Arch / Matheos「Winter Ethereal」:USプログレFates Warningから派生したオムニバス的ユニットのダークメタル!(試聴あり)

おはようございますギタリストの関口です。

Arch / Matheos8年ぶりとなるニューアルバムが5月にリリースされたので本日はこれをご紹介します!

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Winter Ethereal / Arch / Matheos


Winter Ethereal

Arch / Matheos(アーチ/マテオス)は、アメリカのプログレッシブ・メタルバンド。

概要


アメリカのプログレッシブ・メタルバンドFates Warningの元メンバーであり同バンドの発起人でもあるボーカルJohn Archが2003年にリリースしたソロシングル「A Twist of Fate」、そこに参加した現FWのギタリストJim Matheosとの邂逅によって2010年にArch / Matheosは結成されます。

1stアルバムSympathetic ResonanceではそれぞれFrank Aresti、Joey Vera、Bobby Jarzombekと言った旧新問わないFWのメンバーを招集。同バンドのファミリー的意味合いを持つバンドとして話題になりました。

このFWファミリーは他に個々で様々なバンドやプロジェクトに参加しているのが大きな特徴です。

主に引き合いに出されるのは①Redemption②Armored Saint③OSIなど。②はベースで参加しているJoey Veraが所属していたグラムメタルバンド、③はJim Matheosや元Dream TheaterのKevin MooreMike Portnoyらで結成されたプログレスーパーグループ。

この中で一番純血のニュアンスを持つRedemptionとFWが現在進行で織り成すパワーメタル的音楽性から、もう一歩ダークでプログレッシブに進んだのがArch / Matheosとなります。

1stアルバムでは全員FWのメンバーで構成されたと言いましたが本作ではそこに固執せず多くのゲストを招いています。

メンバー


  • John Arch – Vocal
  • Jim Matheos – Guitar
  • Joey Vera − Bass (#2, #8)
  • Bobby Jarzombek − Drums (#4 ,#6)
  • Frank Aresti – Guitar (#8, #9)
  • Joe DiBiase − Bass (#3)
  • Mark Zonder − Drums(#2,  #5)
  • Steve Di Giorgio − Bass (#1, #4, #6)
  • Sean Malone − Bass (#7, #9)
  • George Hideous − Bass (#5)
  • Matt Lynch − Drums (#9)
  • Thomas Lang – Drums (#1, #3, #7)
  • Baard Kolstad – Drums (#8)

曲ごとでリズム隊を大きく入れ替えるオムニバス的メンバー構成です。

太字はFWファミリー。ベースのSean Maloneは先に挙げたOSIでチョップマンスティックを操っている名奏者。

楽曲紹介


  1. Vermillion Moons
  2. Wanderlust
  3. Solitary Man
  4. Wrath of the Universe
  5. Tethered
  6. Straight and Narrow
  7. Pitch Black Prism
  8. Never in Your Hands
  9. Kindred Spirits

前作が6曲55分の大作志向プログレアルバムだったのに対し、本作はゲストの数も考慮しコンパクトになった9曲68分のフルレングスアルバム

基本はJim Matheosというコンポーザーが発信するオーガニックなメタルアルバムですが、曲によってはプログレッシブなアプローチをしたものもあるのでピックアップしてお伝えします。

#1「Vermillion Moons」は激しいボーカルパートと壮大さを感じさせるメロウなサビが特徴のオープニングナンバー。4:40からのアルペジオを主体にしたクリーンパートとの二面性により動と静をコントロールした9分に及ぶメタルマラソンです。

「オーガニック」の意図するところはデジタルサンプリングなどで奇を衒わないというところにありますがピアノ、キーボードも採用せず「静」のパートはクリーントーンギターを使うことで徹底しています。

#2「Wanderlust」#4「Wrath of the Universe」#7「Pitch Black Prism」などの曲はその「静」パートを感じれる曲。この辺りがArch / Matheosのベースとなる音楽性と言えます。

#5はバラードとなる「Tethered」。クリーンギターのディレイテクなどウェットでおしゃれなアプローチが聴きどころです。

#6「Straight and Narrow」はMVが先行配信された楽曲。Steve Di Giorgioの軽快なドラミングが全体的にダークな雰囲気を持つ当アルバムにおいて華やかです。

#8「Never in Your Hands」と#9「Kindred Spirits」ではギターソロにFrank Arestiが参加。2000年代を象徴するかのようなジムとの掛け合いソロを楽しむことができます。

そんな#9は本作を締める13分の大作でギターのエフェクトがエスニックの雰囲気を引き立てるイントロと、2分をすぎた辺りから徐々に加速していく様が彼らのプログレッシブな本質をリスナーに訴えかけてきます。

最後に


メタル作品としては王道路線。

2019年リリースのプログレメタルは比較的シンプルな構成のものが多く、テクニカルが好きな僕個人としては若干の物足りなさを感じるものの、大物のリリースが相次いでいるという事実にはやはりチェックする楽しみがあります。

本作ももちろん例外ではなく、現にFates Warningという完成されたバンドがありながらインタビューで「Arch / Matheos用に楽曲は別にしてあった」と答えているところからそこに込めた思いを真摯に受け止めるべきでしょう!

アルバムは2011年にも出ていますので是非そちらも聴き比べてみるのが一興だと思います。


Sympathetic Resonance

関口竜太

東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。

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