた著名なミュージシャンはDream TheaterのJordan Rudess、The Flower KingsのRoine Stolt、Spock’s Beardのギタリストにしてニールのお兄さんAlan Morse、そしてGenesisのギタリストSteve Hackett

そして例によってヴァイオリンなどのシンフォニックセクションもシンセサイザーに頼らずミュージシャンを招き本格派に作り上げるのがニールスタイルです!

楽曲紹介


  1. The Temple of the Living God
  2. Another World
  3. The Outsider
  4. Sweet Elation
  5. In The Fire
  6. Solid As the Sun
  7. The Glory of the Lord
  8. Outside Looking In
  9. 12
  10. Entrance
  11. Inside His Presence
  12. The Temple of the Living God

ニールはあまりタイトルを捻らないのでトラックリストを眺めるだけでおおよその予想を付けて世界観を想像していくことが可能です。

注目なのは「The Temple of the Living God」という同タイトルの曲が頭とラストに配置されている点

これは当然同じトラックではなく「Reprise」と呼ばれる、前に登場したテーマを再登場させる仕掛けで、この手のコンセプトアルバムにはよく見られる手法です。

アルバムは冒頭の吟遊詩人的語りからソリッドでスリリングなイントロにより幕を開けます。#1「The Temple of the Living God」では大まかにテーマである「幕屋」についての解説がなされ、歌詞には幕屋移動の際の解体に携わる司祭「レビ族」が登場。

シンプルなナチュラルマイナーによるテーマは馴染みがよく繋がる形で#2「Another World」へ。この曲では幕屋を囲ったキャンプでの生活の様子が描かれています。

アコースティックで厳粛な雰囲気のある#3「The Outsider」を経由すると#4「Sweet Elation」〜#5「In The Fire」に掛け徐々にニール節のプログレセッション会が開演していきます。

僕がニールを好きなのはそこのところで、いきなり超怒涛の運動会みたいなインストゥルメンタルにならない、徐々に盛り上げていくその過程を楽しめるというのがあります。

彼自身を僕はマルチプレイヤーと呼んでいるのですが、あらゆる楽器とその演奏を熟知しているからこそ成せる壮大な構築美だと思います。歴史的な建造物を見ている気分になるんですよね。

さて話はそれましたが中盤#5「In The Fire」では先に述べた豪華なゲストたちによる掛け合いソロのセッション。熱のこもる共演は一聴の価値ありです!

後半に差し掛かるとよりシンフォニックさに拍車がかかります。#6「Solid As the Sun」ではJim Hokeのサックスソロが聴けますが小規模ながらカタルシスを爆発させてツボに入る流れです。

ゲストボーカルを総出演させた荘厳なコーラスパート#7「The Glory of the Lord」を抜け#8「Outside Looking In」#9「12」と静かなアコースティックナンバーが続きます。アコースティックパートを歌うニールはメッセージに重きを置いているので説教くさいのですがメロディが美しいので毎度許してしまう仏教徒の僕です。

#9で「The Temple of the Living God」の節を登場させてから再度インストパートへ。「Sweet Elation(高揚感)」も再登場させいよいよ幕屋の奥へ進んでいきます

#10「Entrance」#11「Inside His Presence」#12「The Temple of the Living God」と3部に渡り壮大な大団円を迎えていますが#12の入りが#1の終わりと繋がる形になっているのはさすがシンフォニックの巨匠と言わざるを得ないニクい演出です。

最後に


2018年の6月にこのブログを立ち上げた際、2つ目の記事の中で初めてプログレの紹介をしたとき挙げたのがこの「?」でした。

その時はNeal Morseという人物を引き合いに出し、今の音楽活動は一人で色々できてナンボだよというお話をしたのですが、あれから一年ようやくアルバムの解説ができて満足です。

ネットの掲示板では時に「金太郎飴」と言われるくらい似たようなクリスチャン・プログレアルバムばかりリリースされるニールではありますが、個人的に1,2位を争うくらい大好きなアルバムなので是非一度聴いて感じ取っていただけたらなと思います!

関口竜太

東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。

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